<ライブレポート>CHEMISTRY、18年ぶりのオーケストラ公演 「CHEMISTRYの成長を追いかけた、壮大なドキュメント映画を観たような感覚」

2022/07/29 18:49

<ライブレポート>CHEMISTRY、18年ぶりのオーケストラ公演 「CHEMISTRYの成長を追いかけた、壮大なドキュメント映画を観たような感覚」
<ライブレポート>CHEMISTRY、18年ぶりのオーケストラ公演 「CHEMISTRYの成長を追いかけた、壮大なドキュメント映画を観たような感覚」


※本記事にはセットリストの表記が含まれます
 CHEMISTRYが7月27日、18年振りのフルオーケストラコンサート『CHEMISTRY Premium Symphonic Concert 2022』を東京文化会館で行なった。21年目の成熟した二人の歌と、東京フィルハーモニー交響楽団が作り出す豊潤な音が溶け合い、"化学反応"によって極上の"ハーモニー"が生まれた。
 格別の時、特別な響き――ファンはこの日の歌、音を聴き終わって、心に宿ったものを大切に持ち帰る、そんなコンサートになったはずだ。
 東京フィルのメンバー、そして指揮の栗田博文が大きな拍手に迎えられ、登場すると、まずは「PIECES OF A DREAM」を美しくメロウな雰囲気にアレンジした「Overture」で、華やかに幕開けを告げる。オーケストラが放つ音が、この日のコンサートがどんなに素晴らしいものになるかを、早くも予感させてくれる。そして「君をさがして」のイントロが流れ始めるとCHEMISTRYの二人が登場。二人の声が重なる。幸せを感じさせてくれるラブソングがさらに華やかになる。煌びやかなイントロが始まり、美しい弦の音が心にスッと入ってくる「砂の扉」は、<君に触れて 求め合うことが 罪なら 背負い続けたい>という狂おしい歌詞が、オーケストラのサウンドによってさらに切なく、二人の歌によって、より情熱的に伝わってくる。
 「素晴らしい景色!」と堂珍が、5階まで埋まった客席を眩しそうに眺め、興奮気味に語る。ここでCHEMISTRYのライヴではおなじみの渡辺シュンスケを迎え入れ、ピアノのイントロから「Point of No Return」だ。歌、弦の音が乗っていき、ふくよかなサウンドが生まれる。壮大かつ洗練されたアレンジで、名曲がさらに輝きを増す。フルートの優しい音色から始まる「いとしい人」は、堂珍の美しく強いファルセットが響き渡る。CHEMISTRYの楽曲は元々ストリングスを使っている作品が多いので、オーケストラとの相性もいいはずと思っていたが、やはり素晴らしいアレンジと豪華かつ繊細な音で、想像を遥かに超えたものになっていた。
 「キスからはじめよう」は、オーケストラのダイナミックなアンサブルが、歌に込められた"思い"をさらに大きく映し出す。これぞオーケストラアレンジの醍醐味と感じたのは「My Gift to You」だ。二人の語りかけるような味わい深い歌に、サウンドが色々なところから光を当てるような感覚。21年目のハーモニー、美しいという表現しか出てこない。切ないピアノの音色から「月夜」が投下される。月明りに照らされているような照明の中で、情感豊かに歌う二人。この曲と「My Gift to You」は、2004年【CHEMISTRY in SUNTORY HALL~響~】でも披露したが、あの日のコンサートを観て、この日も観たというファンには、どう届いていたのか、是非聞いてみたい。本編が終わった後も"余韻"が客席を支配していた。
 この東京文化会館は音響の良さは言わずもがなだが、とにかく演奏の細部までがきちんと聴こえ、重厚でしっかり定位で音楽を楽しむことができるので、豊かな響きを独り占めしている感覚になるはずだ。この日も一つひとつの楽器の音を楽しめ、その響きが混濁することなく素晴らしいバランスで伝わってきて、二人の声と融合し、立体的な音像が生まれていた。それが余韻となっていつまでも心に残る。
 後半のスタートは東京フィルによる【歌劇「エフゲニー・オネーギン」Op.24から「ポロネーズ」】だ。美しい旋律を華麗なアンサンブルで聴かせる。そして二人が登場し「もしも」を披露。どんどんドラマティックになっていき心を揺さぶれる。AORテイストの「almost in love」では、二人のハーモニーの肌触りの良さと演奏とが相まって、センチメンタルな空気が生まれる。
 「歌っていてとてつもなく心地いい。後ろから音が降ってくるよう」と川畑が語ると、堂珍は「演奏のエネルギーを感じて、奮い立たせてくれる」と、このフルオーケストラコンサートの醍醐味を味わい、楽しんでいる様子だった。このコンサートについて二人は「挑戦」と語っていたが、手応えを大いに感じ、心から楽しんで歌っていることが伝わってきた。
 再び渡辺シュンスケを呼び込み「You Go Your Way」を披露。重厚なストリングスが美しいメロディを彩る。サビの部分で、一瞬ピアノの音だけになるが、ゴージャスな演奏の中での一瞬の静けさとそこでの歌が印象に残った。後半はさらにドラマティックになって、哀愁を帯びた管楽器の響きなども加わり、二人の声が重なり胸に迫ってくる演奏と歌だった。美しいバラードの「最期の川」は、丁寧に思いを伝えるように歌い、それを美しく繊細な演奏が支えるように、聴き手の心の深いところまで届ける。「for...」は、パワフルで情熱なハーモニーが、熱のこもった演奏と相まって、スケール感を感じさせてくれた。
 川畑の「最後は立ち上がって盛り上がりましょうか」という言葉で、客席が総立ちになって、「Motherland」を、手拍子という楽器で一緒に演奏する。楽器から放たれる音には、それぞれ演奏者の感情が込められているように、手拍子にもお客さんの感情が込められている。そして二人の感情がこもった歌。魂と魂の交感が繰り広げられる。
 カーテンコールが鳴りやまない。二人が再び登場すると堂珍が「この空間、場所、時間を共有できて幸せだった。デビュー21年目でこういうライヴができて幸せ」と、二人の思いを素直な言葉で届けた。冒頭でオーケストラがOvertureとして演奏した「PIECES OF A DREAM」とは全く違うリズミカルなアレンジで、「PIECES OF A DREAM」を披露した。ライヴでもずっと歌い続けてきた、二人にとって大切な曲を、20周年の締めくくりであり、21周年目に突入したタイミングでの、このスペシャルなコンサートのラストで歌い、CHEMISTRYの"これから"の決意をお客さんに伝える。客席とステージ上の演者、この日のこの瞬間に立ち会った全ての人の思いがひとつになって、圧巻のクライマックスに快感が押し寄せる。「豪華客船の中でライヴをやっているようだった」と笑顔で語る堂珍と、名残惜しそうに客席を見渡す川畑。二人の充実感に満ちた表情が、この日のコンサートの素晴らしさを表していた。
 栗田博文のタクトが、東京フィルの壮大で繊細、多彩なニュアンスを余すことなく引き出し、その音像は明快で"いい音"になって、客席を感動させていた。そして堂珍嘉邦、川畑要という稀代のボーカリスト二人が交差し、化学反応を起こし生まれたCHEMISTRYという"響き"とまさに"交響"した夜だった。デビュー3年目で初めて経験したシンフォニーコンサートを、21年目で行ない、その間に発表した楽曲、その当時演奏した楽曲も披露し、さながらCHEMISTRYの成長を追いかけた、壮大なドキュメント映画を観たような感覚になった。一曲一曲がそのサウンドトラックだった――そう感じた人も多いのではないだろうか。
 このコンサートは、8月7日に大阪フェスティバルホールでも行われる。オーケストラが大阪交響楽団に変わり、二人の歌とどんな"響き"が生まれるのか、楽しみだ。
Text:田中久勝
Photo:成瀬正規
◎公演情報
【CHEMISTRY Premium Symphonic Concert 2022】
2022年7月27日(水) OPEN 17:30 / START 18:30 東京・東京文化会館 大ホール(※終演)
2022年8月7日(日) OPEN 16:00 / START 17:00 大阪・フェスティバルホール
出演:CHEMISTRY
ピアノ:渡辺シュンスケ
指揮:栗田博文
管弦楽: 【東京】東京フィルハーモニー交響楽団 【大阪】大阪交響楽団
編曲監修:山下康介
大阪公演チケット発売中:SS席13,000円、S席11,000円(全席指定・tax in.)
※特製プログラム付き
※未就学児入場不可
大阪公演に関するお問合せ
キョードーインフォメーション 0570-200-888 11:00~16:00(日曜・祝日は休業)

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    神舘和典

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