【米ビルボード・アルバム・チャート】ルーク・コムズ首位返り咲き、ブルース・スプリングスティーン初登場2位
【米ビルボード・アルバム・チャート】ルーク・コムズ首位返り咲き、ブルース・スプリングスティーン初登場2位

 ルーク・コムズの『ホワット・ユー・シー・イズ・ホワット・ユー・ゲット』が約1年ぶりの首位復帰を果たした、今週の米ビルボード・アルバム・チャート。

 本作は、昨年の11月8日にリリースされたルーク・コムズ2作目のスタジオ・アルバムで、2019年11月23日付チャートで自身初の1位を獲得して以降、ロングヒットを記録してきた。今週約1年ぶりに返り咲いたのは、10月23日に新曲6タイトルを追加したデラックス・エディションが再発されたため。週間ユニットは前週から399%増加の109,000まで上昇し、アルバム・ストリーミング(SEA)も289%増加の76,000、アルバム・セールスは1,734%増加の22,000、楽曲によるユニット数(TEA)も904%増加の11,000まで、それぞれ驚異的な上昇をみせている。

 カントリー系のアーティストとしてはストリーミングの伸び率が良く、今週は初登場週の7,400万回を大きく上回る1億226万再生を記録して、自己最高、そしてカントリー・アルバム歴代最高の週間ストリーミングを更新した。なお、以前までのカントリー・アルバム最大の週間ストリーミングは、前述の初登場週で記録した7,400万再生で、自身でその記録を打ち破ったことになる。ストリーミングの集計方法については、今年の1月からビデオによる再生回数も含まれるようになったが、ビデオの再生回数を除くオーディオのみのストリーミングとしても、初登場週の再生回数は上回っている。

 2020年度のチャートでカントリー・アルバムが首位を獲得するのは、5月16日付チャートでケニー・チェズニーの『ヒア・アンド・ナウ』がNo.1デビューして以来約半年ぶり、2作目の快挙。首位返り咲きの期間としては、ボン・ジョヴィの『ディス・ハウス・イズ・ノット・フォー・セール』が記録した15か月(2016年11月26日~2018年3月10日)以来の長期記録となる。なお、本作が返り咲いた際は、デラックス盤の再発ではなく、コンサート・チケットの封入特典によるものだった。

 『ホワット・ユー・シー・イズ・ホワット・ユー・ゲット』からは、「Beer Never Broke My Heart」(2位)、「Even Though I'm Leaving」(2位)、「Does to Me」(4位)、「Lovin' on You」(3位)の4曲がいずれもカントリー・ソング・チャートでTOP10入りし、デラックス盤に収録された新曲「Six Feet Apart」も10位、アマンダ・シャイアスをフィーチャーした「Without You」も15位まで上昇中。「Forever After All」は、今週のソング・チャート“Hot 100”で上位に初登場すると予想されている。

 続いて2位にデビューしたのは、ブルース・スプリングスティーンの新作『レター・トゥ・ユー』。初動ユニットは96,000で、ストリーミングが加算された2014年12月以降では自己最高の初動ユニットを更新した。そのうちアルバム・セールスが92,000で、ストリーミングを除くセールスのみでは今週最大の売上を記録している。

 特にレコードの売り上げが良く、92,000のうち18,000枚がLPによるセールスだった。今週のビニール・アルバム・チャートと、インディーズおよび小売店の集計をもとにしたテイストメーカー・アルバム・チャートでは、いずれも1位に初登場している。2020年度のLPセールスでは、2月29日付チャートで3位にデビューしたテーム・インパラの『ザ・スロー・ラッシュ』が初週で売り上げた26,000枚に次ぐ2番目に高い記録。

 ブルース・スプリングスティーンは、これで通算21作目のTOP10入りおよびTOP5入りを果たし、1970年代、80年代、90年代、2000年代、2010年代、2020年代の6年代でTOP5入りした初のアーティストという新記録も打ち出した。

1975年 『明日なき暴走』(3位)
1978年 『闇に吠える街』(5位)
1980年 『ザ・リバー』(1位)
1982年 『ネブラスカ』(3位)
1984年 『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』(1位)
1986年 『The "Live" 1975-1985』(1位)
1987年 『トンネル・オブ・ラヴ』(1位)
1992年 『ヒューマン・タッチ』(2位)
1992年 『ラッキー・タウン』(3位)
1995年 『グレイテスト・ヒッツ』(1位)
2001年 『ライヴ・イン・ニューヨーク・シティ』(5位)
2002年 『ザ・ライジング』(1位)
2005年 『デビルズ・アンド・ダスト』(1位)
2006年 『ウィ・シャル・オーヴァーカム: ザ・シーガー・セッションズ』(3位)
2007年 『マジック』(1位)
2009年 『ワーキング・オン・ア・ドリーム』(1位)
2012年 『レッキング・ボール』(1位)
2014年 『ハイ・ホープス』(1位)
2019年 『ウエスタン・スターズ』(2位)
2020年 『レター・トゥ・ユー』(2位)

 4位にはタイ・ダラー・サインの『フィーチャリング・タイ・ダラー・サイン』が初登場し、自身初TOP10入りを果たした。初動ユニットは44,000で、アルバム・ストリーミング(SEA)が39,000、アルバム・セールスが4,000、楽曲によるユニット数(TEA)が1,000とストリーミングがユニット数の大半を占めた。意外にも、これまでの最高位は2017年の『ビーチ・ハウス3』で獲得した11位で、自己最高位を更新する結果となった。

 今週はハリー・スタイルズの『ファイン・ライン』が新曲「ゴールデン」のミュージック・ビデオ公開を受け、先週の20位から10位にTOP10復帰している。週間ユニットは前週から20%増加の27,000まで上昇した。

 次週は、アリアナ・グランデの新作『ポジションズ』が上位にデビューすることが予想されている。

Text: 本家 一成

※関連リンク先の米ビルボード・チャートは、11月6日以降掲載予定となります。

◎【Billboard 200】トップ10
1位『ホワット・ユー・シー・イズ・ホワット・ユー・ゲット』ルーク・コムズ
2位『レター・トゥ・ユー』ブルース・スプリングスティーン
3位『シュート・フォー・ザ・スターズ、エイム・フォー・ザ・ムーン』ポップ・スモーク
4位『フィーチャリング・タイ・ダラー・サイン』タイ・ダラー・サイン
5位『レジェンズ・ネヴァー・ダイ』ジュース・ワールド
6位『Savage Mode II』21サヴェージ&メトロ・ブーミン
7位『マイ・ターン』リル・ベイビー
8位『ハミルトン:アン・アメリカン・ミュージカル』サウンドトラック
9位『ティケッツ・トゥ・マイ・ダウンフォール』マシン・ガン・ケリー
10位『ファイン・ライン』ハリー・スタイルズ