<ライブレポート>マカロニえんぴつが全国ホールツアー完走「お願いです、また出会ってください」 〈Billboard JAPAN〉|AERA dot. (アエラドット)

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<ライブレポート>マカロニえんぴつが全国ホールツアー完走「お願いです、また出会ってください」

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<ライブレポート>マカロニえんぴつが全国ホールツアー完走「お願いです、また出会ってください」

<ライブレポート>マカロニえんぴつが全国ホールツアー完走「お願いです、また出会ってください」


 マカロニえんぴつの全国ホールツアー【マカロックツアーvol.11 ~いま会いに行くをする篇~】の横浜公演が、5月23日に横浜アリーナにて開催された。

 2020年11月にトイズファクトリーからリリースされたメジャー1st EP『愛を知らずに魔法は使えない』を携え、マカロニえんぴつ史上最大規模で行われているこの全国ホールツアー。ライブツアーとしては2020年1月に行われた公演から約1年3カ月ぶりの有観客ライブツアーとなり、同ツアー中に横浜アリーナでの追加公演もアナウンスされ、昼夜2部制にて行われた。このツアーは緊急事態宣言により振替となった公演、6月17日の大阪・オリックス劇場にてフィナーレを迎えた。本記事では5月23日に横浜アリーナにて開催された夜の部をレポートする。

 ライブが始まる前にSEで流れたのはThe Beatles「Hey Bulldog」。何度も繰り返される「You can talk to me」の歌詞が与えるポジティブな気持ちが会場に広がる。「If you're lonely, you can talk to me」。会場内では声を出してはいけないルールなので話すことはできないのだが、口を動かして喋る以外にも話す方法はあるんだと言っているような、そんな気分が高まる。そしてライブは「生きるをする」「遠心」と、早速疾走感のある楽曲で会場を温めた。

 3曲目に披露された「眺めがいいね」は、ポジティブなタイトルとは裏腹に玉の輿で結婚した女性の空しさを歌った内容だが、今回の状況だと、「眺めがいいね」とはっとり(Vo/Gt)が大声で歌うことそのものにより一層の力強さを感じる。「すごい元気! ありがとう」とはっとりが話すと、「今日2ステージ目なんですけど、2回戦目もビンビンで行くぜ!」と続け、「横浜アリーナという場所でワンマンライブができる。これは当たり前のじゃないし、今日1日をかみしめながら、みんなでステージに立っています。自由に楽しんでください。声を出さなければあとは自由なんで」とオーディエンスに優しい口調で声をかけた。

 そんな優しい口調から始まる「溶けない」やミドルテンポで軽やかに歌う「恋人ごっこ」の後に披露された「STAY with ME」は、ダンサブルな空間を演出し、声を出さない環境下でも会場に一体感を生み出した。対照的に、ライブの中盤で披露されたOasis「Whatever」へのオマージュとしても知られる「春の嵐」は、ストリングスの音と乾いたギターやピアノの音がどこか感傷に浸る雰囲気を最大限に作り出した。そのあとの「愛を知らずに魔法は使えない」でもその雰囲気は引き継がれる。マカロニえんぴつの音楽のシグネチャーの1つとして、言葉にするのが難しい愛情や淋しさや嫌悪などを乾いた音で織りなして、決して言葉で説明しつくさないところにあるだろう。言葉にするのが難しいからこそ言葉とともに音楽があるということが、マカロニえんぴつのライブを見ていると伝わってくる。

 本公演では、5月28日に配信された「八月の陽炎」も披露された。「茹だるような紫の影 君への想いも無理に冷ました夏」のメロディーラインにマカロニえんぴつらしさを感じつつ、日本の夏のジメジメした湿気の中での葛藤がここまで走り抜けて繰り出されることに改めて驚く。その後、オーディエンスの手拍子とバンドメンバーのセッションが発生し、ご機嫌な様子で「ルート16」の1節を披露して、その場限りのアンサンブルを楽しんだ。

 ライブも終盤に差し掛かると、マカロニえんぴつの中でも特徴的なサウンドを持つ「ノンシュガー」、そして「こんなツアーファイナルは今までなかったというぐらい幸せでいっぱい」、そして「せっかくこの場でこういう関係になれたのだから、1つ言わせてください。あなたたちがポロポロ落としてきた幸せや後悔、全部全部全部ひとりで引き受けに参りましたマカロニえんぴつです、どうぞよろしく。全部拾いに来たぞー!」とはっとりが伝えて最後に披露したのは「ブルーベリー•ナイツ」、「カーペット夜想曲」、そして「ミスター・ブルースカイ」だった。

 「ロックバンドはあなたがいないと、ライブがないと死んでしまうと、つくづく痛感したツアーでした。お願いです、また出会ってください」と説に話したはっとり。「ミスター・ブルースカイ」で出てくる言葉「とりあえずまた明日」や、アンコールの「はしりがき」で出てくる言葉「ただ あなたには自分を愛してほしいだけなのです」など、翌日以降のオーディエンスへの置き土産となるような言葉が伝えられて、本公演は終了した。自身の感情がどうしようもないときにマカロニえんぴつを聴いてみると、そこに自信とリンクする言葉にはできない確固とした感情が宿っていると感じる人もいるだろう。マカロニえんぴつはどんな時でもリスナーに何かを語り掛けてくるバンドだ。もし孤独な気持ちになっても、マカロニえんぴつはその話し相手になってくれるはずだ。

 ちなみに、本公演の最後には、次回ツアー開催の発表や、マカロニえんぴつのファンクラブ開設がアナウンスされている。


Text by Akihiri Ohta
Photo by Daisuke Sakai


◎公演情報
【マカロックツアーvol.11 ~いま会いに行くをする篇~】横浜公演 夜の部
2021年5月23日(土)
神奈川・横浜アリーナ

<セットリスト>
1. 生きるをする
2. 遠心
3. 眺めがいいね
4. 溶けない
5. 恋人ごっこ
6. STAY with ME
7. 春の嵐
8. 愛を知らずに魔法は使えない
9. メレンゲ
10. 八月の陽炎
11. ルート16
12. ノンシュガー
13. ブルーベリー・ナイツ
14. カーペット夜想曲
15. ミスター・ブルースカイ
-Encore-
1. はしりがき


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