マイ・ケミカル・ロマンスのジェラルド・ウェイ、「ウェルカム・トゥ・ザ・ブラック・パレード」がアルバムに収録されなかったかもしれない理由を明かす
マイ・ケミカル・ロマンスのジェラルド・ウェイ、「ウェルカム・トゥ・ザ・ブラック・パレード」がアルバムに収録されなかったかもしれない理由を明かす

 マイ・ケミカル・ロマンスのジェラルド・ウェイが、Apple Music 1のトラヴィス・ミルズとのインタビューに応じ、3rdアルバム『ザ・ブラック・パレード』の発売から15周年を振り返った。

 2021年10月20日に公開されたこのインタビューで彼は、バンドを代表する楽曲の一つである「ウェルカム・トゥ・ザ・ブラック・パレード」が、このアルバムに収録されていなかったかもしれないことを明かした。

 ウェイは、この楽曲が“最も完成させるのが難しい曲だった”ことから、アルバムから除外されそうになったと説明しており、「より良いものにするために分解されて壊れた感じになってしまっていた」と付け加えている。当初、この楽曲のタイトルは 「The Five of Us Are Dying」になる予定だった。彼は、「レコードの中には、試金石となるような、コンセプトを紹介して、さらに歌詞やテーマがレコード全体のテーマを体現するような、そんな1曲が必要だと感じていた」と語っている。

 バンドは、「ウェルカム・トゥ・ザ・ブラック・パレード」を曲としては楽しんでいたが、ウェイ自身は個人的なつながりが感じられず、結果的にアルバムに収録されることはないと思っていたそうだ。

 彼は、「他の楽曲はテーマやタイトルなどがしっかりしていたから、これはアルバムに入る気がしなかった。でも、俺たちはこの曲をあきらめたくなかった。そこで俺は、このコンセプトを音楽面に持ち込むことにした。“これをブラック・パレードと呼びたい。レコードの中にパレードを入れたい”ってね。そして楽曲を壊しては再構築するというような作業を始めた」と、過程について説明している。「その頃に、ロブが弾くピアノのために冒頭のメロディを書いた。全く新しいイントロと曲の始め方という観点から再アプローチしたところ、残りの部分を修正するのに役立った。壊し始める前にあの曲の話が出てきたときは、特にARのクレイグ・アロンソンがその話をしてきたときは、“シッシッ”って追い払いながら、“ああ、あの曲はつまらない。あれに興味はない”って言ってたんだよね」と彼は振り返っている。

 「ウェルカム・トゥ・ザ・ブラック・パレード」は今やマイ・ケミカル・ロマンスの代名詞とも言える世界的ヒットとなり、米ビルボードのオルタナティブ・エアプレイ・チャート“Alternative Airplay”で1位、総合ソング・チャート“Hot 100”で9位という成功を収めた。アルバム『ザ・ブラック・パレード』は、総合アルバム・チャート“Billboard 200”で2位、ロック・アルバム・チャート“Top Rock Albums”では1位を獲得している。

 アルバムの成功を振り返り、ウェイはこのアルバムが時の試練に耐え、ポップ・カルチャーの定番とみなされていることを誇りに思うと語った。「このアルバムは、発売されてから時間が経てば経つほど、その重要性が増していった。年々、人々があの頃の音楽や時代を振り返るようになると、“ブラック・パレード”が常にあの時代のレコードの一つとして取り上げられるようになった」と彼は語り、「このレコードの中にある世界が、人々の芸術や文章を通して現れて、こう、森羅万象として存在するのを目の当たりにすることができたのが最高だった。あのアルバムがこうやって評価されているのを見れるのがすごいなって思うよ」と述べている。

 マイ・ケミカル・ロマンスは、2022年の再結成ツアーで「ウェルカム・トゥ・ザ・ブラック・パレード」をはじめとする、ファンが最も聴きたい過去曲を披露する予定だ。このツアーは、2020年1月に発表されたが、2021年9月に延期され、さらに来年に延期された。2021年の全日程を延期すると発表した時の声明で彼らは、「非常に悲しいですが、それらの感情は、過去1年の苦しみや喪失を目撃することにより私たちが経験した気持ちの深さのほんの一部に過ぎません」などと真摯な思いを綴っていた。