【米ビルボード・アルバム・チャート】テイラー・スウィフト8作目のNo.1、キッド・カディ/ジャック・ハーロウがTOP5デビュー
【米ビルボード・アルバム・チャート】テイラー・スウィフト8作目のNo.1、キッド・カディ/ジャック・ハーロウがTOP5デビュー

 テイラー・スウィフトの『エヴァーモア』がNo.1デビューを飾った、今週の米ビルボード・アルバム・チャート。

 12月11日にサプライズ・リリースされた『エヴァーモア』は、7月24日に発表した前作『フォークロア』から約4か月という短いスパンでリリースされた、通算9作目のスタジオ・アルバム。同チャートでの首位獲得はその『フォークロア』に続く8作目で、2ndアルバム『フィアレス』(2008年)以降全てのアルバムが1位を記録している。女性アーティストとしては、バーブラ・ストライサンド(11作)、マドンナ(9作)に続く歴代3番目で、7作で並んでいたジャネット・ジャクソンを上回り単独記録を更新した。アーティスト総合の歴代トップは、ビートルズの19作。

 8月8日付チャートで同1位に初登場した前作『フォークロア』からの首位獲得期間は4か月18日で、女性アーティストとしてはオリビア・ニュートン=ジョンが『イフ・ユー・ラブ・ミー、レット・ミー・ノウ』(1974年10月12日)から『そよ風の誘惑』(1975年3月15日)で記録した5か月3日を上回る歴代最短記録を更新した。全てのアーティストを含む首位獲得最短記録は、ラッパーのフューチャーが『フューチャー』(2017年3月11日)から『HNDRXX』(2017年3月18日)で記録した7日。なお、2020年で2枚のアルバムを首位に送り込んだアーティストは、BTSとヤングボーイ・ネヴァー・ブローク・アゲインに続く3組目で、女性アーティストとしては初の快挙を達成した。

 『エヴァーモア』の初動ユニットは329,000で、そのうち167,000がアルバム・ストリーミング(SEA)、154,500がアルバム・セールス、8,000がトラックごとのユニット数(TEA)だった。初週の再生数は2億2,049万回で、R&B/ヒップホップ・アルバムを除く2020年の週間ストリーミング数としては、前作『フォークロア』がデビュー週(8月8日)で打ち出した2億8,985万回に次ぐ2番目に高い記録。週間ユニット数としては、その『フォークロア』(8月8日:846,000)、ジュース・ワールドの『レジェンズ・ネヴァー・ダイ』(7月25日:497,000)、ザ・ウィークエンドの『アフター・アワーズ』(4月4日:444,000)、BTSの『MAP OF THE SOUL : 7』(3月7日:422,000)に続く5番目の記録。

 『エヴァーモア』はリリース1週間後の12月18日にCDを販売したが、今週のユニット数にCDのセールスは含まれておらず、154,500すべてがダウンロードによる売り上げということになる。18日以降のCDによる売り上げは次週に加算されるため、2週目も高セールスが見込める。LPとカセットテープの販売は、2021年に予定しているとのこと。

 なお、これまで適用されていたグッズやコンサート・チケット等によるバンドルは、10月9日よりアルバムを購入しない限りセールスにみなされないルールに変更されている。よって、今週のセールス154,500は純粋なデジタル・ダウンロードのみの売上で、前作『フォークロア』の初動ユニット846,000から半数近く減少したのは、そういった理由も含まれる。バンドルを含まない週間セールスとしては2020年度最大で、2018年7月14日付チャートでドレイクの『スコーピオン』が記録した160,000以来の高記録。

 『エヴァーモア』のリリース効果と、バージョン違いのLP、サイン付CDのリリース、値下げ等のプロモーションを受け、前作『フォークロア』も前週から249%増加の133,000ユニットまで上昇し、11位から3位にTOP3復帰を果たした。同一の女性アーティストによる作品が2作TOP3入りしたのは、チャートの編成が行われた1963年以降初の快挙で、前述のフューチャーが2作を送り込んだ2017年3月18日付チャート以来、約3年9か月ぶりの記録となる。

 両アルバムの間、2位にはキッド・カディの新作『Man On the Moon III: The Chosen』が初登場した。TOP3はいずれもリパブリック・レコードからリリースされたアルバムで、同レーベルの作品がTO3を独占するのは10月31日付チャート以来、1か月半ぶりの記録となる。

 本作『Man On the Moon III: The Chosen』は、2016年12月にリリースした前作『Passion, Pain & Demon Slayin'』から4年ぶり、7枚目のスタジオ・アルバムで、自身のアルバムとしては5作目、プロデューサーのDot da Geniusと結成したWZRDの『WZRD』(2012年 / 3位)、カニエ・ウェストとのプロジェクト=キッズ・シー・ゴーストの『Kids See Ghosts』(2018年2位)を含めると、通算7作目のTOP10入りを果たした。

4位 『Man on the Moon: The End of Day』(2009年)
3位 『Man on the Moon II: The Legend of Mr. Rager』(2010年)
2位 『Indicud』(2013年)
4位 『Satellite Flight: The Journey to Mother Moon』(2014年)
2位 『Man on the Moon III: The Chosen』(2020年)

 『Man On the Moon III: The Chosen』の初動ユニットは144,000で、そのうち127,000がアルバム・ストリーミングと全体の9割近くを占めた。週間再生数は1億6,745万回を記録している。

 5位には、米ケンタッキー州出身の若手ラッパー=ジャック・ハーロウのデビュー・アルバム『ザッツ・ホワット・ゼイ・オール・セイ』が初登場。初動ユニットは51,000で、そのうち48,000がアルバム・ストリーミングと、本作もユニットのほどんどをストリーミングが占めた。本作からは、ソング・チャート“Hot 100”で最高2位を記録した「ホワッツ・ポッピン」が大ヒットし、アルバムのプロモーションに繋げた。

 先週TOP10にランクインしたクリスマス・アルバムはさらに勢いを増し、マイケル・ブーブレの『クリスマス』は6%増の58,000ユニットを記録して4位をキープ。キャリー・アンダーウッドの『マイ・ギフト』は47,000ユニットを獲得して6位に、ナット・キング・コールの『ザ・クリスマス・ソング』は8位に、マライア・キャリーの『メリー・クリスマス』は15%増加の44,000ユニットを記録して10位にランクインしている。先週のソング・チャート“Hot 100”では、「恋人たちのクリスマス」が1年越しのNo.1を獲得した。

Text: 本家 一成

※関連リンク先の米ビルボード・チャートは、12月25日以降掲載予定となります。

◎【Billboard 200】トップ10
1位『エヴァーモア』テイラー・スウィフト
2位『Man on the Moon III: The Chosen』キッド・カディ
3位『フォークロア』テイラー・スウィフト
4位『クリスマス』マイケル・ブーブレ
5位『ザッツ・ホワット・ゼイ・オール・セイ』ジャック・ハーロウ
6位『マイ・ギフト』キャリー・アンダーウッド
7位『シュート・フォー・ザ・スターズ、エイム・フォー・ザ・ムーン』ポップ・スモーク
8位『ザ・クリスマス・ソング』ナット・キング・コール
9位『El Ultimo Tour Del Mundo』バッド・バニー
10位『メリー・クリスマス』マライア・キャリー