トリアエズ・ハナ改め花宮ハナ「そっか! 私はまた歌えるんだ!」2期BiS解散~ARCANA PROJECTデビューまでの1年4か月、涙ながらに語る
トリアエズ・ハナ改め花宮ハナ「そっか! 私はまた歌えるんだ!」2期BiS解散~ARCANA PROJECTデビューまでの1年4か月、涙ながらに語る

 ディアステージとランティスが共同プロデュースを手掛ける6人組女性ボーカルグループ・ARCANA PROJECT(アルカナプロジェクト)。メジャー1stシングル『カンパネラ響く空で』(アニメ『モンスター娘のお医者さん』オープニング主題歌)をリリースしたばかりの彼女たちの中から、今回は花宮ハナの単独インタビューを敢行した。

 昨年5月の解散まで2期BiSメンバーのトリアエズ・ハナとして活躍してきた彼女が、どんな想いでARCANA PROJECTに加入し、自身2度目のメジャーデビューに至るまで歩んできたのか? 1年4か月にわたる自らのストーリーを振り返ってもらった。歌を純粋に愛していた少女が、その感情を失っていきながらも、歌う喜びを取り戻すまで。そんなアニメみたいな現実の物語、ぜひご覧下さい。

◎花宮ハナ(ARCANA PROJECT)単独インタビュー

<私がBiSに居たから上手くいかなかったんじゃないか>

--2期BiS解散以来1年4ヶ月ぶり、ARCANA PROJECT加入後初のインタビューになります。この期間はどんな日々だったなと感じていますか?

花宮ハナ:ARCANA PROJECTが動き出してからは今回のメジャーデビューまであっと言う間に感じたんですけど、2期BiS解散から再び動き出すまでの期間はすごく長く感じていました。それまで怒涛のような日々を過ごしていたのに、急にずっと家にいるような日々に変わってしまったので、結構病んでましたね(笑)。

--どんなことで病んでいたの?

花宮ハナ:ひとりで過ごす時間が長い分、いろいろ考えたくなくても考えちゃうじゃないですか。だから「私がBiSに居たから上手くいかなかったんじゃないか。だから解散してしまったんじゃないか」とか「あのときのあの言動が良くなかったんじゃないか」とか「余裕がないから誰かのせいにしたりしていたけど、自分が悪かったんじゃないか」みたいなことを夜中に悶々と考えたりしていましたね。

--後悔の念に苛まれていたと。

花宮ハナ:あと、2期BiS解散と共に前の事務所を辞めてしまったから「辞めて正解だったのかな?」とか。解散が昨年5月で、ARCANA PROJECTのお披露目ライブが今年1月なんですけど、その間にCARRY LOOSE(ex.2期BiSメンバーのパン・ルナリーフィ&YUiNA EMPiRE所属)が動き出したりして、ライブも観に行ったりしていたから「私の選んだ道は正解だったのか」みたいな自問自答は繰り返していました。今更考えても仕方ないのは分かっているんだけど、どうしても考えちゃう感じでしたね。

--アイドルって解散や卒業、脱退は付きものじゃないですか。ハッピーエンドで完結するストーリーって実はあんまりない。それが常識となっているシーンではあるんだけど、その中でも2期BiSの解散って重かったじゃないですか。戦争で全滅して敗戦した的なムードというか(笑)。

花宮ハナ:めっちゃ分かります(笑)!

--腹筋対決して負けたら即脱退とか、もうほとんど『カイジ』みたいな世界だったもんね。

花宮ハナ:たしかに『カイジ』っぽい! てか、私、腹筋で脱退って何!?

--アイドル史上初じゃないですか(笑)。そのあと脱退は撤回されましたけど、2期BiSは解散することになった。何が言いたいかと言うと、そういう重い体験をしてきたからこそ「新しいグループが始まるので、前のグループのことは綺麗さっぱり忘れました!」とはなりづらかったんだろうなって。

花宮ハナ:そりゃ「忘れた!」とはならないですよね。今はARCANA PROJECTでメジャーデビューさせてもらったから前向きなんですけど、プレデビューへ向けて練習している期間とかは「本当にこれで良かったのかな」と延々と悩んでいました。それより前、去年8月ぐらいに最初に加入が決まっていた3人の初顔合わせがあったんですけど、それに向かう山手線の電車の中で謎に不安になって、めっちゃ泣いたりもしていましたし。

<ARCANA PROJECTはどのメンバーも凄くまっすぐなんです>

--わりと長い期間、ナーバスな状態が続いていたんですね。

花宮ハナ:私は昔から歌うことが大好きで、歌いたいからオーディションを受けてデビューしたんですよ。でも、途中で歌うことが楽しくなくなっちゃったんですよね。正直に言うと。当時、あれだけ「楽しい、楽しい」って言っていたけど、何があっても「ライブが好きだ。楽しい」って言い張っていたけど、本当に楽しめていたかと言うと、絶対にそうじゃない期間はあったし……だから「この道に進んで本当に良かったのか、私はデビューして良かったんだろうか」って悩んでいて。

--デビューしたこと自体に否定的な気持ちが湧いていたと。それは、デビューする前は純粋に歌うことが大好きだったからだよね?

花宮ハナ:そうです。「あの頃のほうが良かったんじゃないかな」って。

--その悩みは今日まで続いているの?

花宮ハナ:いや、ARCANA PROJECTのお披露目ライブのときには「この道を選んで良かったな」ってめっちゃ思いました! すっごい久々に自分のファンに会ったんですよ! ライブ前は泣くつもりなんてなかったのに、歌いながら大号泣しちゃって! そこで「私はやっぱり歌うことが好きだし、ライブが好きだし、みんなのことが好きなんだ」って改めて想うことができたんです。

--ファンとの再会が自分を原点に戻してくれたんですね。

花宮ハナ:あと、メンバーの存在も大きかったです。ARCANA PROJECTはどのメンバーも凄くまっすぐなんです。最年少の天野ひかるちゃんなんて人生初のオーディションでこのグループに入ってきたからキラキラしているんですよ! あと、どのメンバーからも「歌とアニメが大好き」っていう気持ちがすごく伝わってくる。そういう素敵な人たちと過ごしていると「私も頑張らなきゃな」って自然と前向きな気持ちになれるんですよね。

<純粋に「歌えることが嬉しいな!」とようやく再び思えた>

--そんな素敵なメンバーと新たな人生を歩み出し、このたび『カンパネラ響く空で』(アニメ『モンスター娘のお医者さん』オープニング主題歌)でメジャーデビューを果たしました。どんな気分ですか?

花宮ハナ:嬉しいです! メジャーデビューの日にタワーレコード渋谷店B1Fライブスペース・CUTUP STUDIOで歌ったんですけど、急にグッと来て。コロナ禍でライブハウスに出入りする機会が無くなっていたことも影響していると思うんですけど、あのステージで歌い出した瞬間に「そっか! 私はまた歌えるんだ!」と思って、そしたら泣きそうになっちゃって……。やっぱり嬉しかったんですよ、「また歌っていいんだよ」っていう環境を取り戻せたことが。これまでいろんなことがあったけど、ただただ純粋に「歌えることが嬉しいな!」とようやく再び思えたんですよね。

--歌が純粋に大好きだった頃の自分と再会できたんですね。

花宮ハナ:BiS時代はずっとポリープだったんですよ。それで上手く歌えなくて、最後のライブとか散々だったんですよね。それで「全然、歌姫って感じがしなかったけどな」とか知らない人に言われたりして……。でも、解散後にちゃんと手術をしたんです。だから、ARCANA PROJECTのレコーディングは全部伸び伸び歌えていて、それも「歌うことが楽しい」ともう一度思えるようになった要因のひとつかもしれない。自分が思った通りに歌えることが今はとにかく嬉しいんですよね。BiS時代はどんどん自信を失っていって、歌が好きな気持ちも何もかもどん底だったけど、今は純粋に「嬉しい!」といろんなことに対して思えるから……(※涙を溢れさせる)

--良かったね。

花宮ハナ:うぅ……急に涙がちょっと……

--今、泣き出しちゃうぐらい「歌が好き」「嬉しい」と思えないことが苦しかったわけだから。おかげで見出しに「涙ながらに語る」って書けます(笑)。

花宮ハナ:だから、ずっと我慢してたんですよ!

--いやぁー、良いインタビューになりましたよ。

花宮ハナ:なんか悔しい(笑)!

--うれし涙だから良いじゃないですか。

花宮ハナ:うん。

<1回でも私のことを好きになってくれた人たちへ>

--今日の話を聞いて、ARCANA PROJECTの花宮ハナをたくさんの人に観てもらいたいなと思いました。

花宮ハナ:月並みですけど、私はファンの人たちにめっちゃ感謝しているんです。2期BiSが解散して離れていった人もたくさんいるんですけど、「BiSの私が好きだった」という気持ちも分かるし、でもグループが変わっても同じ熱量を向け続けてくれる人たちもいて、それは本当に有り難いなって。あと、BiS時代のファンもそうなんですけど、BiSの前に所属していた地下アイドルグループ時代のファンもたまに気にかけてくれたりしているんですよ。私の活動の場がどんなに変わっても忘れないでいてくれている人たちがいる。そう思うと、ARCANA PROJECTで私を好きになってくれた人たちはもちろん、1回でも私のことを好きになってくれた人たち全員に「ありがとう」を伝えたいなって。

--じゃあ、なおさら、みんなに会いに来てほしいね。

花宮ハナ:しばらく会えていない人にも今の私に会いに来てほしい。楽曲の好みもあるだろうし、アニソンにまったく興味がない人もいるだろうし、BiSだから好きだった人もいると思うんですけど、別に今後ずっと好きじゃなくてもいいから1回来て「ハナちゃん、元気なんだな」って思ってほしい。そこで私は「ありがとう」を伝えたい。そして、いつかARCANA PROJECTが大きい会場でライブが出来るようになったら「え、武道館に立つの? 東京ドームに立つの? 昔、応援していたんだよね」って自慢されたいです。

--素敵な目標じゃないですか。

花宮ハナ:こんなことを言えるようになったのは、心に余裕ができたからなんです。今、心がすごく健やかなんです(笑)。

--よかった。本当によかった(笑)。

花宮ハナ:武道館もやってやりますし、どんな夢も叶えてみせます!

Interviewer:平賀哲雄
Photo:花宮ハナ