中川英二郎/エリック・ミヤシロ/本田雅人によるSUPER BRASS STARSの公演レポートが到着 〈Billboard JAPAN〉|AERA dot. (アエラドット)

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中川英二郎/エリック・ミヤシロ/本田雅人によるSUPER BRASS STARSの公演レポートが到着

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中川英二郎/エリック・ミヤシロ/本田雅人によるSUPER BRASS STARSの公演レポートが到着

中川英二郎/エリック・ミヤシロ/本田雅人によるSUPER BRASS STARSの公演レポートが到着


 トロンボーンの中川英二郎、トランペットのエリック・ミヤシロ、サックスの本田雅人。昨年9月にKAJIMOTOが企画して好評を得たオンライン・フェスで生まれた、研ぎ澄まされたスキルとスケールの大きな音楽観を持つ3人のユニットがSUPER BRASS STARSである。

 その三者の重なりが導く、滋味や訴求力や飛躍力はまこと破格。本来は閉じられた場における密かな楽しみであったはずの出し物が、6月29日にすみだトリフォニーホールという開かれた場で、満場の観客を前に披露された。

 第一部は、まさに3人によるパフォーマンスが繰り広げられた。ベース・ラインを吹くトロンボーンの演奏から始まった瀟洒な中川の曲「Heaven's Kitchen」からこのSUPER BRASS STARSの魅力、意義が全開となる。3人で吹きあったり、1人が休んで2人のデュオで事が進められたり、本当に自由自在。この3人だったらどんな行き方も可能だし、あっと驚くこともできてしまうことを知らしめる。その一方、デュオ編成でやったり、中川と本田はそれぞれソロでその技量を問いもする。PAなしの完全生音で繰り広げられた演奏は各楽器の音色の魅力や多彩さ、それら管楽器の無限と言いたくなる重なりの妙を存分に差し出していた。

 曲間には、その際だけマイクを持つ彼らがMCを入れる。そのくだけた会話や思うままの演奏に触れると、このユニットは信頼しあえるこの3人だからこそのものであるのがよく分かるし、これまで様々な形で絡んできた彼らの歩みや輝かしい蓄積を透かし見させるところがあった。

 第二部は、新日本フィルハーモニー交響楽団との共演。また、ピアノの宮本貴奈、ベースの川村竜、ドラムの髭白健といった、中川らと気ごころの知れたミュージシャンたちもそこに加わった。テンポがいろいろ変化していく中、フロントに立つ3人が次々にソロを取り合っていくチック・コリアの人気曲「スペイン」から開始されたが、それらのオーケストレーションはエリック・ミヤシロや中川の兄の中川幸太郎が担う。そして、溌剌と指揮をする1984年生まれの川瀬賢太郎はかつて吹奏楽でクラリネットを吹いていたことがあり、フロントに立つ3人は憧れの存在であったという。

 1+1+1が3にも4にも5にもなるSUPER BRASS STARS表現が、70人もの演奏家たちの助力のもと、よりカラフルに、得難い輝きを携えて宙に舞っていく。その様は、贅沢きわまりなく、荘厳とも言いたくなる。当然のことながら、その共演にはジャズとクラシックのふくよかなマリーアジュがあった。

 アンコール曲は吹奏楽の定番曲になっている、かつて本田が在籍したT-SQUAREの「宝島」(メンバーの和泉宏隆作)だった。第一部で本田は独奏の際に、この4月に夭折した和泉が書いた「FORGOTTEN SAGA」を演奏。第二部の「スペイン」もこの2月に亡くなったチック・コリア追悼の意味が与えられていた。かような指針は、SUPER BRASS STARS表現が高い音楽性の開示に留まらない、先達や仲間たちとの繋がりも抱えた“思い”のユニットであることを示唆するだろう。

 忌憚なく音楽愛や同士愛を澄んだ心持ちで重ね合い、それを人前で披露できる喜びが、第一部、第二部ともに横溢する。それは眩しい光景であり、会場にはなにかとても祝福された空間がぽっかりと出来上がっていた。<最小限の美>と<最大限の誉>に、ため息をついた。Text:佐藤英輔 Photo:Yusuke Kitamura

◎公演情報
【トリフォニーホール・グレイト・ブラス&ウィンズ・シリーズ
中川英二郎 × エリック・ミヤシロ × 本田雅人
SUPER BRASS STARS meets 新日本フィル】
2021年6月29日 (火)
OPEN18:00 START19:00
すみだトリフォニーホール 大ホール
チケット:S席5,000円 A席4,000円 U25席2,500円

出演:Super Brass Stars
中川英二郎(トロンボーン)/ エリック・ミヤシロ(トランペット) / 本田雅人(サクソフォン)
川瀬賢太郎(指揮)
新日本フィルハーモニー交響楽団
宮本貴奈(ピアノ)
川村竜(ベース)
髭白健(ドラムス)


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