【かわさきジャズ2019】女性ホーンズと吉田栄作の“グラマラス”な共演、世代もジャンルも超えた一夜 〈Billboard JAPAN〉|AERA dot. (アエラドット)

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【かわさきジャズ2019】女性ホーンズと吉田栄作の“グラマラス”な共演、世代もジャンルも超えた一夜

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【かわさきジャズ2019】女性ホーンズと吉田栄作の“グラマラス”な共演、世代もジャンルも超えた一夜

【かわさきジャズ2019】女性ホーンズと吉田栄作の“グラマラス”な共演、世代もジャンルも超えた一夜


 今年で5度目の開催を迎えた都市型音楽フェス【かわさきジャズ2019】。プレ会期を含めると実に2か月の間、川崎の街に音楽が溢れた本フェスティバルの合言葉は、ずばり“ジャズは橋を架ける”。つまるところ、タイトルにこそ“ジャズ”を冠してはいるものの、その実、様々なフィールドで活躍する音楽家たちの共演を通じて、川崎の特徴である“多様性”を体現しようという試みなのである。【Jazz Bar Glamorous Night】と銘打たれた本会期のオープニングは、まさしく多様性のセッションとも呼ぶべき、ジャンルや世代を超えたクロスオーバーの喜びと興奮に満ち溢れた一夜となった。
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 この日の主役は、高澤綾(tp)、東條あづさ(tb)、中園亜美(s)、米澤美玖(s)の4名からなる女性ホーンズ隊。昭和音楽大学の講師も務める安部潤(key)を中心としたバンド・メンバーも加わり、総勢8名で届けられた1曲目は、スウィング・ジャズのスタンダード「Sing, Sing, Sing」だ。トランペット、トロンボーン、そして2本のサックスが交差する豪勢なサウンドは、一大フェスティバルの幕開けを祝福するかのように、会場の新百合トウェンティワンホールを煌びやかな反響で満たす。

 そんなオープニングを経てスタートしたショーは、まず各ホーン・メンバーが代わる代わる登場し、それぞれの本領を見せるソロ・セクションへ。一番手は、今年キングレコードからのメジャー・デビューを果たした米澤美玖が務めた。披露したのは、まさにそのメジャー・デビュー作となった最新アルバム『Exotic Gravity』から「Tenor Hunter」。サックスのエネルギッシュな音色が雪崩のように押し寄せたかと思えば、米澤のシャウトを合図にギター、続いてベースも負けじとソロ・パートに突入。「あまりジャズジャズしてない」という米澤の言葉通り、情熱的なファンク・ショーで観客を圧倒してみせた。

 続いて登場したのは、【Monterey Jazz Festival】への出演経験もあるトランペッター、高澤綾。軽快な4ビートのスウィング・ナンバー「Lotus Blossom」のパフォーマンスは、冒頭から一気加熱された観客の熱を緩やかに冷ましていく。ただ、それも完全なクール・ダウンまでにはいかず、激しい高揚が心地よい余熱に転じ、むしろさらなる陶酔へ誘う絶妙な流れになっていた印象だ。また、国外にまで活動のフィールドを広げるサックス奏者、中園亜美による「My Favorite Things」は、大胆なリアレンジの妙が素晴らしく、常に聴きどころが絶えない一幕であり、こちらも個性と実力がしっかり表出したパフォーマンスに。

 さて、間に休憩を挟む二部構成となった本公演、1stセットが残り1曲となったところでステージに招かれたのは、スペシャル・ゲストの吉田栄作(vo)。9月に歌手デビュー30周年を飾るニュー・アルバム『We Only Live Once』をリリースしたばかりの吉田は、同作の収録曲であり、ライブでは20年以上にわたって歌い続けてきた楽曲「砂漠に車を止めて」を披露。もちろんホーン隊も参加した、この日限りの貴重なアレンジ版で、多様性を祝福する本フェスティバルならではのコラボレーションとなった。

 そしてショーは2ndセットへ。東條あづさをフィーチャーしたボサノヴァ・ナンバー「Look To The Sky」に続き、再び4管が揃い踏んだ後半戦は、鳴らすサウンドの幅をさらに広げながら、いよいよもってクライマックスに向かっていく。パワフルなフュージョン・サウンドを響かせた「Some Skunk Funk」、情緒的なメロディで観客をうっとりさせた「New Cinema Paradise」メドレー、そして吉田栄作によるラブソング「Annie」と、時代もジャンルも関係なく、多種多様な音色を奏でた3曲の流れでは、何より演奏者本人たちの中で渦巻く喜びや手応えが、音を通してありありと伝わってきたように感じられた。

 本編終盤の「心の旅」「Pick Up The Pieces」、そしてアンコールの「Every Breath You Take」という、ジャンルは違えど、いずれも一世を風靡したヒット曲でエンディングを迎えた本公演。この【Jazz Bar Glamorous Night】に留まらず、【かわさきジャズ2019】を構成する数々のプログラムは、やはりその日ならではの光景をいくつも作り出し、豊かで新鮮な音楽体験を多くの観客に提供してきた。年代もジャンルも国籍もバラバラの音楽が溢れ、それぞれが共鳴し合う、そんな意義深い2か月間を象徴するようなオープニングだったと思う。

Photo by 常盤武彦


◎公演情報
【Jazz Bar Glamorous Night】
2019年11月7日(木)
神奈川・新百合トウェンティワンホール
<出演者>
高澤綾(tp)
東條あづさ(tb)
中園亜美(s)
米澤美玖(s)
安部潤(key)
増崎孝司(g)
須藤満(b)
吉田太郎(ds)
スペシャル・ゲスト 吉田栄作(vo)


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