<ライブレポート>クリス・ハートの美声と優しさ、エールに包まれた至福の2時間 〈Billboard JAPAN〉|AERA dot. (アエラドット)

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<ライブレポート>クリス・ハートの美声と優しさ、エールに包まれた至福の2時間

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<ライブレポート>クリス・ハートの美声と優しさ、エールに包まれた至福の2時間

<ライブレポート>クリス・ハートの美声と優しさ、エールに包まれた至福の2時間


 2020年10月14日にクリス・ハートが【全国ツアー2020~Love is Love~(愛を歌う)】のツアーファイナルをLINE CUBE SHIBUYA(旧渋谷公会堂)で迎えた。

 会場キャパシティを50%以下にし、観客はマスク着用に着席と声援自粛の協力、そして検温・アルコール消毒の徹底というスタイルが定着し、ここ1~2か月で無観客配信ライブから有観客(&配信)ライブへと移り変わっている。アーティストは、新型コロナウイルスによって今春以降、ツアーやイベントがキャンセルになり、涙を呑んだ月日を経て、やっとファンの目の前で(そして画面越しで)歌を届けられるのだから、さぞかし気合が入り、万感の思いを込めてライブに挑むことだろう。クリス・ハートこそ、まさに最たる例だ。というのも、2018年4月より約2年間、表舞台を去っていた彼は、今年1月に音楽復帰を表明し、ずっと待ってくれていたファンへ感謝の気持ちを伝えるべく用意した絶好の機会が未曾有の事態により一度奪われてしまったのだ。そんな彼が“愛を歌う”と題したカムバック・ツアーは、彼の自慢の美声が会場に響き渡る、ファン感涙のステージとなった。

 ライブを幕開けたのは、クリスの代表曲のひとつ「まもりたい~magic of a touch~」。天から光が差すかのようにステージ中央に立つクリスに照明が当たると、観客は拍手でお出迎えし、それにクリスも微笑み返す。<そっと ぎゅっと 抱きしめたい>の第一声から観る者の心を掴んだが、その伸びやかなハイトーンは健在で、活動休止をしていたとは思えず、ラスト公演のために万全の状態で準備してきたことも伝わってきた。全編英語詞の「Monochromatic」や小田和正の「ラブ・ストーリーは突然に」では、キーボードやギター、バックシンガーたちなど、ステージに立つ全員の魅力が見事に絡まり、サポートメンバーとの相性も抜群だ。

 この日は「Monochromatic」のほかに、「青春プリズム」、ファルセットが響く「All I Want Is You」、「If I Fall In Love」、「大人になっていく」の新曲5曲が披露された。「All I Want Is You」、「If I Fall In Love」、2014年発表の「I LOVE YOU 2020 ver.」はまさにツアータイトルを楽曲化したようなストレートなラブソングでもある。

 このツアータイトルには、誰かを想う・愛する気持ちはもちろん、取り戻した歌への愛、そして大切なファンへの愛が込められているはずだ。MCで「活動休止中に、自然にまた歌いたいという気持ちになりました。これからもオリジナル曲とともにカバー曲も大切に歌っていきたいです。皆さんに感謝の気持ちを込めて歌います」と語ったクリスは、中島みゆきの「糸」やサム・スミスの「Stay With Me」といったカバーを披露。「接吻」は、ORIGINAL LOVEの原曲よりもポップに、そしてグルーヴィーに展開し、オーディエンスも自然と体を揺らした。2013年にア・グレイト・ビッグ・ワールドがクリスティーナ・アギレラを迎え、大ヒットを記録したデュエット「Say Something」のカバーでは、ペンタトニックスver. のアレンジを参考に、クリスがピアノを弾き、「失敗しても笑わないでね」と一言前置きしながらも、失敗知らずの伴奏と歌声で、切ない歌の世界観を表現した。

 この日は過去にステージ共演をしてきたクリスの弟分とも呼べるシンガー、村上佳佑がゲスト参加し、共作曲「ファンファーレ」を披露。<未来へ幸あれ いざ進め>と締めくくるこの応援歌を、まるで夕日を背に、決意を胸に歌う両者に、会場からは喝采の代わりに大きな拍手が贈られた。

 そしてライブも終盤にさしかかり、ここからはじっくり聞かせるナンバーが続く。「memento」ではクリスが親への感謝と愛を、一語一句噛みしめながら熱唱し、その姿を観客は一瞬も逃さぬよう、真剣に聞き入っていた。「大変な状況になって、【~Love is Love~】のメッセージを考えたときに、若い子たちが希望を持っているのか、夢を信じられているのか、心配になりました。大人でも大変なこの状況で、希望を持って頑張っていけるようにという気持ちを込めて作った曲です」と、このコロナ禍で大変な時期を過ごす若者に手を差し伸べるエールソング「大人になっていく」、“夢を追うことは決して簡単なことではない”と包み隠さず表現しながらも、“その先に待っている明るい未来を諦めないで”とも強く訴える「Dreams」の2曲は、夢を追ってここまでやってきたクリスだからこそ歌える楽曲だ。最後にはマイクなしの完全アカペラで「幸せをみつけられるように」を歌いあげ、約2時間のステージは終了。行き先の見えないこの状況でも、希望だけは忘れてはならないと再確認したかのように、会場を後にする観客達の面持ちはとても晴れやかであった。


Text by Mariko Ikitake
Photos by 上飯坂一

◎【全国ツアー2020~Love is Love~(愛を歌う)】セットリスト
※10月14日(水)東京・LINE CUBE SHIBUYA公演
1. まもりたい~magic of a touch~
2. Monochromatic
3. ラブ・ストーリーは突然に
4. 青春プリズム
5. All I Want Is You
6. I LOVE YOU
7. Still Loving You
8. 糸
9. あなたへ
10. Say Something
11. 夢がさめて
12. ファンファーレ
13. 旅立つ日
14. Stay With Me
15. 接吻
16. If I Fall In Love
17. memento
18. 大人になっていく
19. Dreams
20. 幸せをみつけられるように


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