未知なる挑戦にかけた想いとは ONE OK ROCK『Flip a Coin -ONE OK ROCK Documentary-』レビュー

2021/11/12 14:26

未知なる挑戦にかけた想いとは ONE OK ROCK『Flip a Coin -ONE OK ROCK Documentary-』レビュー
未知なる挑戦にかけた想いとは ONE OK ROCK『Flip a Coin -ONE OK ROCK Documentary-』レビュー


 「自分たちが時代を築いていかなきゃいけないんだな」(Taka)
 2020年10月11日、ONE OK ROCKは初のオンラインライブ【ONE OK ROCK 2020 “Field of Wonder” at Stadium Live Streaming supported by au 5G LIVE】を開催した。新型コロナウイルス感染拡大により9th Album『Eye Of The Storm』を携えたワールドツアーが中止となったONE OK ROCK。無念を晴らしたいという願いとファンへの想いを込めて、ZOZOマリンスタジアムで行われたライブは、世界11万人が同時視聴するという一大イベントとなった。そして今回1年の時を経て、ライブを敢行するまでの3か月間に密着したドキュメンタリー『Flip a Coin -ONE OK ROCK Documentary-』が、10月21日にNetflixで全世界同時配信された。メンバー同士の絆、家族やスタッフとの関係性、未知なる挑戦にかける想いなど、今までなかなか覗くことができなかったONE OK ROCKの「素顔」を捉えたドキュメンタリーとなっている。
 「今まで生きてきて、本当に答えが見つからない瞬間って多分今回が初めてじゃないかな」(Taka)。ドキュメンタリーは新型コロナウイルス感染が拡大していき、最初に日本を震撼させた時期についてインタビュアーと語る場面からスタートする。「何かできることはないかっていう、そういう話し合いで貴寛(Taka)がアイディアを出して」(Tomoya)。そんな中、ONE OK ROCKが初めに行動を起こしたのは2020年5月。「完全感覚Dreamer」を自宅で演奏したパロディ動画「完全在宅Dreamer」を投稿した。メンバーのオフショットが露になり、SNS上で大きな話題を呼んだ。
 2020年8月に入り、ライブのプロジェクトは本格的に動き出す。「リハビリ感があったんですよ。すごく久々にアンプからバコンって鳴らす音聞いた時に“あっこれやった”っていう感覚にもなった」(Toru)。Toru、Ryota、Tomoyaは久しぶりの再会と音合わせを通して、ライブモードへと気持ちを切り替えていく。一方で「アメリカンフットボールのハーフタイムショーっていうのを、ONE OK ROCKなりにこの一時間半で見せられたらいいな」と語るほど、ビックドリームを描いているTaka。このようにドキュメンタリーでは、メンバーの試行錯誤やパフォーマンスをブラッシュアップする過程、ライブ映像を見せることで、一つ一つ楽曲への想いが丁寧に紐解かれていく。
 そんな彼らの試みをいくつか紹介していく。前へと突き進んでいく力強い歌詞に、大勢のバックダンサーが加わったことで世界観が拓いていった「Change」。「スタジアムでできるからこそ、やれることはやりたい」(Toru)。そう語っていた「欲望に満ちた青年団」では、スタジアムの観客席を使った演出を生み出した。ライブタイトルに付けられている新曲「Wonder」は初披露のため、インパクト重視のパフォーマンス作りを行っていく。結果、燃え上がる炎を背にしたメンバーのダンス、ステージ上に映し出されるライブのロゴ、観客席を彩るLEDライトなど、様々な情報が常に目に留まり、まさに”驚き”を与えてくれるパフォーマンスになった。
 また、今回のライブではゲストミュージシャンとの共演も熱かった。バイオリニスト・宮本笑里を迎えての「C.h.a.o.s.m.y.t.h.」。そして、コロナ禍で「同じ世代のアーティストが集まることで何かできないか?」という想いから発足された[re:] projectから三浦大知、KENTA(WANIMA)、阿部真央、清水翔太、絢香、Aimer、Gakushiが集まって披露された「もう一度」。ドキュメンタリーでは、これらのリハーサルの様子ももちろん収められている。
 開催日が近づくにつれて、メンバーやスタッフに緊張感が生まれていくシーンもしっかりと捉えていた。Takaは何よりも観客目線の「聴こえ方」に力を入れていく。ただ“配信ライブ“を行うのではなく、一人一人の満足感や余韻についても徹底的に詰めていく姿にアーティストの本質を感じた。「絶対的に信頼はしているんで」(Tomoya)。「個性が断トツ的に強いんじゃないかな」(Toru)。「今までここまでバンドをグッと引っ張ってくれた」(Ryota)。そんなTakaの背中を見て信頼を置く3人。「このチームで楽しくやりたいなっていうのがあるんですよ」(Taka)。ドキュメンタリーでは後半になるにつれて、お互いがリスペクトし合うONE OK ROCKの姿が段々と浮き彫りになっていくのである。
 またメンバーのプライベートにもフォーカスを当てていた。幼少期から仲の良いRyotaとToruの出会い、Takaが東京の実家に訪れ、父・森進一と幼少期を振り返るシーン、そして今や三児の親となったTomoyaの家族話など、ONE OK ROCKの軌跡をここで改めて振り返ることができた。加えて、漁船に乗り釣りを楽しむTaka、ゴルフ練習を行うTomoya、服を買うRyota、仲間と共に食事を楽しむToruなど、リラックスした様子がいい按配に緊張したシーンとのコントラストで収められている。
 台風が近づき、大雨の中始まったリハーサルのシーンでは、一点一画おろそかにせずカメラワークや照明など最終調整を行っていく。そして、まさにメンバーの気持ちが“不安”から“熱意”へと変わったように晴天となった当日。ラストの楽曲「Wasted Nights」で「皆さんたちも強く生きていってください。必ずこの距離は縮まります。いつの日か」という熱いセリフを残し、見事ライブは幕を閉じた。「中継終了です」という合図と共に、随喜の涙を流す4人とスタッフ。「今後月一でどうですか?」というインタビュアーの冗談に「もう、やりたくないですね(笑)」と笑顔で答えるほど、 “一回きり”だからこそ実現した“全身全霊”が込められたライブだったのだ。
 なお、現在公開中のTakaへのインタビューでは、今後のビジョンについて「今この時にこそ僕らはハングリーにならなきゃいけないと思うんです。この機会を活かして、自分たちが追い求めている夢に対して、もっとみんなが貪欲になって、手を取り合いながら、それぞれが頑張ればいい。今が、もう一度、手を取り合うことができる唯一のタイミングなんじゃないかなって……逆にこれを逃すと、当分それは訪れないと思う。手を取り合って、頑張っている僕らをみて『なんだよ、お前らダセーな』っていう若い世代が出てくるまでは、僕らは僕らの信念を貫き通して頑張らなきゃなって思うんです」と語っている。常に“今”に目を向け、一歩一歩着実に歩み続けるONE OK ROCKをこのドキュメンタリーで是非感じていただきたい。
Text by Tatsuya Tanami

◎番組情報
Netflixドキュメンタリー『Flip a Coin -ONE OK ROCK Documentary-』
配信中
◎リリース情報
LIVE DVD&Blu-ray『ONE OK ROCK 2020 Field of Wonder at Stadium』
2021/11/17 RELEASE
<DVD>
QYBL-90003 / 6,050円(tax in.)
※ポストカードブックレット仕様
<Blu-ray>
QYXL-90001 / 7,150円(tax in.)
※ポストカードブックレット仕様

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