2020年6月15日付のBillboard JAPAN “Top Single Sales”で、Stray Kidsの『TOP -Japanese ver.-』が49,329枚を売り上げ首位を獲得した(集計期間2020年6月1日~2020年6月7日)。

 『TOP -Japanese ver.-』は2020年3月にアルバム『SKZ2020』で日本デビューを果たしたStray Kidsの日本でのファーストシングルであり、当週のシングルセールスチャートでは数少ない新譜だ。当週のシングルセールストップ10のうち当週発売の新譜は4作で、あとの6作は前週までに発売された作品が占めた。

◎2020年6月15日付Top Single Sales

1位 Stray Kids『TOP -Japanese ver.-』2020/6/3発売
2位 HKT48『3-2』2020/4/22発売
3位 Snow Man vs SixTONES『D.D./Imitation Rain』2020/1/22発売
4位 go!go!vanillas『アメイジングレース』2020/6/3発売
5位 SEVENTEEN『舞い落ちる花びら (Fallin' Flower)』2020/4/1発売
6位 SARD UNDERGROUND『これからの君に乾杯』2020/6/3発売
7位 ワルキューレ『未来はオンナのためにある』2020/5/27発売
8位 乃木坂46『しあわせの保護色』2020/3/25発売
9位 ACIDMAN『灰色の街』2020/6/3発売
10位 LiSA『紅蓮華』2019/7/3発売

 コロナ禍で生産活動に支障をきたし、新譜そのものが減っているのは確かだが、週間のセールスで相当数を売り上げなければトップ10に入ることはできない。

 当週のトップ10のうち、新譜4作と、発売2週目のワルキューレを除き、それぞれの作品の直近6週間の販売数を調査してみた。その結果をグラフ(http://www.billboard-japan.com/d_news/image/88992/2 )に示す。一言でロングセールスといっても売れ方や購入の動機は様々であることがわかる。

 HKT48『3-2』やSEVENTEEN『舞い落ちる花びら (Fallin' Flower)』は週によって増減が激しく、きっかけがあると非常に大きく売り上げる。このタイプは限定特典など、ショップの施策によってファンの購買意欲が喚起されている様子が見られる。

 それらに比べると乃木坂46『しあわせの保護色』は増減が緩やかだ。こちらはイベントへの参加が大きな動機と思われるが、毎週イベントへの申込みが可能な方式のために大きく増減することなく売上を保っている。

 Snow Man vs SixTONES『D.D./Imitation Rain』とLiSA『紅蓮華』は非常に安定したセールスをキープしている。どちらもここで挙げた作品の中では発売からの期間が長い作品だ。ことにLiSA『紅蓮華』は発売から1年近く経過しているが、今もってファンを獲得し続けていることがうかがえる。Billboard Japan Hot100を見てみると表題曲『紅蓮華』はダウンロード、ストリーミングなどデジタルも好調な上、CDをPCに取り込むルックアップも当週1位と、全方位に隙がない。

 今回比較した中で最も安定して大きな売上を保っているのはSnow Man vs SixTONES『D.D./Imitation Rain』だ。こちらも当週のBillboard Japan Hot100ではルックアップが6位であり、新しいファンを獲得していることがわかる。だが、『紅蓮華』の倍以上の売上に対してルックアップ指標が低いことから、ファンの増加というよりは熱心なファンの支えによるところが大きいと考えられる。発売当初から大きく落ち込むことなく売上を積み上げ、当週で累計販売数が970,260枚となった。この勢いであればミリオン達成も時間の問題だろう。

 毎週、数多発売される新譜の初動の大きさばかりに気をとられがちだが、長期間売れる作品にはそれぞれの購入の動機があって興味深い。Stray Kids『TOP -Japanese ver.-』やgo!go!vanillas『アメイジングレース』など当週の新譜も長く売れる作品に育つだろうか。今後の動向に注目したい。