スティーヴィー・ワンダー、 Black Lives Matter動画でトランプ米大統領とレイシズムを批判
スティーヴィー・ワンダー、 Black Lives Matter動画でトランプ米大統領とレイシズムを批判

 2020年6月23日、スティーヴィー・ワンダーが“The Universe is Watching Us”(宇宙が我々を見ている)と題された約5分間の動画をYouTubeで公開した。毎年6月19日は米国でJuneteenth(ジューンティーンス)と呼ばれる黒人の奴隷解放を祝う日だったが、この非公式ながらほぼ全米で祝賀行事が行われるこの日を、まだ認めていない州があることに苦言を呈するところから始まっている。

 「ノースダコタ、サウスダコタ、そしてハワイだ。私たち(アフリカ系アメリカ人)が(得るために)まだ戦い続けている自由を謳歌する気分はどうだったかな?このあまりにも身近な感覚は以前にも感じたことがあるし、今も感じる。私はその踊りを知っているし、その歌を聴いたことがある」と彼は述べ、18年かかったというマーティン・ルーサー・キング・ジュニアの誕生日を国民の祝日にする運動の大変さを振り返った。

 70歳の彼はさらに、自身の楽曲「ヴィジョンズ」の歌詞を引用しながら、「人生に終わりがあるなら、全てのものに終わりがあってもいいはずだ。組織的な人種差別だって終われる。警察による蛮行だって終われる。有色人種に対する経済的な抑圧だって終われる」と述べた上で、「行動がない“ムーブメント”(運動)は、立ち尽くしているだけのムーブメントだ。関心があると言う人たちへ(言いたいのは)“口より体を動かしなさい”。足を動かして投票所へ行き、手を動かして投票しなさい」と、米国で11月に行われる大統領選挙への積極的な参加を呼びかけた。

 また、個人名こそ出さなかったものの、ドナルド・トランプ大統領の発言に触れ、「この国で最も高い立場にある人が、“双方に立派な人たちがいる”と言ったのを聞いた。これは当たり障りがないと私は感じる。“私は黒人たちと素晴らしい関係にある”(と彼は言う)。平和的な抗議集会参加者を“thugs”(暴漢たち)と呼び、移民をレイピストと呼ぶ。そして文明が誕生した地、アフリカについては、この最高司令官は“s-h-i-t hole”(シットホール、肥だめのような場所)と呼んだのを聞いたことがある。Wow (呆れる)。きっといつか後悔する日が来るだろう」と批判している。

 彼は最後に、「“全ての命は重要 (All Lives Matter)”、もちろんだ。しかし“黒人の命も重要”とみなされなければ“全てが重要”とはならない。視力が正常なあなたよりも私の方がはっきり物事が見えているのは悲しいことだ」と述べ、Black Lives Matter (ブラック・ライヴズ・マター、黒人の命は重要)運動が止まることのないよう、一人一人が行動を起こして来年までに変化をもたらそうと語りかけている。