ブルーノ・マーズ&アンダーソン・パーク、シルク・ソニックの結成秘話を明かす「音楽がどんどん生まれた」
ブルーノ・マーズ&アンダーソン・パーク、シルク・ソニックの結成秘話を明かす「音楽がどんどん生まれた」

 ブルーノ・マーズとアンダーソン・パークが、2021年3月5日に公開されたApple Musicの『New Music Daily Radio』で、話題のプロジェクト、シルク・ソニック(Silk Sonic)について語っている。

 米ビバリーヒルズ・ホテルのガーデン・エリアで行われた対面式インタビューは、ブルーノによると“COVID(-19)検査を17回”経て実現したとのことで、久しぶりに外で音楽について話せることが楽しいと彼は述べている。

 シルク・ソニックを結成した経緯についてブルーノは、2017年にツアーしていた頃にふと思い浮かんだフレーズから生まれた曲が今後発売されるアルバムに収録されており、このフレーズについてやりとりしているうちに、「(プロジェクトが)雪だるま式に膨らんでいった」と明かしている。フックのアイデアが固まったブルーノが、アンダーソンをスタジオに呼び出して行ったセッションが好感触だったため、「“じゃあ、明日もやる?”って感じで」作業を続けたと説明し、「そうやって音楽がどんどん生まれたんだ。そもそも音楽が大好きになった理由みたいなものでさ。あとは、仲間とジャム・セッションをするような。ノープランで、パーツを仕上げながらお互いを興奮させようとしてるだけ。だから、納得がいかなかったり、自然で有機的だと感じていなかったとしたらこれは実現していない。“ちょっとこれこのままやっちまおうぜ”というところまでたどり着いた一連の出来事があったってことだよ」と語っている。

 構想が生まれてからやりとりするうちに二人の間に友情が生まれ、音楽の好みが似ていたこともあってスタジオでのセッションへと繋がった。新型コロナウイルスのパンデミックにより、当初の計画は大きく狂わされたものの、彼らはリモートではなく、スタジオでのセッション・ワークにこだわった。これについてアンダーソンが、「(スタジオに)入って誰かとジャム・セッションをできること、力のあるアーティストとぶつかり合えることってのは、(リモート・ワークとは)違うんだ。そこが違いで、グルーヴをいちから作ってるんだよね。何がうまくいくのか考え出そうとしているわけだ。みんなをいい気分にするには、裏でどういう計算が必要なのか。それは何だ?重すぎるのか?重みが足りないのか?特に(“Leave the Door Open”)で必要だったのは多大な忍耐とデリケートな……」と説明中に言い淀むと、ブルーノが、「デリカテッセン」とちゃちゃを入れ、これを受けてアンダーソンが、「デリカテッセン。この曲にはたくさんの肉が込められてるんだよ」と冗談で締めくくっている。

 ブーツィー・コリンズが本プロジェクトに参加しているが、彼のことをブルーノは“スーパースターの定義そのもの”と形容しており、「明らかに(ブーツィーの音楽を聴きながら)育ったと分かるアーティストはたくさんいて、俺とアンディはそういうのを愛しながら育った男二人だ。だから、“夢のセットリスト”を作れるとしたら最高じゃね?って話になって……それがスタジオでのモットーだったんだ、“(パンデミックでライブができないため)悲運のセットリスト(set list of doom)”を作ろうぜ”って。これらの楽曲を全てまとめられる究極のホストは誰だろう?ブーツィーがいてくれて本当に良かった」と、参加の経緯を説明している。

 また、完璧主義的な性格で知られるブルーノについてアンダーソンは、「この男は普通の人みたいな音楽の聴き方をしないんだ。人って(音楽に)没頭できるじゃないか。でも彼はそれができないんだよ」と明かし、「最近は多くの人がコラボレーションをするようになったけど、何もかもに食ってかかるようなヤツと仕事するってのがどういう感じなのか誰も理解してないと思うんだよ。“これちゃんとできてるかな?これちゃんとできてるのかな?これちゃんとした方がいいのかな?”ってさ。俺は楽しむことがメインなんだけど、(ブルーノは)地獄を通らないと天国には到達できないこともあるんだって教えてくれた最初の人だったし、これがそれを初めて経験した時期だったね」と語っている。ここまで自分を追い込んだ人物はほかにドクター・ドレーしかいなかったと彼は振り返っており、数か月かかったというミックス作業を例に延々とブルーノの細かい仕事ぶりについて語り倒していたため、たまりかねたブルーノが、「ごめんよアンディ」と謝っている。

 ライブができないことが一番つらいというブルーノは、「俺たちはライブをしながら育ったから、今のこの状況は(しんどかった)。スタジオで曲を書こうとしてるのに、ライブの要素がなくなってしまっているというのは胸が張り裂けるような気持ちだ。曲を書いている時、それが俺の全てだからだよ。“これをみんなに聴いてもらえるのが楽しみだな”もそうだし、“これをみんなのために演奏したいな”とか、“バンドに会えるのが楽しみだな”とかって」と語っている。

 パンデミックが落ち着いて条件が整えば、すぐにでもツアーはやりたいとアンダーソンも述べている。「俺たちはショーメンだから。ステージの上にいたいんだ。ツアーを取り上げられたら(途方にくれてしまう)」、「(新曲を)お披露目したいよ」と述べている。ブルーノは、「(ステージに立つことは)俺たちの人生そのものだから。子どもの頃からの夢」、と付け加えつつも、「(金銭面の)条件さえ合えば、だけどね。条件はロックされてないとな、アンディ」とジョークを飛ばしている。