【LIVE HOLIC extra vol.5】、アコースティックで行われた大阪公演のレポート到着
【LIVE HOLIC extra vol.5】、アコースティックで行われた大阪公演のレポート到着

 日本最大の音楽専門チャンネル「スペースシャワーTV」と、KDDIとぴあが提供するエンタテインメント・サービス「uP!!!」が主催するライブイベント【uP!!! SPECIAL LIVE HOLIC extra vol.5 supported by SPACE SHOWER TV】。今年は2月23日にバンドセットでの東京公演がUSEN STUDIO COASTにて開催。そして、3月14日にアコースティックセットでの大阪公演がなんばHatchにて開催された。

 大阪公演第1部のトップバッターは、キュウソネコカミのヤマサキセイヤ。今まで弾き語りは野外ばかりで、何と室内での弾き語りは初めてという。普段はバンドでワーキャー騒いでるからなどと笑いながら話すが、1曲目フジファブリックのカバー「桜の季節」で、一瞬で落ち着いた雰囲気に持っていく。続く自身の曲「泣くな親父」は、普段のバンドでの畳み掛ける力強いパワーを感じさせた。奥田民生のカバー「さすらい」を挟み、自身の曲「ぬいペニ」へ。ラストは時間迫っている中ではあったが、シャ乱Q「いいわけ」を1番だけ歌いきる。トップバッターとして、最高に潔いステージだった。

 2番手はBIGMAMAの金井政人&東出真緒。ライブ会場でしか披露されず、去年遂にリリースされた「セントライト」からスタート。伸びやかで拓けた歌声と演奏に魅了される。続く「The Naked King ~美しき我が人生を~」では、金井が足元にあるルーパーを使って、ギターの音色を重ねて、音を作っていく。LiSAのカバー「わがままケット・シー」から、東出もルーパーでヴァイオリンの音色を重ねていった「A KITE」へ。金井の奏でるミニ鉄琴もスパイスになり、素敵な演奏になった。ラストはリズミカルな「神様も言う通りに」でしめ。金井の「本当にこれ以上の言葉は無いと想います。また、逢いましょう」という言葉が本当に沁みた。

 3番手はマカロニえんぴつのはっとり。リハで鳴らしたOasis「Whatever」からお得な気分しか無かったが、奥田民生のカバー「野ばら」から歌われる。普段バンドでやらない曲を聴けるのは、弾き語りの醍醐味。2曲目でも、はっとりの姉の結婚式で作られ、弾き語りでしかやっていないという「キスをしよう」を披露。続く「はじめの一歩」は保育園時代に歌っていた童謡で、人前でやるのは初めてだという。そして、インディーズ時代の壮大なミドルバラッド「春の嵐」を経て、はっとりは堰を切ったように音楽への熱い想いを語り出した。ラストは「ヤングアダルト」と、有無を言わさないライブであった。

 ラストバッターは、THE BACK HORNの山田将司。22年前のインディーズ時代の楽曲「冬のミルク」から歌われたが、第1部で1番の年長者とあって威風堂々感が凄かった。「こんな昼間から弾き語りってオツですね」と歌い終わりに話していたが、何よりも「冬のミルク」からの始まりがオツすぎた。CMでもお馴染みの山田のソロ楽曲「きょう、きみと」は、繰り返される「きょう」という歌詞も印象的で、自然に聴き入ってしまう。ラストは、ソウル・フラワー・ユニオンの楽曲で、BRAHMANもカバーする「満月の夕」。阪神淡路大震災から26年、東日本大震災から10年と話した上で、ここ関西で歌われる歌は、どうしようもなく心を揺さぶった。こうして、第1部は幕を閉じた。

 第2部のトップバッターは、サイダーガールのYurin。初めてひとりで弾き語りを披露するので、「緩くやっていこうと思います」と恐縮していたが、いざ1曲目「パレット」が歌われると、そのエネルギッシュな歌声に驚かされる。途中、メンバーが歌うパートでは「寂しい」と漏らしていたが、ひとりで弾き語りという意味では充分に成立していた。3曲目「エバーグリーン」では、SHE’Sの井上竜馬とコラボを。演奏前のふたりの穏やかな楽屋話の様なMCも良かった。椎名林檎のカバー「丸の内サディスティック」から、最後は「ドラマチック」へ。サングラスが振り落とされる程の熱唱に目を奪われた。

 2番手は、andropの内澤崇仁。初っ端からサイダーガールのカバー「なまけもの」を歌うという粋な感じを見せてくれる。続けて、5月に活動休止するHalo at 四畳半の「snowdome」もカバーするというのも粋でしか無かった。3曲目は、難病であるALSを患いながらも音楽活動を続けるDJ MASAとのコラボ楽曲「EVERYONE, CHALLENGER」へ。DJ MASAからのメッセージを読んでから、歌い始める。ラストは「Hikari」が歌われたが、「いつまでも、あなたの心に光が灯りますように」という言葉も、こんな御時世だからこそ、いつも以上に胸に響いた。

 3番手は、SHE’Sの井上竜馬。この日唯一の鍵盤での弾き語り。「追い風」、「Your Song」を立て続けに歌うが、全人類が普通に出来ていた事が出来なくなった事をしっかりと話す姿は、誠に真摯だった。コロナ禍で弾き語りライブが増えるも、レパートリーが無い事を反省してると明かした上で、あまり普段やらない「ミッドナイトワゴン」へ。時間に余裕がある事を確認して、本日がホワイトデーという事から、急遽「White」をワンコーラスと「月は美しく」ワンコーラスが歌われた。ラストは、andropの内澤と「Curtain Call」へ。仲の良さと、互いへの敬意が伝わるコラボであった。

 第1部、第2部通して、この日のラストバッターはストレイテナーのホリエアツシ。1曲目からColdplay「Yellow」が歌われるという、本当に雰囲気がある出だしがたまらない。バンドのツアーが終わるまで、今回の出演も発表しなかったというMCも、ひとつひとつのライブをやりきってから次へという誠実な姿勢が垣間見えて素晴らしかった。ロマンチックな歌詞ながらもエモーショナルなメロディーの「シーグラス」は、2年前の「LIVE HOLIC」で歌った時の映像がカラオケ映像で使われているという裏話も明かされる。ラストは、7年前の「LIVE HOLIC」で対バンしたandropの内澤と、内澤が好きだという「シルエット」を披露。この日の、本当の最後の歌が、しっとりとした歌で終わっていくのは凄く素敵であった。LIVE HOLIC extra vol.5 東京公演の模様は4月30日に、大阪公演の模様は5月にスペースシャワーTVで放送予定。

取材・文=鈴木淳史/撮影=渡邉一生

◎セットリスト
第1部:
ヤマサキセイヤ(キュウソネコカミ)
M1 桜の季節 (フジファブリック Cover)
M2 泣くな親父
M3 さすらい (奥田民生 Cover)
M4 ぬいペニ
M5 いいわけ (シャ乱Q Cover)

金井政人&東出真緒 (BIGMAMA)
M1 セントライト
M2 The Naked King ~美しき我が人生を~
M3 わがままケット・シー (LiSA Cover)
M4 A KITE
M5 神様も言う通りに

はっとり(マカロニえんぴつ)
M1 野ばら (奥田民生 Cover)
M2 キスをしよう
M3 はじめの一歩 (作詞:新沢としひこ 作曲:中川ひろたか)
M4 春の嵐
M5 ヤングアダルト

山田将司(THE BACK HORN)
M1 冬のミルク
M2 きょう、きみと
M3 瑠璃色のキャンバス
M4 15歳
M5 満月の夕 (BRAHMAN Ver.)

第2部:
Yurin(サイダーガール)
M1 パレット
M2 アンブレラ
M3 エバーグリーン
M4 丸の内サディスティック (椎名林檎 Cover)
M5 ドラマチック

内澤崇仁(androp)
M1 なまけもの (サイダーガール Cover)
M2 snowdome (Halo at 四畳半 Cover)
M3 EVERYONE, CHALLENGER.
M4 Hikari

井上竜馬(SHE'S)
M1 追い風
M2 Your Song
M3 ミッドナイトワゴン
M4 White (Short ver.)
M5 月は美しく (Short ver.)
M6 Curtain Call

ホリエアツシ(ストレイテナー)
M1 Yellow (Coldplay Cover)
M2 DAY TO DAY
M3 シーグラス
M4 さよならだけがおしえてくれた
M5 シルエット

◎公演情報【uP!!! SPECIAL LIVE HOLIC extra vol.5 -OSAKA(Acoustic Set)-】
第1部:金井政人&東出真緒(BIGMAMA)、はっとり(マカロニえんぴつ)、ヤマサキセイヤ(キュウソネコカミ)、山田将司(THE BACK HORN)
第2部:井上竜馬(SHE’S)、内澤崇仁(androp)、ホリエアツシ(ストレイテナー)、Yurin(サイダーガール)
初回放送:5月放送予定

【uP!!! SPECIAL LIVE HOLIC extra vol.5 -TOKYO(Band Set)-】
ACIDMAN / XIIX / 緑黄色社会
初回放送:4月30日(金) 22:00~23:00