メリー、結成20周年を締め括る【東京大ストリップショウ[グランドフィナーレ]~白い羊・黒い羊~】公式レポート(前編)

2022/11/18 14:10

メリー、結成20周年を締め括る【東京大ストリップショウ[グランドフィナーレ]~白い羊・黒い羊~】公式レポート(前編)
メリー、結成20周年を締め括る【東京大ストリップショウ[グランドフィナーレ]~白い羊・黒い羊~】公式レポート(前編)


 メリーが、2022年11月12日に東京・神田スクエアホールで結成20周年を締め括る【東京大ストリップショウ[グランドフィナーレ]~白い羊・黒い羊~】を開催した。今回はメリーの歌モノ、バラード曲で構成される"白い羊"をレポートする。
 「バンドってめちゃくちゃいいですね」
 公演を終えたステージで、はにかんだような笑顔を湛えてそう言ったのはヴォーカルのガラだった。メリーの20年間が順風満帆だったならば、ここでこの言葉は出なかったのかもしれない。20周年を記念して9月に発表した楽曲は「夜明け前」。“夜明け前が一番暗い”というイギリスの古い諺がある。苦難の時は終わりかけが最も苦しいが、明けない夜はない。波乱万丈という言葉が代名詞のようになっているバンドだが、この頃のメリーは一番暗い中にあったのかもしれない。そう考えると、ガラが最後に発したこの言葉は“夜明け”を感じさせるものであった。
 メリーの“白い羊・黒い羊”は、歌モノを中心に聴かせる“静”と、ライブで激しく盛り上がる“動”というメリーの二つの世界観をそれぞれに観せる企画ライブとして、これまでも何度か開催されていたが、今回は白と黒の両方で演奏された曲や、歌モノでありながら黒の方で披露された曲など、これまでとは少し違った選曲になっていた。その理由について、“白い羊”はじっくりとアレンジに取り組みたくて早々にメニューを組んでいたこと、そして“黒い羊”は事前にSNSで募集したリクエストの結果をもとに組んだため数曲被ってしまったと、結生(G)の弁。そういえば4人になってからの“白い羊・黒い羊”は今回が初のこと。アレンジをイチから練らなければいけなかったということは安易に想像できる。曲被りは、白い羊のアレンジと黒い羊のリクエストに真面目に向き合った結果だったのだが、同じ曲を白と黒の両方で披露されたことで彼らのアレンジ力の高さ、表現力の高さを目の当たりにできたのは、とてもラッキーだったと思う。
 白い羊の幕開けは、1stアルバム『現代ストイック』収録のシャッフルナンバー「ブルージーナイト」。ハッとさせられるほど力強かったピアノイントロはゲストサポートの吉村隆行氏によるもの。続く「路地裏哀歌」ともに、ギターとピアノとの絡みが美しく、リズムを刻むネロのドラムとテツもベースも艶やかだ。そこに乗る哀愁を帯びたガラのヴォーカルがよく映える。「さよなら雨(レイン)」ではアウトロでガラが加えた切ないフレーズが余韻を残した。オーディエンスは着席スタイルでじっくりと耳を傾けている。ステージの上と天井を飾った球体には、タイトルの文字やCDジャケットの絵柄、雨や海の風景が映し出され、視覚的な演出も凝っていた。視覚的といえばガラのパフォーマンスも目を引いた。「遠い昔の恋愛ソング」では黒いハットを斜めに被り、大きく水を掻くように腕を動かしたり、「恋哀交差点」ではピアノをバックに力強い歌声を聴かせたと思えば、歌謡曲調の「kamome kamome」ではソファに座って静かにハスキーな声を響かせた。
 結生がアコースティックギターに持ち替え、ネロがカホンを、テツがアップライトベースを奏でたのは「クライシスモメント」。イントロのガラのアカペラからグッと惹きつけられたし、続く「カナリア」のアコースティックバージョンも、抒情的なアンサンブルとガラのハイトーンのヴォーカルがエモーショナルだった。ここで吉村氏を呼び込み、「メリーはいろいろあったんですけど、これからもあると思います。まだまだ観たい景色、届けたい歌がたくさんあるので、20周年分の感謝を込めて白い羊歌うので持って帰ってくださいね」と語ったガラは、「普段あまりやることがない」と言いながら、「親よりも付き合いが長いと思います」とネロを、「このギターがいなかったら僕はたぶんここで歌ってないと思います」と結生を、「僕のラブコールに応えて東京に来てくれた」とテツを紹介した。20年、苦楽をともにしてきたメンバーへの思いは深い。ミラーボールの光がムーディーな空間を作ると、ブルージーな「東京テレホン」、そして「林檎と嘘」へ。1番をゆったりとした演奏とヴォーカルで聴かせた後、原曲と同じテンポにテンポアップするアレンジは白眉だった。ピアニカのような音色のシンセがよりレトロ感を増した「赤い靴」、本編ラストはシティポップテイストの「ブルームーン」で締めくくった。
 アンコールではガラもアコースティックギターを持ち、「チック・タック」と「木洩れ日が僕を探してる…」の2曲を披露。結生と向き合ってギターを掻き鳴らす姿はなかなか様になっていたように見えたが、「久々にギターを練習したんですけど、やっぱり本番ではめちゃ緊張しますね。しかもこんな(ポンチョのような)服を着てきちゃって。そういうところもダメなんだろうな。しかも柄に柄を合わせてしまって…」と、本人は変なところで反省モード。「出会いも別れもあって、大変なこともあったけど、楽しいこと、面白かったこと、たくさんの思い出があります。僕は20年も続けられたものはないので、メリーが合っていて、メリーが好きなんだと思います。この思いを歌詞にして届けたいと思います」と最後に歌ったのは、「夜明け前」。ピアノと歌だけというシンプルな構成で、強い思いを歌に込める。アウトロで「太陽!太陽!太陽!」とシャウトするガラの姿が脳裏に焼きついた。

Text:大窪由香
Photos:中村卓 (2022.11.12@神田スクエアホール)

◎公演情報
【メリー 20th Anniversary東京大ストリップショウ[グランドフィナーレ]~白い羊・黒い羊~】
2022年11月12日(土)東京・神田スクエアホール
[~白い羊~セットリスト]
1 ブルージーナイト 
2 路地裏哀歌
3 さよなら雨
4 遠い昔の恋愛ソング
5 恋哀交差点
6 kamome kamome
7 クライシスモメント
8 カナリア
9 東京テレホン
10 林檎と嘘 
11 赤い靴
12 ブルームーン
アンコール
13 チック・タック
14 木洩れ日が僕を探してる…
15 夜明け前

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