<ライブレポート>乃木坂46・白石麻衣「幸せな9年間だった」メンバーたちと思いを伝え合った卒業コンサート
<ライブレポート>乃木坂46・白石麻衣「幸せな9年間だった」メンバーたちと思いを伝え合った卒業コンサート

 乃木坂46が10月28日、白石麻衣の卒業コンサートとなる配信ライブ【NOGIZAKA46 Mai Shiraishi Graduation Concert~Always beside you~】を開催した。

 1月にグループからの卒業を発表した白石。当初は5月に開催予定だった東京ドーム公演が卒業コンサートとなるはずだったが、新型コロナウイルスの影響によって中止となり、8月に開設した自身のYouTubeチャンネルで、「私が早く一歩を踏み出して、新しい乃木坂46の活動を見たいし、いろいろ考えたうえで出した結果」として、今回の配信ライブをアナウンスした。

 2011年のグループ結成時から1期生メンバーとして活動してきた白石は、これまでシングル表題曲では5回のセンターを務め、2017年に発売した2nd写真集『パスポート』は異例の大ヒットを記録するなど、グループの顔として大きな影響力、認知度を誇ってきた。そんな彼女のラスト・パフォーマンスは国内だけに留まらず、台湾、香港、シンガポール、マカオ、中国でも配信され、配信チケットは国内219,000枚と海外10,000枚、計229,000枚の販売数を記録し、推定視聴者数は687,000人にものぼったという。

 生田絵梨花と松村沙友里の影アナに続いて、公演はVTRからスタート。25thシングル『しあわせの保護色』収録曲「じゃあね。」のミュージック・ビデオと同じシチュエーションで、アイドルとしての白石に憧れる一人の少女の日常を捉えたものだ。映像内で少女のもとに届いた人形、それを抱えた白石が画面に映し出されると、1曲目「オフショアガール」がスタート。ライブでの盛り上がりに定評がある白石のソロ曲で、ステージにはVTRの少女も現れつつ、途中からはメンバーたちもパフォーマンスに加わり、白石のメンバー・タオルを振り回しながら、ステージに華を添えた。

 続いて、「おいでシャンプー」「制服のマネキン」と初期のシングル表題曲を披露。さらに「世界で一番 孤独なLover」では、チェックのコートを脱ぎ捨て、フリルを散りばめた深紅の衣装でクールな表情を見せた。最初のMCパートでは「最後まで笑顔で行けるかどうか」と心配する秋元真夏。「リハの時から泣いていた」という星野みなみは、白石の卒業について「お姉ちゃんのような存在だし、憧れの存在だから寂しい!」と早くも大粒の涙をこぼした。一方で、加入してから日が浅い4期生も、口々に感謝と思い出話を語り、中でも北川悠理は「試験期間中、お仕事の合間に勉強していたら、白石さんが私のところに来てくれて、一緒に家庭科の教科書を読んでくれた」とエピソードを明かした。

 1期生による「ぐるぐるカーテン」のパフォーマンスに続き、披露されたのは同シングルのカップリング曲「失いたくないから」。学生時代を青春の原風景として描いたミドル・バラードを、乃木坂46としてのグループ活動がまさに青春そのものだった彼女たちは、胸中に渦巻く思いで瞳を潤ませながら歌い上げた。「まいやんを見届けなければいけない日が来てしまいました」と声を震わせた生田。最後は全員で輪になってパフォーマンスを締めくくった。

 ここからは各期別メンバーが白石と共演しつつ、メッセージを送るセクションへ。2期生は堀未央奈のセンター曲「バレッタ」を披露。曲中の間奏部分では、北野日奈子が「どんな時も2期生の味方でいてくださり、ありがとうございました」と深くお辞儀しながら感謝を述べた。3期生との「逃げ水」は、白石がWセンターの大園桃子と与田祐希をハグで迎えてスタート。「白石さんの背中は、私たちが好きになった乃木坂46そのものでした」と梅澤美波。久保史緒里も「テレビの中にいた白石さんの輝きを見て、私たちはこの場所に来ることを夢に見ました」とその影響力の大きさを語った。そして、白石と4期生によるダンス・セクションを挟み、最後の期別パフォーマンスは、遠藤さくらがセンターに抜擢されたシングル表題曲「夜明けまで強がらなくてもいい」でフィニッシュ。

 そしてライブは、再びVTRコーナーへ。撮影スタジオで次々とポージングしていく白石を収めたもので、モデルとしても活躍してきた彼女の一面を捉えた映像だった。その中で「歌うのが好きになった」と語った白石の透き通った歌声で始まったバラード「立ち直り中」は、高山一実、松村沙友理、秋元との4人歌唱曲。背後のスクリーンには、白石と3人それぞれのツーショットが映し出された。一転して、煌びやかなシンセ・ポップを奏でた「偶然を言い訳にして」を経て、新内眞衣を加えた5人は「でこぴん」へ。お馴染みの5色衣装も、白石が赤色を担うのはこの日が最後だ。

 秋元が席を外しているあいだに、彼女のスマホ画面を盗み見てしまった白石。そこに通知されていたのは、自分の元カレ“いくお”からのLINEもといMINEで――そんなシリアスなVTRを挟んで披露されたのは、白石と秋元のコミカルなデュエット・ソング「まあいいか?」。続いて、サングラス姿の白石と松村による「流星ディスコティック」、1期生のほかメンバーも合流した「せっかちなかたつむり」を披露。

 白石が生田を赤いピアノのもとへ導いて始まった「きっかけ」は、生田のピアノ伴奏と白石のソロ歌唱によるコラボレーション。生田の譜面には白石へのメッセージが書き込まれており、思わぬサプライズに白石が「こんなの知らなかった」と感動する場面も。続いて、白石と高山によるユニット、WHITE HIGHがサポート・ギタリストとしてりんご(松村)とボンバー(向井葉月)を迎え、唯一の持ち曲「渋谷ブルース」を情緒豊かに歌い上げる。「今日でWHITE HIGHを卒業します。理由は方向性の違い」と話すWHITEこと白石に、HIGHこと高山は「1曲しか出してないけどね」とツッコんだ。

 齋藤飛鳥が先陣を切ったダンス・セクションを経て、乃木坂カラーである紫色の衣装をまとったメンバーたちは、白石のセンター曲「シンクロニシティ」を披露。ここからライブはクライマックスに突入していく。お惜しみなくパイロが吹き上がり、高速ダンスも圧巻だった「インフルエンサー」、白石にとっては親友の橋本奈々未を送り出した曲であり、今ではグループの“別れの歌”の代名詞ともなっている「サヨナラの意味」。そして本編ラストは、白石が「おまえらー、騒ぐぞー!」と決まり文句を叫んでの「ガールズルール」。頭上からは火花と金テープが降り注ぎ、スクリーン上では花火が打ち上がる、フィナーレに相応しい華やかなパフォーマンスで有終の美を飾った。

 アンコール・パートが始まると、白いドレスに着替えた白石は「ライブが本当に好き」だと語り、そう思えるようになったのは、ファンが送る声援や、ステージから見える客席の光景のおかげだと話す。9年間の活動を支えてきてくれたファン、ともに歩んできたメンバーたちに感謝を述べたあとは、そんな大事な存在に向けて、白石本人の作詞で思いを綴った「じゃあね。」を披露。その歌唱を聴いて、秋元は「本当に素敵だった」と涙ながらにコメントした。

 メンバーを代表して松村が手紙を読み上げ、「まいやんとの思い出」と「まいやんの好きなところ」を笑顔で伝えたあとは、白石が乃木坂46として参加した最後のシングル「しあわせの保護色」へ。白石自身が「すごく暖かくて、幸せにもなれて、みんなで前を向けて、1歩ずつ強くなって頑張ろうと思える曲」と語ったこの曲を、ファンから寄せられた祝い花の前で、晴れやかな表情を浮かべながら歌い切ったメンバーたち。白石が「本当に楽しかったし、本当に本当に幸せだった」「こんなに幸せでいいいのかってぐらい、幸せな9年間だった」とこれまでを振り返り、「名残惜しいけど……」と率直な気持ちを吐露しつつ、最後は大事なメンバーたちに囲まれて、笑顔でリスナーたちに手を振った。

◎公演情報
【NOGIZAKA46 Mai Shiraishi Graduation Concert~Always beside you~】
2020年10月28日(水)
<セットリスト>
0. Overture
1. オフショアガール
2. おいでシャンプー
3. 制服のマネキン
4. 世界で一番 孤独なLover
5. ぐるぐるカーテン
6. 失いたくないから
7. バレッタ
8. 逃げ水
9. 夜明けまで強がらなくてもいい
10. 立ち直り中
11. 偶然を言い訳にして
12. でこぴん
13. まあいいか?
14. 流星ディスコティック
15. せっかちなかたつむり
16. きっかけ
17. 渋谷ブルース
18. シンクロニシティ
19. インフルエンサー
20. サヨナラの意味
21. ガールズルール
-EN-
22. じゃあね。
23. しあわせの保護色