米カリフォルニア州のライブ会場、規制緩和も多くは営業再開が実現不可能な状況に 〈Billboard JAPAN〉|AERA dot. (アエラドット)

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米カリフォルニア州のライブ会場、規制緩和も多くは営業再開が実現不可能な状況に

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米カリフォルニア州のライブ会場、規制緩和も多くは営業再開が実現不可能な状況に

米カリフォルニア州のライブ会場、規制緩和も多くは営業再開が実現不可能な状況に


 米カリフォルニア州公衆衛生局は、2021年4月15日から屋外および屋内でコンサートが再開できると発表した。同州のBlueprint for a Safer Economy(より安全な経済の詳細な計画)の再開の枠組みでは、郡や市の危険レベル4段階(パープル=蔓延、レッド=多い、オレンジ=わずか、イエロー=最小)がレッド、オレンジ、イエローのいずれかに分類される場合、収容人数の制限や、物理的な距離を置くこと、チケットの事前購入、飲食用に指定されたエリア、州内の居住者に限定した入場条件を守れば、コンサート会場の営業再開を許可している。

 4月1日以降、屋外の会場ではすべての危険レベルにおいてコンサートの再開が許可されている。最も危険レベルの高いパープルの郡にある会場は、グループ間の距離が2メートル以上確保されれば、100人までの収容が可能で、会場から約200キロメートル以内に住むファンのみ参加することができる。危険レベルがレッドの場合、会場のキャパシティの20%の収容人数が認められている。

 現在ほとんどの郡が属するオレンジの場合、キャパシティの33%か入場する72時間以内に受けた検査で全ての入場者が陰性の結果を提示するか、完全なワクチン接種の証明書を提示すればキャパシティの67%の収容人数が認められている。イエローの段階では、キャパシティの67%まで認められ、制約の多い会場と同様に、全ての来場者は米カリフォルニア州の居住者に限られる。

 パンデミックの期間、米カリフォルニア州はコンサートの再開に関して最も厳しい州のひとつだった。1年以上もの間、観客はコンサートに行けず、ドライブ・イン・コンサートやライブ配信を楽しむしかなかった。しかし、急速なワクチンの普及と新型コロナウイルスの感染者が減少していることから、ビジネス再開の進展はさらに進んでいる。今月、コンサート会場に対する規制が緩和されたことは、米カリフォルニアにある会場にとって歓迎すべきことだが、多くの会場はまだ数か月間コンサートは開催できそうにないと述べている。

  米カリフォルニア州バークレーにある8,500人収容のグリーク・シアターを運営するアナザー・プラネット・エンターテインメントのプロダクション・ディレクターのロジャー・ピコーネは、「コンサートの再開許可は本当に励みになりますが、それでは上手く行きません。収容人員一杯で運営できなければ、今の時点でコンサートを開催することはできません」と語った。彼は米カリフォルニア州の独立系会場の連合体であるNIVA CAの共同設立者でもある。ピコーネによると、グリーク・シアターをキャパシティの33%の観客だけで運営するのは、スタッフの人件費やアーティストへの費用を考えると金銭的に実現不可能であり、イエローの段階(キャパシティの67%)では、公演は赤字になってしまうそうだ。コンサートに関する州のガイドラインについてピコーネは、「以前は全く暗闇の中でしたが、今は話し合いがされています。これは励みになります」と述べた。「しかし、業界全体の姿勢として、100%のキャパシティでなければ営業しないことになっています。それが実現しない限り、コンサートやツアーの復活はありえません」と続けた。

 4月2日に発表された新ガイドラインで、危険レベルがレッドに属する収容人数が1,501人以上の屋内会場では、キャパシティの20%の観客数でコンサートを開催できるが、観客は新型コロナウイルスの検査またはワクチン接種の証明が必要となる。危険レベルがオレンジとイエローの場合、大規模な会場はキャパシティの10%または2,000人の収容が許可される。もし、新型コロナウイルスの検査またはワクチン接種の証明を条件にすると、オレンジに属する会場の収容人数はキャパシティの35%、イエローの場合は50%まで許可される。危険レベルが最も高いパープルでは、屋外イベントのみが許可される。

 収容人数が1,500人以下の屋内会場では、レッド、オレンジ、イエローの場合、それぞれ10%または100人、15%または200人、25%または300人の収容が可能となる。観客全員が検査を受けるか、完全なワクチン接種の証明書を提示した場合、レッド、オレンジ、イエローの各段階で、それぞれ25%、35%、50%に収容人数が増加する。

 会場の大きさや郡の危険レベルに関わらず、すべてのコンサートにおいて参加者はマスクの着用を義務付けられ、チケット売り場での密集を避けるため、事前にチケットを購入する必要がある。

 米ロサンゼルスにある500人収容のロッジ・ルームのブッキングをしているラガヴ・デサイは、このようなキャパシティの制限下での公演を想像するのは難しいと言う。デサイは、25%のキャパシティで公演を開催したとしてもアーティストの出演料を支払う金額がほとんど残らないと米ビルボードに語り、マスク着用の義務、社会的距離の確保、ワクチン接種の認証は「当てにできない」と述べた。デサイは「個人的な意見ですが、私は慎重に行動しています。なぜなら、このような危険レベルの変化があまりにも早く起きているからです。まるで早すぎる勝利宣言のように感じます」と語った。「私が一番避けたいのは、キャパシティを制限したコンサートが、スーパースプレッダー・イベントになってしまうことです」と説明した。

 米カリフォルニア州保健局の発表によると、今回の規制緩和は、感染者数の減少と約2,000万人のワクチン配布が根拠となっている。また、4月6日の記者会見で、ギャビン・ニューサム知事は同州はBlueprint for a Safer Economyのガイドラインが不要になるぐらい回復すると予見し、6月15日までにビジネスにおける制限を全て解除することを発表した。ニューサム知事はマスク着用義務と「常識的な健康対策」を維持するつもりである。

 6月15日までにコンサートが再開するのは難しいかもしれないが、観客を入れたスポーツ・イベントの実施も許可されており、限られた数のファンを迎えるための費用を援助する方法がある。「メジャーリーグ・スポーツは、放送局のスポンサーなどで支えられており、収容人数は関係ありません」とピコーネは言う。「5万人収容のスタジアムに1万人を収容しても、他の収入の柱がなければ経済的に成り立ちません」と続けた。

 米ロサンゼルスにあるバンク・オブ・カリフォルニア・スタジアムは現在、4月17日にホーム・チームであるロサンゼルスFCの初のホーム・ゲームに観客を入れて開催する準備を進めている。同スタジアムのエンターテインメント&開発副社長であるライアン・ノースカットは、サンタナ、ガンズ・アンド・ローゼズ、マルーン5などすでに発表されたコンサートの前に、今年はロサンゼルスFCのホーム・ゲームを少なくとも17試合開催する予定であると述べた。ノースカットは「私たちは、2週間以内に試合が始まるチームの恩恵を受けています」と述べ、「もちろん、私たちは前進する道があることに興奮しています。ですが、ルールや規制が目まぐるしく変化しています。郡や州のレベルで起こりうることを想定し、どのような状況でも対処できるように準備しています」と続けた。ノースカットは「2022年のスケジュールはすごいことになりそうです。会場の抑えがこんなに先まで山積みのカレンダーは見たことがありません」と述べた。「2022年は、その年の終わりに思い返したときに、“あれは信じられないほど素晴らしかった”と思えるような年になる可能性があります」と説明した。

 感染者数がこのまま減少すれば、規制が解除され、アーティストの公演が決定し、チケットの販売や適切な安全対策を行うことができるようになるため、多くの会場は夏の終わりから秋にかけてコンサートを定期的に再開できると考えている。しかし、全国規模のツアーの復活は2022年になるだとうと予想されている。


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