<ライブレポート>miletの圧倒的な表現世界、再会の願いを込めた配信ライブ 〈Billboard JAPAN〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

<ライブレポート>miletの圧倒的な表現世界、再会の願いを込めた配信ライブ

Billboard JAPAN
<ライブレポート>miletの圧倒的な表現世界、再会の願いを込めた配信ライブ

<ライブレポート>miletの圧倒的な表現世界、再会の願いを込めた配信ライブ


 miletが12月5日、初の有料配信ライブ【milet ONLINE LIVE “eyes” 2020】を開催した。

 6月にデビュー・アルバム『eyes』をリリースし、Billboard JAPANの総合アルバム・チャート“HOT ALBUMS”で2連覇を達成したmiletの2020年は、メジャー・デビューから大きな話題を集め、その後も数々のタイアップを獲得した2019年を上回る、大きなステップアップの1年だったと言える。とりわけ年末の『NHK紅白歌合戦』への出場決定は、彼女が駆け上ったスターダムを証明する快挙であり、そんな新世代ディーヴァの最新パフォーマンスを届けた今回の配信ライブは、2020年の総括だけに留まらず、2021年以降のさらなる飛躍を予感させるのに十分なものでもあった。

 定刻を迎えた配信の始まりは、ステージに向かっていくmiletの姿を捉えた映像。板付きのバンド・メンバーたちの顔を覆い隠すほどの光が溢れ、それに負けないぐらいの神々しさを放つSEが流れる中、舞台に登壇したmiletは、ライブを最新EP『Who I Am』収録の「One Touch」でスタート。浮遊感のあるサウンドに広大な空間を想定したグランド・デザインを感じさせるナンバーだが、ライブハウス規模の会場で行われた今回のライブでは逆に、音と光のベクトルが乱反射しながら押し寄せてくるような感覚で、圧倒的な密度と情報量を生み出していたのが驚きだった。3月にキックオフ予定だった全国ツアー【milet live tour 2020 "Green Lights"】に続き、アルバムを引っ提げた【milet live tour 2020 “eyes”】も無念の中止となってしまったが、リリースされたばかりの最新ナンバーがライブでお披露目され、生のバンド・サウンドによる命が吹き込まれていく過程を見るのは、やはり何にも代えがたい特別な体験であることを改めて実感する。

 この日の彼女の装いは真紅のノーブルなドレスで、指先の所作にまで行き届いた気品も相まって神秘的かつアイコニック。一方で、オープナーの「One Touch」から一転、グッと音数を減らした「Waterfall」のグルーミーな佇まいから、Toru(ONE OK ROCK)のプロデュースによる「inside you」の野性的な眼差しと直情的なヴォーカリゼーションまで、彼女のパフォーマンスはますます広がるサウンド・レンジと比例するように、様々な表情を見せていく。「今日は最後まで楽しんでいってください! よろしく!」と挨拶して披露した「STAY」は、朝の情報番組『めざましどようび』のテーマ・ソングに起用された爽やかな楽曲。軽やかなシンセに身を任せ、ステージを右から左へ楽しそうに歩き回りながらこれを歌い上げると、続く「Who I Am」では、スタンド・マイクにかぶりつくような歌唱も印象的だった。

 ここでステージを移動し、ファンから寄せられた『NHK紅白歌合戦』出場決定のお祝いメッセージに、「本当にみなさんのおかげです。生まれたてみたいな私をサポートしてくれて、みんなの愛をひしひしと感じています。年末まで一緒に過ごせるのが嬉しい!」と喜びを表したのち、ライブはアコースティック編成のセクションへ。コーラスのローレンと美しいハーモニーを奏でた「The Love We've Made」を経て、「ちょっとテンション上げていこうかな」と立ち上がったmiletは、洒脱なシンセ・ポップ「Fine Line」をオーガニックな生楽器のアンサンブルで再構築。昨年のワンマン【milet first live “eye”】ではご機嫌なダンス付きだったが、今回はバンド・メンバー、そして画面の向こう側にいるオーディエンスとコミュニケーションを交わすような親密さを滲ませていた。いずれにしろこういった楽曲での彼女は、生粋のエンターテイナーとしての片鱗を見せるのだ。

 物憂げなムードを醸し出した「Imaginary Love」からシームレスに繋げた「Again and Again」、そして幕間のメンバー紹介を経て、画面がモノクロ調に切り替わると、アニメ『Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-』から「Tell me」「Prover」と2曲のバラードを続け、アコースティック・セクションは締めくくられる。

 再びメイン・ステージに戻って披露したのは「us」。こちらもバンド編成を生かしたオーガニックなアレンジで、チャット欄にもその仕上がりを称賛するコメントが溢れた。そしてKamikaze Boy(MAN WITH A MISSION)の楽曲提供&プロデュース「Grab the air」は、この日ライブで化けることを確信させた曲の一つで、幾重にも重なるサウンドのレイヤーをどこまでもハイファイに響かせ、その中でヌケ感のあるメロディーをくっきりと浮かび上がらせる、ユーフォリックなアンセム・ソングへと化していた。

 楽曲の世界観に合わせて声色から表情、佇まいの雰囲気までを一気に変えてしまう、その表現モードの徹底的な切り替えも、miletの非凡なアーティスト性だ。舞台を揺らめく炎に囲まれたサブステージに変えて披露された「Dome」は、怪しげなフレーズを繰り返すピアノとインダストリアルなビートが不気味なダーク・バラードで、ステージに座り込んでユラユラと手を漂わせながら歌唱するmiletの姿は、まるで得体の知れない儀式を行うかのようだったし、そこから「いつまでも 私だけ/夜の中置いて行かないで」と歌う「The Hardest」の祈りを捧げるような歌まで、この2曲の流れは本当にドラマティックで、彼女の並外れた表現力がとりわけ際立った一幕だった。

 「今年はツアーも中止になって、たくさん待たせたなという気持ち」「みなさんに出会えて、本当に良かったです。私はとても幸せです。次は絶対、生でお会いしましょう」と話し、時折感極まって声を震わせながらも、フィナーレの感慨を噛み締めるように最後の1曲「You & I」を歌い上げたmilet。ショーとしての高いクオリティに思いを巡らせ、演出やプレイの細かな部分に発見や驚きを見出せるのは配信ライブならではだが、音楽がすべてを包み込み、演者とオーディエンスが一体となって忘我の境地に向かっていく高揚は、やはりリアルライブでしか生まれない。いつか再び来る“その瞬間”への願いが、ラストの「You & I」には込められていたように思う。


◎公演情報
【milet ONLINE LIVE “eyes” 2020】
2020年12月5日(土)
<セットリスト>
1 One Touch
2 Waterfall
3 inside you
4 STAY
5 Who I Am
6 The Love We've Made
7 Fine Line
8 Imaginary Love
9 Again and Again
10 Tell me
11 Prover
12 us
13 Grab the air
14 Dome
15 The Hardest
16 You & I


トップにもどる billboard記事一覧

続きを読む


おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事
あわせて読みたい あわせて読みたい