ザ・ウィークエンド、今後は【グラミー賞】をボイコットすると宣言
ザ・ウィークエンド、今後は【グラミー賞】をボイコットすると宣言

 【第63回グラミー賞】で作品が一つもノミネートされなかったことが大きな波紋を呼んだザ・ウィークエンドが、今後は【グラミー賞】の選考審査に自身の作品を出さないと宣言した。

 ザ・ウィークエンドは、大ヒットアルバム『アフター・アワーズ』やシングル「ブラインディング・ライツ」などが、“ビッグ・フォー”と呼ばれる主要4部門にノミネートされることが確実視されていた。ところが2020年11月24日に発表された候補者リストに彼の名は無く、彼はTwitterに、「【グラミー賞】は腐敗したままだ」と不満をぶつけていた。この時、製作側と協力しながら授賞式でのパフォーマンスの準備も進めていたことも彼は暴露している。
 
 現地時間2021年3月14日に開催される授賞式を前に彼は、「“秘密の委員会”(の存在)を理由に、今後は自分の音楽を【グラミー賞】に提出することをレーベルに禁じることにしました」と米紙ニューヨーク・タイムズに声明を出した。

 ザ・ウィークエンド側は、<年間最優秀レコード賞>、<年間最優秀楽曲賞>、<年間最優秀アルバム賞>の主要部門のほか、一つのポップ部門と二つのR&B部門にも音楽を提出していた。この内R&B部門に提出されていた作品が、ジャンル選抜委員会によってポップに移動された。この選抜委員会はジャンルを超えて存在し、作品が適切な部門に振り分けられているかを選考の第1ラウンドで監督している。第1ラウンドは全てのアカデミー・メンバーに投票権があり、この段階で得票数が多かった作品の中から選考審査委員会(Nominations Review Committees)が最終的なノミネート作を選出する。これらの審査委員会は15名から30名の委員から成るが、その身元は明かされていない。審査委員会が関わっていないジャンルもあるが、主要4部門には関わっている。

 1月に公開された米ビルボードのカヴァー・ストーリーで、ザ・ウィークエンドと長年苦楽を共にしてきたマネージャーのワシム・“サル”・スレイビー(Wassim "Sal" Slaiby)は、「その“秘密の委員会”って何なんだ?一体どうなってるんだ?」と苛立ちをあらわにしており、「(【グラミー賞】主催者側は)ファッキン“秘密の委員会”を中止し、完全な透明性を確保すべきだ」と提言していた。今回NYTに対し彼は、【第55回NFLスーパーボウル】ハーフタイム・ショーでのパフォーマンスが決定していたザ・ウィークエンドが、当初は開催日が近かった【グラミー賞】授賞式でのパフォーマンスのプランニングに何週間も費やしていたことを明かしている。

 スレイビーは、「【グラミー賞】はレガシーに対処し、(腐敗などを)一掃して、誰もがあのトロフィーを掲げることを誇りに思えるところまでレベルを引き上げるべきだ。ハーヴィー(・メイソン・ジュニア代表)にとってこれはチャンスだ。さらに力を入れることで【グラミー賞】をようやくちゃんとできた男としてのレガシーを残せるのだから」とコメントしている。

 ザ・ウィークエンドの声明を受け、【グラミー賞】主催者であるレコーディング・アカデミーのハーヴィー・メイソン・ジュニア代表はNYTに対し、「我々は皆、誰が気分を害していたとしても残念に思う。ただ、我々が常に進化しているということは言わせてもらいたい。過去の年と同様に今年も、選考審査委員会のあり方も含め、アワードの決定プロセスをどうすれば改善できるのか厳しく見直す」とコメントしている。