コロナ禍でヒットの傾向に変化?! DISH//の歌の力 〈Billboard JAPAN〉|AERA dot. (アエラドット)

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コロナ禍でヒットの傾向に変化?! DISH//の歌の力

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コロナ禍でヒットの傾向に変化?! DISH//の歌の力

コロナ禍でヒットの傾向に変化?! DISH//の歌の力


 Hot100をチェックしていると、これはロングヒットになりそうだなと感じる楽曲がいくつかあるが、その中でもっとも期待できる一曲がDISH//の「猫 ~THE FIRST TAKE ver.~」だ(【表1】)。5/11付で初登場26位だったこの曲は緩やかにチャートを上下しながら推移していたが、6月5日にテレビの音楽番組『ミュージック・ステーション』に出演したことにより急上昇。先週は16位、今週は11位となり、トップ10入りまであと一歩に迫っている。

 この曲はもともとDISH//の2017年のシングル「僕たちがやりました」のカップリングだった一曲で、あいみょんが詞曲を書き下ろしている。それを『THE FIRST TAKE』というYouTubeの動画チャンネルの中で、ヴォーカルの北村匠海がソロで歌い、今年の3月20日に公開された。。DISH//はダンスもできるロック・バンドというアグレッシヴなイメージが強かったが、アコースティックなアレンジをバックにシンプルに歌う動画は、自粛期間のリスナーに響いたのだろう。少しずつ話題を呼び、4月29日に配信リリースがスタート。ダウンロードとストリーミングが先行していたが、さらにYouTubeの動画再生数も連鎖してアップ。その後、6月3日にはメンバー全員の演奏シーンも入った新しいヴァージョンの動画もTHE HOME TAKEとして公開され、その評価を広げている。

 この曲がここまで支持された理由は、なんといっても北村匠海の歌の力が、この動画でしっかりと打ち出されたことだろう。飾り気なくただ歌う姿を映し出すだけで、コアなファンはもちろんだろうが、それまでDISH//に興味のなかったユーザーを引き込むことに成功し、ストリーミングやツイッターなどその他のポイントにもつながった。コロナ禍における自粛期間だったからこそ、さらにこの曲のメッセージに共感したリスナーも多かったに違いないし、それに応えられるパフォーマンスを見せられたのは、今後のDISH//にとっても大きなことだろう。

 この春は、アーティストにとって大きな変革の時期だったと思う。ヒットの図式に関しても、少なからず影響はあったはずだ。そういった意味でも、「猫 ~THE FIRST TAKE ver.~」はこれからのヒットの在り方について、とても考えさせられる一曲なのだ。Text:栗本斉

◎栗本斉:旅&音楽ライター、選曲家。レコード会社勤務の傍ら、音楽ライターやDJとして活動を開始。退社後、2年間中南米を放浪し、現地の音楽を浴びる。その後フリーランスとして活動した後、2008年から2013年までビルボードライブのブッキングマネージャーに就任。フリーランスに戻り、雑誌やライナーノーツなどの執筆や音楽評論、ラジオやストリーミングサービスにおける構成選曲などを行っている。


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