<ライブレポート>中田裕二、自身初の無観客配信ライブを開催 浴衣姿で届けた大人な真夏のステージ
<ライブレポート>中田裕二、自身初の無観客配信ライブを開催 浴衣姿で届けた大人な真夏のステージ

 中田裕二が2020年8月27日、ビルボードライブ横浜より配信ライブ【中田裕二 ONLINE SHOW ~LIVE LOVERS~ from Billboard Live supported by CASIO】を行った。この公演は、ビルボードライブとLIVE LOVERSによる配信ライブの第七弾として開催。ライブは中田のレコーディングやライブでサポートを務めるsugarbeans(P、Key)とのデュオスタイルで行われ、AOR、ソウル、歌謡曲などのテイストを含んだ楽曲、そして、深みのあるボーカルをたっぷり味わうことができた。

 浴衣姿でステージに登場した中田裕二。シックな雰囲気のピアノとともにというフレーズを響かせる。最初の楽曲は、彼の代表曲の一つである「誘惑」。叙情性と官能性を同時に感じさせるメロディ、切なくも危うい恋愛関係を描いた歌詞が融合した、まさに大人のラブソングだ。

 「納涼ということで、和装してみました。お酒なんかを頂きながら見ている方もいらっしゃるのでは。せっかくなので、乾杯しましょう」と瓶ビールの栓を抜き、グラスに注ぐ中田。このリラックスした雰囲気も、配信ライブの楽しさだろう。

 この日は、最新アルバム『DOUBLE STANDARD』の楽曲も披露された。ソウルミュージック系のビート感が心地いい「どうどうめぐり」、ポップなメロディライン、という歌詞が鮮やかなコントラストを作る「長い会話」、寂寥感を抱えながら、今を生きる男性の姿を描いた「火影」。曖昧な感情を肯定するような歌、洗練と円熟を共存させたサウンドを軸にした『DOUBLE STANDARD』の世界を最小限の編成で堪能できたことも、この日のライブの大きな収穫だった。

 「シルエット・ロマンス」(大橋純子)のカバー、自粛期間中にInstagramでつながったというドイツ在住のミュージシャンとの共作曲「PALE STRANGER」などを挟み、ライブは後半へ。奥深いグルーヴをたたえたギターとピアノ、人生の機微を美しく描き出す歌詞、そして、豊かな表現力に裏打ちされたボーカル――シンプルな編成だからこそ滲み出る、中田裕二の音楽世界を心ゆくまで堪能できた。「(ステージに上がっているのは)二人だけなんだけど、真剣対真剣というか。音と音をお互いに感じて、コミュニケーションしながら音楽をやれるのがいい」という言葉からも、このライブの充実ぶりを感じてもらえると思う。

 さらに「出来ないことを数えるよりも、出来ることを見つけることが人生かなと最近思うようになって。明日は待つものではなくて、作るものだと思っています」というコメントとともに、今年の春に作れたという「君が為に」も。先が見えない社会の中で生きる人々に向けられた力強く優しい思いは、全てのオーディエンスの心に届いたはずだ。

 この公演のアーカイブ配信は、8月30日の23時59分まで視聴可能。中田裕二の豊潤にして真摯な音楽をぜひ体感してほしい。

Text by 森朋之
Photo by Yuma Totsuka

◎配信ライブ情報
【中田裕二 ONLINE SHOW ~LIVE LOVERS~
from Billboard Live supported by CASIO】
日時:2020年8月27日(木)20:00~
配信会場:ビルボードライブ横浜
※視聴可能期間:2020年8月30日 (日)23:59まで

<TICKET>
オンライン視聴券:,800
サポート1000:,800 / サポート2000:,800
チケット購入URL:https://eplus.jp/yujinakada-st/
販売期間:2020年8月30日(日)21:00まで

<Member>
Vo/Gt:中田裕二
Piano/Key:sugarbeans