<インタビュー>山田涼介 人気小説を映画化した『記憶屋 あなたを忘れない』撮影秘話を明かす「いかにキラキラ感を消せるかに注意しました」
<インタビュー>山田涼介 人気小説を映画化した『記憶屋 あなたを忘れない』撮影秘話を明かす「いかにキラキラ感を消せるかに注意しました」

 1月17日より公開の映画『記憶屋 あなたを忘れない』で、恋人の記憶を取り戻すため記憶屋探しに奔走する大学生・遼一を演じた山田涼介が、作品への思いを語ってくれた。
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 本作はシリーズ累計50万部を誇る織守きょうやの小説を『ツナグ』や『JIN-仁-』、『義母と娘のブルース』などを手がけた平川雄一朗監督が映画化した作品で、山田演じる遼一の幼馴染・真希を芳根京子、遼一の記憶だけを失ってしまった恋人・杏子を蓮佛美沙子、遼一と共に記憶屋探しをする弁護士・高原を佐々木蔵之介が演じている。

 山田は「原作を読んでから台本を読んだんですけど、ストーリーが難しくて4回くらい読み返しました。映像にしたときにきちんと観客に内容が伝わるのか少し怖くなって、撮影中、平川監督といっぱい話し合って、セリフも変えたんです」と告白。「長編小説を2時間にまとめるのは難しいことですが、映画を観に来てくれた人たちが、一度で理解できないと意味がなくなってしまいます。原作ありきの作品なので、原作の良さがどうしたらうまく伝わるかを、現場で細かく話し合いながら撮影しました。完成した作品を観て、平川監督の伝えたいことがきちんと伝わっているように感じたので、それは監督のすごさだと思います」と、観客がストーリーをスムーズに理解できるか、作品が伝えたいメッセージがきちんと伝わるかどうかを念頭に撮影に挑んだことを明かした。

 山田は、キャラクター設定にも苦労したと話す。「遼一を原作通りに演じたら、この作品はとてつもなく重くなってしまいます。内容もそんなに明るい話ではないのですが、どう明るく伝えようかを意識しながら演じました。温かく、きれいな作品に仕上がっていて、暗い作品に見えないのは平川監督のすごいところです。遼一にコメディーの要素を加えました。更に芋臭さが出るように、自分で言うのもなんですが、いかにキラキラ感を消せるかにも注意しました。」

 そんな山田に監督から、ちょっとしたリクエストがあったようだ。「監督から僕が本来持っているお茶目な部分を出してほしいと言われたんです。普段の僕はそこまでテンションが高くないので、『こんなシリアスな映画で(以前主演したTVドラマの)『もみ消して冬』の僕は絶対に出せないよ!』って思いました。」

 今作で山田は『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』(2008年)を観て以来、大ファンだった佐々木蔵之介と念願の共演が実現。芳根京子とも今作で初共演を果たしている。「芳根さんとは、台本の読み合わせで初めてお会いしたのですが、芳根さんは本読みの段階で完璧に真希になっていて、(読み合わせで)大号泣する姿を見て、これはヤバいって思いました。彼女の役への没入感や集中力には尊敬しますし、瞬時に切り替えられるスイッチは僕も欲しいですね」と、芳根の演技力の高さを評価した。

 キャストたちの渾身の演技と作品への思いが詰まった本作について、山田は「どのキャラクターにフォーカスするかは観る方の年齢によって変わると思います。人間の嫌な部分とか、いろんな経験を積まれた方々のほうが、より感情移入しやすいかもしれません。お子さんがいる方は高原に注目して観ると思いますし、若い人で恋人とうまくいっていない方は遼一に注目するんじゃないでしょうか?」と述べた。ちなみに山田の家族は自分が出る作品を観るのだろうか? 「僕の家族はどんな作品でも無条件で観てくれます。何度も映画館まで足を運んでくれるんですよ。家族の中で一番の“山田涼介評論家”は妹です。『あれはイマイチだった』とか、けっこう厳しいんですよね(笑)。」

Text by Mariko Ikitake

◎公開情報
『記憶屋 あなたを忘れない』
1月17日(金)より、全国ロードショー
監督:平川雄一朗
出演:山田涼介、芳根京子、佐々木蔵之介、蓮佛美沙子、泉里香、田中泯ほか
配給:松竹
(C)2020「記憶屋」製作委員会