【ビルボード 2020年年間HOT 100】YOASOBI「夜に駆ける」史上初のCDリリースなしで年間総合首位を獲得
【ビルボード 2020年年間HOT 100】YOASOBI「夜に駆ける」史上初のCDリリースなしで年間総合首位を獲得

 2020年年間Billboard JAPAN総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”で、YOASOBIの「夜に駆ける」が総合首位を獲得した。年間チャート発表開始以来、初めてシングル盤をリリースしていない楽曲が総合1位となった。

 「夜に駆ける」はTikTokでのバズが誘因となり、3月頃からストリーミングと動画再生でポイントが急上昇してHOT 100にチャートインを果たした。続いて5月「ハルジオン」、7月「たぶん」、9月「群青」の連続デジタルリリースが高ポイント維持に大きく寄与したことに加え、アーティスト自身からのSNSでの発信やYouTube人気プログラム『THE HOME TAKE』での歌唱など、ネットの積極的な活用による後押しも効果を発揮、上半期首位のOfficial髭男dismの「Pretender」を10月に累計ポイントで逆転した。1位となったストリーミング指標では既報通り2.7億再生を突破、同じく1位の動画再生では1億再生を突破と、総合首位に大きく貢献した。

 Official髭男dismの「Pretender」は、上半期首位から惜しくも2位となった。Official髭男dismは、100位圏内に11曲(昨年は6曲)を送り込み、「Pretender」を代表とする楽曲先行の認知の拡大からアーティストへの認知拡大へとフェーズが移行、着実にファン層を拡大した。3位のLiSA「紅蓮華」は昨年末の音楽特番での露出を皮切りに、今年を通じて全国的に盛り上がった『鬼滅の刃』ブームと共にコンスタントにポイントを積み上げ、昨年26位から大きくジャンプアップした。10月リリースの『劇場版「鬼滅の刃」 無限列車編』の主題歌「炎」は早くも総合9位に登場しており、来年も訴求力は維持されるだろう。

 全くの無名から大きく躍進した瑛人の「香水」は総合6位に。こちらもTikTokで4月頃からバズが起き、ストリーミングと動画再生が牽引して高ポイントを維持した。コロナ禍の影響に伴うカラオケ指標データの取得休止から明けた7月にカラオケ1位となり、その後10月最終週に「紅蓮華」に奪還されるまで14週連続1位を守った。YouTubeでの歌ってみた動画が多数投稿されたことからも、今年歌ってみたくなる楽曲のひとつとなった。

 コロナ禍により、2月下旬のライブの中止や延期に始まって、音楽業界も非常に苦しい状況が続いている。そのなかで今年は、従来の地上波発信型、メディア・ミックス型、音楽フェス発信型に加え、TikTokとYouTube、SNS、ストリーミングが連動して新しいヒットが生み出されるパターンが日本でも確立された。ストリーミング市場の拡大と定着に伴い、これらのヒット・パターンが加速することは確実で、来る2021年度は、新人を多数輩出した今年度チャート以上に、メジャー、インディー問わず新たなアーティストの登場が期待される。

【Billboard JAPAN HOT 100 of the Year 2020】トップ10
1位「夜に駆ける」YOASOBI
2位「Pretender」Official髭男dism
3位「紅蓮華」LiSA
4位「I LOVE...」Official髭男dism
5位「白日」King Gnu
6位「香水」瑛人
7位「宿命」Official髭男dism
8位「マリーゴールド」あいみょん
9位「炎」LiSA
10位「裸の心」あいみょん