<ライブレポート>フレデリック、観客と作り上げた日本武道館という”ぼくらのASOVIVA” 〈Billboard JAPAN〉|AERA dot. (アエラドット)

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<ライブレポート>フレデリック、観客と作り上げた日本武道館という”ぼくらのASOVIVA”

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<ライブレポート>フレデリック、観客と作り上げた日本武道館という”ぼくらのASOVIVA”

<ライブレポート>フレデリック、観客と作り上げた日本武道館という”ぼくらのASOVIVA”


 フレデリックが、2月23日に初の日本武道館公演【FREDERHYTHM ARENA 2021~ぼくらのASOVIVA~】を開催した。

 今から遡ることちょうど1年前、ツアー【FREDERHYTHM TOUR 2020~たかがMUSIC されどMUSIC~】と今回の日本武道館公演の開催が発表された。ツアーはコロナの影響でいくつか公演の中止を余儀なくされたが、2020年11月の千秋楽公演を配信ライブで開催して見事完遂。昨今の状況を受けて、武道館公演開催の有無に不安な声もあったが、新型コロナウイルス感染防止対策ガイドラインを徹底した上で、有観客と配信のハイブリット形式で開催された。ここでは、フレデリックが私たちに新しい”ASOVIVA”を与えてくれた日本武道館公演をレポートしていく。

 開始時間になると、最新EP『ASOVIVA』に収録されている「Wake Me Up」のミュージックビデオに登場する生物“wakeme”がステージに登場し、深々とお辞儀。すると、会場に設置された巨大モニターに、武道館を模したおもちゃで遊ぶ子供の映像が流れ始める。その後、場面は日本武道館になり、メンバーが登場。大きな拍手に包まれながら、ライブのスタートを飾ったのは軽快なダンスロックナンバー「Wake Me Up」だ。後半にかけて激しく点滅する照明がより一層曲に疾走感を生み出す。最高のスタートダッシュをきったところで三原健司(Vo./Gt.)が「来たからには楽しんでくれよ、武道館!」と言い放ち、「シンセンス」や「逃避行」と”ノれる”曲を連続でパフォーマンスし、会場の熱量を一気に上げていく。そして「どうする?遊ぶ?遊ばないの?」という振りから、メンバーのアンサンブルが激しく鳴り響く「KITAKU BEATS」へ。武道館をどんどん”ぼくらのASOVIVA”に変えていくフレデリック。

 今まで色んなアーティストを日本武道館で見てきた健司だが、「自分が武道館に立ったらどうなんだろう?」と思っていたことを告白した。”思い出になる”力が強い武道館というフィールドを借りて「思い出を作って欲しい」とライブの楽しみ方を自ら提示する。そして、「トウメイニンゲン」や「リリリピート」と再び盛り上がるナンバーを届けたところで一転、三原康司(Ba./Vo.)がメインボーカルを担当する「もう帰る汽船」へ。健司が甘い歌声のコーラスを乗せ、メンバーによるダイナミックな演奏がシンクロした後は、赤頭隆児(Gt.)がタイトなギターソロを披露。続いて、高橋武(Dr.)が嬉しそうに会場を見渡す場面を見せた「他所のピラニア」や康司がクールにシンセベースを弾きこなす「正偽」など、半ばにかけて楽曲ごとにテンションを変えていくメンバーの表情を存分に堪能することができた。

 先日誕生日を迎えた三原兄弟の話題で持ちきりだった中盤MCを挟み、一息ついたところで気持ちを新たに後半戦へ。初めに、毎回お馴染みのアコースティックアレンジで楽曲を届けるFAB!! (Frederic Acoustic Band)のコーナーがスタート。ステージ中央に設置されたステージに移動し、メンバーが互いに向き合いながら演奏するスタイルで「ミッドナイトグライダー」や「うわさのケムリの女の子」を演奏した。オリジナルバージョンとは異なる音色を奏で、楽曲の深みのあるカッコ良さを毎回発信していくフレデリックには圧巻だ。

 武の重圧で獰猛なドラムソロから「まちがいさがしの国」がスタート。歌詞「ワハハハハハ」というサビに合わせて観客も手を挙げて盛り上がる。さらに「TOGENKYO」、「スキライズム」、「オンリーワンダー」と高揚感溢れるダンスナンバーをクライマックスに向かって一気に畳み掛け、会場をヒートアップさせる。
 
 色んなことがあった2020年、「こういう状況の中で、どういう風にしたら楽しんでもらえるかな?」と試行錯誤してきたことを改めて振り返る健司。背伸びばかりしていた10代の頃母親から言われた、「あなたの中に沢山いいものがあるのに、理想ばかりを追っかけて、結局何になりたいの?」という言葉を思い出し、フレデリックを見つめ直すきっかけができたという。そして「自分たちの中に宝物がいっぱいあった」ことに気づき、今日この場で沢山解放してきた。観客に「楽しかった?」と問いかけると大きな拍手が沸き起こる。その光景を目にした健司は「明日以降、俺たちの遊びがめちゃくちゃ増えました。今日一日で俺たちの人生また一つ変わりました」と、感情が込み上げてくるのをグッと堪えているようだった。そして、「帰りたくないわ」とそっと一言添え、「されどBGM」で本編の幕が閉じた。

 モニターにSNSアプリのようなトーク画面が映ると、そこには”wakeme”から「マダマダアソブ?」といった観客を煽るメッセージが。拍手が会場全体に鳴り響く中、期待に応えて「アンコールありがとうございます」と再登場したフレデリック。アンコール一発目は新曲「サーチライトランナー」。もちろん最高に踊れるナンバーで、「走って走って」というフレーズと、健司の伸びやかな歌声にエコーがかかるサビが印象的だ。「今日一番のクラップください!」という振りから始まったキラーチューン「オドループ」では、大いに盛り上がり、観客一人一人に思い出を与えた。メンバー全員が整列し、「フレデリックは日本武道館で遊びきったので帰宅します!」という健司の一言で公演は大団円を迎えた。

 エンドロールが流れ公演が終わったかと思いきや、わずかの間をおいて、再びステージに戻ってきたフレデリック。「思い出のままにされるのは嫌です」と、サプライズで新曲「名悪役」をパフォーマンス。「だから演じてやったんだ」という棘のあるフレーズと間奏のメンバーが織りなす楽器のグルーブが心に刺さるナンバーとなっていた。映像を使った、新たな物語の始まりを彷彿させる演出もあり、最後の最後まで観客を魅了させた。

 終演後、披露された新曲「サーチライトランナー」、「名悪役」についての情報と、秋のツアー【FREDERHYTHM TOUR 2021-2022】の開催が告知された。大変な状況に陥っても、常にステージアップしているフレデリック。今度は私達に何を提供してくれるのか、ワクワクが止まらない。

Text by Tatsuya Tanami
Photo by 森好弘/渡邉一生


◎公演情報
【FREDERHYTHM ARENA 2021~ぼくらのASOVIVA~】
2021年2月23日(火・祝)
東京・日本武道館
アーカイブ配信:2月24日(水)18:00~2月28日(日)23:59
<セットリスト>
M01. Wake Me Up
M02. シンセンス
M03. 逃避行
M04. KITAKU BEATS
M05. トウメイニンゲン 
M06. リリリピート
M07. もう帰る汽船
M08. ふしだらフラミンゴ
M09. 他所のピラニア
M10. 正偽
M11. ミッドナイトグライダー(FAB!!)
M12. うわさのケムリの女の子(FAB!!)
M 13. まちがいさがしの国
M 14. TOGENKYO
M 15. スキライズム
M 16. オンリーワンダー
M 17. されどBGM
M 18. サーチライトランナー(新曲)
M 19. オドループ
M 20. 名悪役(新曲)


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