<ライブレポート> 9/24 日本武道館で完結を見せるKICK THE CAN CREWが示したヒップホップの真髄と未来
<ライブレポート> 9/24 日本武道館で完結を見せるKICK THE CAN CREWが示したヒップホップの真髄と未来

 4年7ヵ月ぶり通算5枚目となるオリジナル・アルバム『THE CAN』を引っ提げた東名阪ツアー【LIVE 2022「THE CAN」】 を開催中のKICK THE CAN CREW。2022年7月の名古屋公演に続き、8月28日、大阪公演がなんばHachで行われた。

 1997年にKREVA、LITTLE、MCUの3MCで結成されてから今年25周年を迎えた彼ら。2001年のメジャーデビュー以降、「クリスマス・イブRap」「マルシェ」「アンバランス」など数々のヒット曲を生み出し、2002年にはNHK紅白歌合戦初出場、全国区に知名度を上げるも2004年活動を休止。個々のソロ活動を経て、2017年、約14年ぶりのアルバム発表とツアー敢行で完全復活を遂げファンを歓喜させたのも記憶に新しい。それ以来の本格活動とあって、会場には満員御礼となる幅広い層のファンが駆けつけた。
 定刻、開演のアナウンスが流れると客席が設けられたフロアはオールスタンディング状態に。ライブ序盤「今日はニューアルバムの曲と今まで歌ってきた曲を満遍なくやって、最後まで突っ切りたいと思います!」とKREVAが宣言した通り、新曲とスティル・フレッシュな代表曲、25年の軌跡を感じる楽曲が絶妙に交錯。中には「このご時世だから歌いたかった」(KREVA)という18年ぶりのライブ披露曲もあり、特別な時間が刻まれていく。
 MCではKREVAの毒舌にMCUが鋭く突っ込む掛け合いを静観するLITTLEというおなじみの光景はもちろん、東京公演に向けた観客とのグッズ作りや曲始まりにお笑いユニット・怪奇!YesどんぐりRPGのネタを放り込むなど、彼ららしい少し斜め上を行くノリにほくそ笑む一幕も。しかし、最も印象的だったのは3人の高度なスキルによるマイクリレーと真摯なラップ、練り上げられたトラックだけで展開するシンプルなステージングだ。派手な装置や演出、大袈裟な煽りがないにも関わらずオーディエンスは1曲1曲に心動かされ、無歓声ながらその熱量が会場を包んでいった。
 さらに観客を着席させたままパフォーマンスをする場面もあり、それはデビュー当初、閉塞的でマッチョなイメージが強かったヒップホップを叙情的なラップでポップシーンに押し上げたように、彼らは今、ティーンから大人が熱狂するヒップホップの未来や新たな形を示しているようでもあった。
 ライブ中、何度も「やり続ける」という言葉を使った3人。KICK THE CAN CREWの所信表明とも受け取れるステージは9月24日(土)、日本武道館で行われる東京公演でその集大成を飾る。

Text by 池田久美
Photo by curly_mads

◎公演情報
【KICK THE CAN CREW "LIVE 2022 「THE CAN」】

東京公演
日程:9月24日(土)
会場:日本武道館
開場 17:00 / 開演 18:00

・前売/全席指定:7,900円(税込)
<キャッシュバック>
2004年1月1日以降生まれ方は当日会場にて身分証明書等のご提示で1,000円のキャッシュバックが行われます。
※チケット購入時は通常価格にてご購入いただき、当日会場でのキャッシュバックとなります。

[一般発売]9月3日(土) 10:00~

http://www.kickthecancrew.com/ktcc_live2022/