<ライブレポート>和楽器バンドが今、届けたいライブが幕開け 〈Billboard JAPAN〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

<ライブレポート>和楽器バンドが今、届けたいライブが幕開け

このエントリーをはてなブックマークに追加
Billboard JAPAN
<ライブレポート>和楽器バンドが今、届けたいライブが幕開け

<ライブレポート>和楽器バンドが今、届けたいライブが幕開け


 2020年10月14日に最新アルバム『TOKYO SINGING』をリリースしたばかりの和楽器バンドが、そのアルバムを引っ提げた東名阪ツアー【和楽器バンド JAPAN TOUR 2020 TOKYO SINGING】を、10月24日に東京ガーデンシアターで開幕させた。

 このツアーは、『TOKYO SINGING』に収録される全13曲が曲順通りに演奏されるという、和楽器バンドにとっても初めてのアルバム完全再現ライブだ。今年7月にこけら落としされたばかりの新しい会場には、ライブ演出に特化した音響・映像・照明設備が勢ぞろい。メンバー8人の音色とライブ演出の相乗効果で、より一層パフォーマンスが楽しめた。ステージの両脇に掲げられた大きなスクリーンには、メンバーの顔や手元が随時アップされ、客席もステージに比較的近いため、どの席に座ってもメンバーの姿を捕らえることができる。とにかく映像が目を見張るほどクリアで、今まで筆者が見てきた数々のライブ・コンサートの中でも上位に入る。アルバムのコンセプトである東京の街並みや、和楽器バンドらしい和をイメージした映像、そして楽曲に合わせたイラストが展開され、そのバリエーション豊かな演出は、視覚的にどれも飽きないもので、アルバムの世界観を一層彩るステージ演出だった。

 オープニングナンバーの「Calling」は、まさに和楽器バンドが今、伝えたい想いが詰まった一曲。<君に届けたい想いが/届けたい言葉が/届けたい歌がここにあるんだ>という一声に各パートの音色がガツンと乗っかり、初っ端から心揺さぶられた。<予測もつかない明日はいつも闇だ/だけどだからこそ踏み出すのです/誰かが足を、一歩を踏み出さなきゃ/世界中がきっと暗いままだ>の部分には、ライブエンタメを支える一員としての責任も感じられ、彼らの決断と意志がまじまじと届いた。ミュージックビデオが公開されたばかりの「月下美人」では、スモークやバックに浮かぶ大きな月がオーディエンスを異世界へと誘った。続く「Sakura Rising with Amy Lee of EVANESCENCE」は、コラボ相手であるエイミーが映像で参加するという、豪華共演が実現。鈴華ゆう子とエイミーの力強いボーカルに加えて、特に蜷川べにの津軽三味線も大きなインパクトを放っており、女性3名の存在感が強く感じられた。エイミーが共作したことで、他の楽曲とは違うリズムやビートが和楽器バンドに新しい色を与えている。

 今回のライブは、和楽器バンドにとって、8月15日・16日に開催した新型コロナウイルス感染拡大後としては初となる有観客アリーナライブ以来、約2か月ぶりの有観客ライブとなったが、彼らの心持ちは前回と全く違うはずだ。前回はその前例のないライブだったからこそ、メンバーも観客も幾分か不安を抱えて当日を迎えたことだろう。ガイダンスに沿って実施され、互いがマナーを守ったからこそ、そのライブからコロナ感染者が生まれることなく、無事成功を収めた。今回もウィズコロナという状況は変わらないが、8人のメンバーは自信を持って、そして制限はあるものの、どうやったら観客を楽しませられるかを心得ていた。前述したライブ演出に加えて、亜沙(Ba.)、神永大輔(尺八)、町屋(Gt. & Vo.)、蜷川は、終始オーディエンスへ目を配り、笑顔を返し、ステージを端から端まで走り回った。黒流(和太鼓)、いぶくろ聖志(箏)、山葵(Dr.)のステージ後方3名は、どっしりと構えながら華麗にそしてパワフルにサポート。そしてステージ中央で鈴華は、艶やかに舞い、美声を響かせた。

 前回のライブで初披露されたアルバムのリード曲である「Singin’ for...」は、観客とひとつになって再び一緒に歌える日をイメージして山葵が作り上げた楽曲で、今回も残念ながら、声を出して合唱することはできなかったが、あの会場にいた全員が心の中で、全力で一緒に歌ったはずだ。希望を感じさせる青空をバックに、拳を突き上げながら笑顔で歌うメンバーと、声の代わりにペンライトを振る観客がひとつになった瞬間でもあった。これこそ、和楽器バンドが欲していた、イメージしていた光景ではないだろうか? 

 そして最後は、和楽器バンドのお家芸とも呼べるボカロカバー「千本桜」で会場を大いに盛り上げ、アンコールを含め全20曲、2時間超えのライブは終了。来年1月3日・4日には、早くも【和楽器バンド 大新年会2021 日本武道館】の開催アナウンスもされ、彼らの勢いはとどまる所を知らない。グローバル展開を目指して、昨年夏にレーベル移籍した和楽器バンドが思い描いていた2020年とは程遠い現実となっているかもしれないが、和楽器バンドらしさ、ファンに寄り添う姿はそのままに、進化を続ける彼らにこれからも注目したい。


Text by Mariko Ikitake
Photos by KEIKO TANABE、上溝恭香/Kyoka Uemizo

◎公演情報
【和楽器バンドJapan Tour 2020 TOKYO SINGING】
2020年10月24日(土)・25日(日)東京・ガーデンシアター ※終了
2020年11月14日(土)大阪・大阪城ホール
2020年11月28日(土)愛知・日本ガイシホール
チケット:前売10,000円(税込)、当日11,000円(税込)

【和楽器バンド 大新年会2021 日本武道館】
2021年1月3日(日)・4日(月)東京・日本武道館
チケット:前売10,000円(税込)、当日11,000円(税込)


トップにもどる billboard記事一覧

続きを読む


おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事
あわせて読みたい あわせて読みたい