【第62回グラミー賞】K・ブライアントの本拠地ステイプルズ・センターで開催された今年の“音楽の祭典”をまとめてレポート
【第62回グラミー賞】K・ブライアントの本拠地ステイプルズ・センターで開催された今年の“音楽の祭典”をまとめてレポート

2020年1月27日(現地時間1月26日)に米ロサンゼルスのステイプルズ・センターにて、世界最高峰の音楽の祭典【第62回グラミー賞】授賞式が開催された。
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 今年の【グラミー】は開幕前に、全米のみならず世界中が悲しんだ悲劇が起こった。元NBA選手のコービー・ブライアントが搭乗していたヘリコプターがロサンゼルス近郊で墜落し、41歳の若さで亡くなったのだ。遺憾ながら会場はコービーが長年在籍したロサンゼルス・レイカーズの本拠地で、会場周辺には彼を惜しんでファンが集まった。

 式ではコービーを追悼するアーティストも多くいて、オープニングを務めたリゾは開口一番に「今夜(の式)はコービーへ捧げます」とNBA界のレジェンドを偲んだ。そんなリゾは最多8部門にノミネートされ、<最優秀ポップ・ソロ・パフォーマンス賞>を含む3部門を受賞。パフォーマンスではボディ・ポジティブを存分にアピールし、彼女の代名詞でもあるフルート演奏も披露して、最高のスタートを切った。司会は昨年に続いてアリシア・キーズが担当。昨年は女性エンパワメントが強く打ち出されたが、今年はその傾向を継承しつつ、「今夜は一緒に歌い、踊り、泣き、愛し合い、この世で一番強くて美しいエナジーを祝いましょう――それはたったひとつ、音楽です」と、悲しい時にこそ音楽でひとつになろうとメッセージを送った。

 今年の【グラミー】は新人アーティストに大きな注目が集まった。まず、リル・ナズ・X。米ビルボード・ソング・チャートで17週連続1位で歴代最長記録を更新し、2019年の年間チャート1位にも輝いた「オールド・タウン・ロード feat. ビリー・レイ・サイラス」を筆頭に、主要3部門を含む計6部門にノミネートされた彼は、あいにく主要部門受賞は叶わなかったが、BTSやビリー・レイ・サイラス、ディプロといった豪華アーティストが参加したスペシャル・パフォーマンスで、2019年を代表する楽曲を盛大に祝った。BTSはノミネートはなかったものの、昨年、韓国アーティストとしては初めてプレゼンターを務め、今年はその音楽の聖地で初パフォーマンスをするという快挙を果たした。

 そして大きな期待を背負ったのが弱冠18歳のビリー・アイリッシュだ。計6部門にノミネートされていたビリーは<年間最優秀レコード賞>、<年間最優秀アルバム賞>、<年間最優秀楽曲賞>、<最優秀新人賞>の主要4部門を制覇した。これは第23回(1981年)でクリストファー・クロスが達成して以来、実に39年ぶり、史上2人目の快挙である。ビリーは史上最年少、そして初の4部門制覇女性アーティストとなった。ビリーの音楽は兄フィニアスと共作されたものだが、そのフィニアスは<最優秀プロデューサー賞(ノン・クラシカル)>を受賞し、5冠に輝いた。ビリーは現在放送中のTVドラマ『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』や4月公開の映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の主題歌に起用と、今年は日本でも全国的なブレイクを遂げるトピックが目白押し。9月には初の単独来日公演を行うことが決まっており、新たな歴史を作った次世代アーティストのプレミアム公演を巡ってチケット争奪戦が期待される。

 この日はほかにも、プリンスや昨年3月に亡くなったニプシー・ハッスルの追悼パフォーマンス、そしてエアロスミスとランDMCが名曲「ウォーク・ディス・ウェイ」を披露したスペシャル・パフォーマンスなど、この日限りの豪華なコラボレーションが行われた。【第62回グラミー賞】の模様は、WOWOWで1月27日夜10時より字幕版で再放送。世界中の音楽好きが首を長くして待ったこの音楽の祭典で繰り広げられた世界最高峰のパフォーマンスとアワード発表の瞬間を、もう一度チェックしてみては?

Text by Mariko Ikitake

◎番組情報
『第62回グラミー賞授賞式』(字幕版)
2020年1月27日(月)よる10:00~、WOWOWプライムで放送
※3月24日(火)よる10:30~、WOWOWライブで再放送あり