米ライブ・ネイションの第1四半期業績発表から注目すべき7つのポイントとは? 〈Billboard JAPAN〉|AERA dot. (アエラドット)

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米ライブ・ネイションの第1四半期業績発表から注目すべき7つのポイントとは?

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米ライブ・ネイションの第1四半期業績発表から注目すべき7つのポイントとは?

米ライブ・ネイションの第1四半期業績発表から注目すべき7つのポイントとは?


 コンサート業界がパンデミックの影響を受ける中、現地時間2020年5月7日に大手プロモーターの米ライブ・ネイションが、2020年第1四半期の業績を発表し、3月中旬からコンサートが停止されたために生じた損害が明らかになった。2019年第1四半期と比較して、コンサートの収益は24.6%減少、チケットの収益は15.8%減少した。

 ライブ・ネイションは今年中にバーチャル・コンサートを主催し、早ければ6月中旬に駐車場を使用したドライブイン・コンサートの試験的な実施を検討している。また、大物アーティストに関しては、アリーナ・コンサートではなく、劇場のような小さい会場での複数日程の公演を企画している。第1四半期の決算報告からは、財政的に危機的な混乱の中、経営陣が会社を導くにあたっての不安は感じられず、同社CEOマイケル・ラピーノは「我々は急ぎたくはない。ただ、前に踏み出す必要がある」と語った。

1. 第2四半期、第3四半期は小規模なイベントが中心に
 ライブ・ネイションの経営陣は2020年にコンサートが以前のような規模で再開できるとは思っていないようだ。2020年の予定についてラピーノは「2021年の第1四半期には本格的な再開を予定」しており、「夏を通して、新しいアイデアをテストする」と説明した。

 2021年に延期される公演について語った際、2021年後半から2022年はかなりの収益が期待できるとラピーノは述べ、ベルヒトールト社長は「2020年は多くの公演開催は予想していない」と語り、「第4四半期には来年のイベントのチケット販売での大規模な収入が期待できる」と説明した。

2. 2020年の残りは様々なアイディアの実験へ
 これからの6か月は、会場の収容人数を最大に使うのではなく、「基本に焦点を当て」、新しいコンセプトのテストを行うとラピーノは言う。ライブ・ネイションは劇場やアリーナの収容人数の20%だけの観客での公演を検討したが、十分なチケット収入にならず経済的な実現可能性はない。同社はドライブイン・シアターでのコンサートのテストも考えており、新型コロナウイルスの拡大のリスクは低いが、詳細のほとんどには触れなかった。また、無観客コンサートには配信の機会があり、スポンサー収入が見込めると説明した。

 またラピーノは、無観客コンサートのオンライン・ストリーミング、ドライブイン・シアターでのコンサート、定員数を大幅に減らしたフェスティバル、屋外コンサート、劇場コンサート、十分な空き空間を確保したスタジアムのアリーナでのコンサートに言及し、アリーナで劇場のような設定で公演が行われるかもしれないと明かした。

3. 2020年のチケット発券とスポンサー収益
 利益率の高いチケットマスターは2021年のツアーの販売に伴い、第3四半期と第4四半期でチケット発券の収益を生み出し、ライブ・ネイションの収益見込みが大きいスポンサーと広告部門を支援すると期待される。

4. 流動性の高い潤沢な資金力  ジョー・ベルヒトールト社長によると1か月のライブ・ネイションの現金燃焼率は1億5000万ドル(約160億円)で、2020年3月31日の時点で同社は8億700万ドル(865億円)と9億ドル(965億円)の回転信用枠がある。「今年を通していかなる規模の公演をしなくとも、全く問題はない」とベルヒトールトは説明するが、同社は2020年にコンサートを企画しているのは明らかで、収益の機会はありそうだ。アーティストへの前払い金で現金が2020年に必要になるが、アーティストにすでに支払った現金の一部を2020年から2021年の公演として移行している。さらに、ベルヒトールトは同社に都合のいい条件であれば借入金を増やすことも考慮すると付け加えた。

 同社から公演前にアーティストに支払う現金は減額されるか来年に延期される。同社は以前、2020年に5億ドル(約536億円)の費用と現金支出を削減する計画を発表した際、この現金節約について言及した。今後6か月から12か月で、同社はアーティストに金銭的なリスクの一部を負担させる契約に署名する予定だ。

5. 財務制限条項に問題なし
 貸し手は企業が最低限の収益を維持をすることを要求する防止線を設定するが、ライブ・ネイションCFOのキャシー・ウィラードは、コンサートがなくチケット発券とそれに対応するスポンサー収入があると仮定した場合、同社は「絶対に財務制限条項を破らない」と説明した。ここでも、同社が2020年のコンサートがほとんどない状況に準備万端で、2021年に焦点を当てていることがわかる。

6. ファンは安全なコンサートを求める
 ライブ・ネイションは過去12か月でチケットマスターを利用したチケット購入者を対象にオンラインの調査を行った。61%が会場全体に手の消毒液の設置を希望し、51%が屋外の会場のコンサートに参加する方が安心すると回答した。

7. これまでの対応では十分ではない
 パンデミックはすべての利害関係者にとって未知の領域のため、前進する正確な手順や次に一体どんな問題があるのか想像がつかないだろう。いつツアーが始まるか、どういった予防策が取られるかは誰にもわからない。予期しない問題や結果が必ず発生するだろう。

 米政府はプロモーターへコンサート再開を許可しておらず、市や州はレストランやショップを含む必須ではないビジネスの営業再開をさせたばかりだ。しかし、人と人が密接に触れたり、列に並ぶために人が密集し、そのほとんどが閉鎖された空間であるコンサート会場は、ほぼ全てが営業停止中である。アーカンソー州やジョージア州など一部の州ではコンサートの再開を許可しているが、エンタテイメントの中心地であるカリフォルニア州とニューヨーク州では、コンサートやその他の大規模な集会を許可するスケジュールの目途が立っていない。

 今やコンサート停止の影響はプロモーター以外にもおよび、大手タレント・エージェンシーのCAA、UTA、WMEは一時帰休、一時解雇、給与削減を組み合わせて経費を削減している。WMEの親会社であるエンデバーは250人の職員を解雇しただけでなく、人気ゲーム『フォーナイト』で知られるEpic Gamesに49%以下の株を非公表の金額で売却する予定だ。


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