全米でコンサート復活も、米連邦政府の助成金遅延でブッキング難航 〈Billboard JAPAN〉|AERA dot. (アエラドット)

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全米でコンサート復活も、米連邦政府の助成金遅延でブッキング難航

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全米でコンサート復活も、米連邦政府の助成金遅延でブッキング難航

全米でコンサート復活も、米連邦政府の助成金遅延でブッキング難航


 米国でコンサートが復活し、今年の秋は忙しく競争の激しいシーズンになりそうだ。しかし、昨年12月に米連邦議会が承認した160億ドル(約1兆7,700億円)規模のShuttered Venue Operators Grant(SVOG / 閉鎖された会場運営者への助成金)の提供が米中小企業庁(SBA)によって遅延しているため、独立系の会場やプロモーターは、堅調な復帰に向けた準備ができない状態におかれている。

 この15か月間、新型コロナウイルスの規制により、会場のほとんどは閉鎖されていた。SVOGは独立系の会場を永久的な閉鎖から救い、彼らがパンデミックの期間に借入金に頼っていた大手プロモーターのライブ・ネイションやAEGと対等な立場に立てるように作られた。しかし、まだ小切手は発行されておらず、誰が助成金を受け取っているか定かではない。6月21日の時点で、SBAからSVOGの基金を受け取ったのは、申請された約13.5%にあたる677の会場やプロモーターに過ぎない。ほとんどの会場が、コンサートを再開するためにすぐにオープンできるが、従業員を再雇用し、アーティストをブッキングするための前金、コンサートを開催して再び資金が得られるようにするためには、基金の必要性が高まるばかりだ。

 米アリゾナ州フェニックスにある300人収容のレベル・ラウンジのオーナーであるスティーヴン・チルトンは、「すべてが急速に変化している」と述べた。「9月、10月、11月は大変なことになることは誰もが分かっています。しかし、現在収入がないので、その需要に対応できるだけの人員を確保するのが難しい」と続けた。

 音楽フェスティバルのシーズンが近づくにつれ、独立系プロモーターはSVOFの基金を待っている間に、どのように行動すべきかという厳しい決断に迫られている。Prime Social Groupの共同設立者兼社長のアダム・リンは、SVOGの申請状況が不確かなため、今年複数都市で開催される【Breakaway Music Festival】の6公演のうち3公演をキャンセルし、2021年後半に延期した。

 他のプロモーターの状況はさらに酷く、「多くの独立系プロモーターは、アーティストへの前金や制作費をすでに支払済みのため、ファンに返金することができない。これらのプロモーターは今、SVOGの基金が間に合うことを祈っている。さもなければ、直前になって公演をキャンセルせざるを得なくなり、さらに多くの資金を失うどころか、顧客の信頼も失うだろう」とアダム・リンは説明した。

 Entourage Talentのエージェントであるウェイン・フォルテによると、独立系ビジネスは、ライブ・ネイションやAEGなどの大手企業のように現金を入手できない。そのため、資金不足に陥りかけている独立系のコンサート関係の会社が多いという。一方で、多額の借り入れを行っている会社もあるようだ。

 フォルテは米ビルボードに対し、「SBAは最初全く知識がありませんでした。彼らは私たちのビジネスがどのように機能するかを知らずにこのプロジェクト(SVOG)に立ち上げたのです」と述べた。基金の配布されるスピードが速まり、関係者は毎日SBAと打ち合わせを行い、SBAの進捗状況を確認しているようだ。しかし、遅延により負債が多すぎるプロモーターやエージェントが債務不履行に陥り、多くの会社が融資を受けた条件から、キャッシュ・フローの危機が発生するのではないかという懸念が生じている。

 「残念ながら、問題があったとしても、手遅れるなるまでわからないでしょう」とフォルテは付け加えている。


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