ちゃんみな【THE PRINCES PROJECT 5】夜公演、画期的な2部構成ライブで広げた可能性 〈Billboard JAPAN〉|AERA dot. (アエラドット)

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ちゃんみな【THE PRINCES PROJECT 5】夜公演、画期的な2部構成ライブで広げた可能性

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ちゃんみな【THE PRINCES PROJECT 5】夜公演、画期的な2部構成ライブで広げた可能性

ちゃんみな【THE PRINCES PROJECT 5】夜公演、画期的な2部構成ライブで広げた可能性


 ちゃんみなのオフィシャル・ライブレポートが到着した。

 ちゃんみなが6月15日、大阪オリックス劇場で有観客ライブを行い、5月から始まった全国ツアー【THE PRINCES PROJECT 5】のファイナルを迎えた。本公演は昼の部と夜の部にわかれており、ストーリー仕立てで構成されたもの。本稿では、5月25日に中野サンプラザで行われた東京公演の模様をレポートする。

【夜公演】

 夜公演は、まち外れの小さなバーで働くある少女に起きた出来事という設定で始まった。ファンファーレが鳴り響き、幕が開くと、スーツ姿のダンサーとバンドがスタンバイ。ちゃんみなはエアリアルフープで宙を舞いながら登場。「Angel」「I’m a Pop」を歌い、ダンサーたちと息の合ったダンスを披露する。女王のようにふるまいながらも、その衣装からは、彼女がストリッパーとして生きていることがわかる。「Rainy Friday」「Like This」と続け、客から投げ入れられたチップを拾いつつ、ひとり残されたステージで「In The Flames」を歌い、バーカウンターで酔い潰れる。自信に満ちた昼公演とうってかわって、寂しげで悲しげな、寂寥感の伝わるステージ。

 そんな彼女のもとにピエロたちがやって来る。彼らは酔い潰れたちゃんみなを起こそうと、コミカルな動きで彼女を運び出す。連れてこられたのは、かつて彼女が所属していたサーカス団の楽屋。「ボイスメモ No. 5」「Call」を歌いながら、サーカス団員たちが踊りをレクチャーしていく。しかしバーでのストリップ生活がすっかり染みついてしまったせいか、なかなかうまく踊ることができない。昔の衣装を着せてもらったりするうちに、少しずつ踊り方を思い出していく。

 そしてドラムロールが流れ、サーカスが開演。ステージにいるのはちゃんみなだ。ピエロたちと一緒に「LADY」を歌うと、ステージに光があふれ、ライブの空気が変わる。更に続けて、ハッピーな雰囲気で「CHOCOLATE」を歌う。客席ではピンクのペンライトが揺れる。

 だが、なかには彼女を蹴落としたい人物もいる。かつてのライバルだ。「ルーシー」が始まるとライバル軍団が登場。全員が手鏡をちゃんみなに向かって掲げる。まるで「あんたの醜さを見てみなさい」とでもいうように。そして「Needy」が始まると、鏡台には青色の薬がある。ライバルは薬を飲みながら自分の身体を誇らしげにメジャーで測っている。そんなライバルの姿を見て、ちゃんみなはその薬を飲んでしまいたいと思う。でも飲まずに踏みとどまる。それでも幻覚のような何本もの手が誘惑してくる。葛藤しながらも、彼女は誘惑に負けない。昼公演では不協和音が支配していた「Needy」のアウトロは、今度は美しいメロディを響かせる。その代わり、薬を飲んでボロボロになっていたのはライバルの方だった。

 サーカスでのステージを終えて自宅に戻ったちゃんみなのもとにサーカス団のピエロのうち1人が訪れ、ふたりで「Morning mood」を踊る。このピエロは実は昼公演の彼と同一人物であった。そして前と同じようにサーカス団のステージに上がる日々がはじまる。だが一度地獄を見た彼女の行動は以前とは少し違う。ひとまわり成長し、腹を決めた大人の女性の姿がそこにある。「本当は嘘ついてた」という「note-book」の歌詞は後悔と反省のあとの素直な語りにも取れるが、一方でちゃんみなの表情にはどこか諦めを感じるし、昼公演で切なく響いた「Princess」は復活した女の逆襲の曲に聴こえる。ダイナミックなギターとドラムのアレンジが勢いを倍増させたあと、ちゃんみなは飲むのを躊躇っていた薬を一息に飲む。

 そして最後のドラムロール。大胆なピアノアレンジを加えた「Never Grow Up」はこれまでにないほど美しい音色を響かせ、客席からの拍手はこの日いちばん大きくなり、オーディエンスの心の声が最高潮に達したところで「美人」。

 ここでサーカス団のショーは終わり、エピローグ的に「ダリア」がはじまる。2Fステージにひとりであがるちゃんみなは、フープにまたがってエアリアルをしながら孤独に歌う。一方地上では、ショーを終えた団員たちが日常に戻り、それぞれ帰路に着こうとしている。ひとつのステージの上で、もっとも緊張感あるパフォーマンスと、もっとも緊張感のない日常のシーンが同時に行われている光景はやや異様だ。その異様さは終盤にピークに達する。エアリアルを終えたちゃんみなが空中からステージに戻り、音楽が最後の一音に達する時、すべての団員たちが目線をちゃんみなに向ける、するとちゃんみなはまるで自死を想起させるかのようにステージから忽然と姿を消す。団員たちは次の瞬間、まるで何事もなかったかというように、今までのことを全部忘れてしまったかのように、それぞれの日常に戻っていくーー。こうして夜公演の本編は終わった。

 再びしばらくの無音と暗闇が続いたあと、明かりが灯り、幕間からちゃんみなが登場。大きな拍手が起きる。オーディエンスを立たせ、アンコールは2回目の「Never Grow Up」。大きな拍手に包まれる中、「私にとってひとつの目標であり、きっかけであり、門出の印でもある、ここにいるすべての人をずっと連れて行きたかった場所へ行けることになりました」と、今秋10月15日に東京武道館での初となる単独公演【THE PRINCESS PROJECT - FINAL -】が開催されることを涙ながらに発表。これはダンサーたちも初めて聞かされる内容だったようで、デビューから活動をともにしてきた彼らの目にも涙が浮かんでいた。ラストは「SAD SONG」。感極まって歌に詰まるちゃんみなにフロアから大きな拍手が送られ、大きな感動のなかで【THE PRINCES PROJECT 5】は幕を閉じた。

 さて、本公演は、ストーリー仕立ての2部構成によるライブであった。元来、ちゃんみなのライブにはなんらかの物語性が込められていることが多く、昨夏にYouTubeで配信されたMV風オンラインライブなどではその傾向が顕著になってきていたが、今回はその路線をさらに推し進めた挑戦的な取り組みだった。と同時に、客席で密になったり声を出したりすることがはばかられる昨今の状況を逆手に取ったアイデアでもあった。

 異なるストーリーを土台に構成されると、同じ曲であっても、オーディエンスが受け取る印象は変わってくる。文脈によって歌詞の意味も違って聞こえる。もちろん、ストーリーなど追わなくとも、彼女の歌と迫力あるバンドの演奏と、美しいダンサーたちの踊りを楽しむだけでライブとしてはじゅうぶん成立している。しかしより集中してステージに目を凝らし、耳を澄ませば、そこには様々な考察が可能になる豊かな物語展開があった。

 演劇や映画、さらには本物のサーカスの要素を取り込んだ本公演は、音楽ライブの可能性をさらに広げた画期的なものだったかもしれない。この路線が今後も続くかどうか現時点ではわからないが、ライブを行うごとに何かを更新し、証明してきたちゃんみなだから、彼女にとって初となる日本武道館単独公演でどのようにオーディエンスを楽しませてくれるのか、期待が高まってしまう。

 なお、日本武道館公演が開催される10月15日の前日は、ちゃんみな23回目の誕生日でもある。なにか大きな感動が待ち構えている気がするのは、筆者だけではないだろう。

 5月25日に開催された東京公演にて、自身初となる日本武道館でのワンマンライブが10月15日に開催されることを発表したちゃんみな。7月1日からファンクラブでのチケット最速先行受付が開始される。常に前進し続けるちゃんみなの動向を、逃さずチェックしてほしい。

Text by 山田宗太朗
Photos by 井手康郎

◎セットリスト
【THE PRINCES PROJECT 5】
2021年6月15日(火)大阪オリックス劇場
<夜の部>
01. Angel
02. I’m a Pop
03. Rainy Friday
04. Like This
05. In The Flames
06. ボイスメモ No. 5
07. Call
08. LADY
09. CHOCOLATE
10. ルーシー
11. Needy
12. Morning mood
13. note-book
14. Princess
15. Never Grow Up
16. 美人
17. ダリア
En 1. Never Grow Up
En 2. SAD SONG

◎ライブ情報
【THE PRINCESS PROJECT - FINAL -】
2021年10月15日(金)日本武道館


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