<ライブレポート>SuperMの世界的スケールと愛が伝わる2時間10分「また会える日まで待っていて」
<ライブレポート>SuperMの世界的スケールと愛が伝わる2時間10分「また会える日まで待っていて」

 SuperMが2020年4月26日に、世界初のオンライン適合型コンサート【SuperM - Beyond the Future】をNAVER V LIVEを通して生中継し、その模様が全世界109か国のファンに届けられた。

 SM ENTERTAINMENTとNAVERによる世界初のオンライン専用コンサート『Beyond LIVE』では、現場の様子はもちろんのこと、視聴者のコメントや歓声がリアルタイムで届けられ、アーティストと視聴者が直にコミュニケーションを取り、一緒に体験できるという、通常のライブでは難しかった通話型体験ライブが実現した。実際に、視聴者の中から選ばれたファン数名と生トークをしたり、視聴者と協力して画面でハートを作るチャレンジコーナーなどが設けられ、インタラクティブな企画も展開された。また、カメラワークと実際の空間が連動するAR合成技術(Live Sync Camera Walking)や、3Dグラフィックスで演出されるスモークや歌詞なども、オンラインならではの楽しみや発見であった。

 今後続々と配信される『Beyond LIVE』のトップバッターとしてSuperMが登場したわけだが、そのライブの幕開けから、立体感のある空間が視界に広がり、心躍らされる。スタートナンバーの「I Can't Stand The Rain」では、時折カメラマンの周りをメンバー7人が360度囲み、テンポの速いダンスを踊る7人の間をスルリと抜けるカメラワークから、リハーサルが緻密に行われたことが想像できる。首筋を流れる汗や表情など、普段のライブ会場やテレビなどのパフォーマンス映像よりも数倍近くでメンバーを見られることも、この『Beyond LIVE』のポイントの一つだろう。

激しいダンスナンバーからテンションを落とすことなく、ショッピングカートに乗って登場したテヨンは、男性ダンサー6人を引き連れ、自身が作詞・作曲したという「GTA」を披露。サイレンやヒップなサウンドを多用したこの楽曲から、少しやんちゃなテヨンを見ることができた。テンは、バックスクリーンいっぱいに広がった水墨画を使って、アジアンテイストを醸し出す「夢中夢」と「New Heroes」に2曲を届けたが、2人とは対照的にチルムードを漂わせたテミンは、「MOVE」と「WANT」でどこか余裕さをも漂わせ、前髪から覗く視線と流し目にノックアウトされた視聴者もいるのではないだろうか。

 この日のパフォーマンスは各メンバーの未発表ソロナンバーと、ユニット曲、今後リリースされるニュー・アルバムから新曲「Tiger Inside」が初披露と、ファンも納得の充実したラインナップだ。ファンお待ちかねの新曲は“内に秘めたトラ”を呼び起こすかのように、檻から放たれたSuperMの周りを大きな虎が駆けまわり、ステージを飛び越えてこちら側へ。実際は特別なセットが組まれていないであろう平坦なステージが、CGによって何十メートルも奥行きがある、豪華なセットに早変わり。爪の尖ったトラの大きな足を思わせるかのような振り付けと、どことなくミステリアスでかつキャッチーなコーラスは早くも病みつきになる。

 ルーカスは流暢な英語でレゲトンベースの「Bass Go Boom」を披露し、ベクヒョンは恋人つなぎから始まる「Betcha」と「UN Village」で真昼のカフェデートから夜デートへと、家にいながらデート気分を味わわせてくれた。マークはまるで人が変わったかのようなスワガースタイルで「Talk About」を披露したが、こちら側(視聴者)に飛び出てくる空間演出が印象的だった。スリーピース・スーツにキャップと他に比べてエレガントな衣装とヘアスタイルでキメたカイは、「Confession」と「Spoiler」で長い手足を活かした得意のダンスを披露し視線をクギ付けにするなど、どのパフォーマンスもコンセプトの被りがひとつもなく、それぞれが違う楽しみを提供してくれた。

 新型コロナウイルスによる世界的なロックダウンの影響で、ファンと触れ合う機会が作れないなか、SuperMは英語・中国語・韓国語・日本語・タイ語・スペイン語など、各国の言葉で挨拶やメッセージを送り、とにかくファンを気遣っていた。実際にファンからのコメントを見ながら、そして四方のスクリーンに映るファンの顔を見ながら配信を進めることができるのも、この『Beyond LIVE』だからこそ。ファンは画面越しではあるが元気な彼らの姿をリアルタイムで見られるだけでも満足のはずだが、SuperMと同じ空間を共有していること、彼らもファンと会うのを楽しみにしていたこと、そしてファン以上にSuperMがファンを想っていることがわかり、かなり得るものが多かったはずだ。離れていても繋がっているのは本当なのだと再確認できたことだろう。

 SuperMは最後に、それぞれの思いを画面越しのファンへ届けた。「このライブはとてもいい経験になりましたし、とても楽しかったです。僕らはこの日のためにたくさん準備をしてきました。スタッフや関係者、カメラチーム、そして特にファンの皆さんがいなければ、実現できなかったことでしょう。感謝の気持ちでいっぱいですし、また近いうちに会いたいです。僕たちが伝えたいことは、とにかく皆さんに安全でいてほしいということです。家で安全に過ごすことが何よりですし、家にいても僕たちは繋がっていますよ。一緒に乗り越えましょう。皆さん、ありがとうございます!」(マーク)、「まず皆さんに感謝していると言いたいですし、愛してると言いたいです。公演を見たかった方も多かったでしょうし、僕たちも長い間、皆さんに会えなかったので、こういう機会で皆さんに会えて嬉しかったです。(日本を含む各国の言葉で)愛してます。(『Beyond Live』に出演するのが)僕たちが最初なので、未熟なところが多かったと思いますが、見てくださってありがとうございました。」(カイ)、「無事に終えることができてすごく嬉しいですし、始まる前は緊張していたんですが、新たに始まったものが意義深く、参加できて嬉しく思います。これからも楽しみにしていてください!」(テヨン)、「僕はファンの皆さんと会える機会がたくさん中止になって残念だったのですが、ファンの皆さんも同じ気持ちだったと思います。でもこの機会に少しでも僕たちをお見せすることで皆さんが楽しんでくれていたら嬉しいです。近いうちに会えたら嬉しいです。(日本語で)こうしてステージを見せることができてとても嬉しいです。近いうちに会える機会ができたら本当に嬉しいと思います。その日まで待っていてください。これからも応援よろしくお願いします!」(テミン)、「皆さん楽しかったですか? またすぐ会えるので悲しまないでください。ありがとうございます。」(ルーカス)、「この『Beyond Live』は僕たちにとっても、皆さんにとっても新しい試みになったと思いますが、今日は参加してくれてありがとうございました。直接お会いすることができず残念ですが、今日ここで皆さんのお顔が見られて、楽しんでいる姿も見られて最高に嬉しかったです。皆さんがハッピーでいてくれればそれで十分です。」(テン)、「準備してきた『Beyond LIVE』が終わりに近づき、小さなトラブルもありましたが、初回なのでご理解いただければ嬉しいです。コメントで応援してくださった皆さん、本当にありがとうございました。僕たちはたくさん準備をしてきましたし、演出家だけでなくスタッフの方たちも苦労したので、皆さんから拍手を送ってくださると嬉しいです。『Beyond LIVE』じゃなければ、ファンの皆さんがコンサートを見られる機会がなかったので、僕たちも幸せなエナジーを得られることができました。次にこういう機会があればもっと完璧にやります。たくさん愛してください!」(ベクヒョン)と、SuperMからの感謝と温かいメッセージにファンも歓声を送った。

 そしてラストは全米1位に輝いたミニアルバム『SuperM』より「Jopping」でジャンプ&ホップ。久々のライブパフォーマンスの最後ということもあり、メンバー全員、パフォーマンスに力が入ったに違いない。謙虚さと愛が伝わる2時間10分だったが、今回の配信ライブを観て、改めてビルボードNo.1アーティストに相応しいSuperMの実力を目撃しただけでなく、世界へ飛び出なくてはいけないアーティストであることも分かった。

 『Beyond Live』は5月3日にテンとルーカスも所属し中国をメインに活動するWayV、10日にはNCT DREAM、そして17日にはNCT 127の生配信が決まっており、その後もワールドワイドで活躍する人気アーティストたちの公演が控えている。どれも見逃せないラインナップばかりだ。

Text by Mariko Ikitake

◎『Beyond Live』配信スケジュール
WayV:2020年5月3日(日)15:00~
NCT DREAM:2020年5月10日(日)15:00~
NCT 127:2020年5月17日(日)15:00~
https://campaign.naver.com/pr/v/beyondlive/ja/