【米ビルボード・アルバム・チャート】ロディ・リッチ初首位、故ジュース・ワールド2作がTOP10入り
【米ビルボード・アルバム・チャート】ロディ・リッチ初首位、故ジュース・ワールド2作がTOP10入り

 ロディ・リッチのデビュー・アルバム『プリーズ・エクスキューズ・ミー・フォー・ビーイング・アンチソーシャル』がNo.1デビューを飾った、今週の米ビルボード・アルバム・チャート。

 ロディ・リッチは、米カリフォルニア州コンプトン出身の新人ラッパー。2017年にシングル「Chase Tha Bag」でデビューし、同年にリリースした初ミックステープ『Feed Tha Streets』が注目を浴び、翌年発表の第二弾『Feed Tha Streets II』が、同チャート67位、R&Bチャートでは36位まで上昇するスマッシュヒットを記録した。本作『プリーズ・エクスキューズ・ミー・フォー・ビーイング・アンチソーシャル』はそれに続く3作目で、正式なスタジオ・アルバムとしては初のリリースとなる。

 アルバムからは、ガンナをフィーチャーした「Start wit Me」が米ビルボード・ソング・チャート“Hot 100”で75位、エイ・ブギー・ウィット・ダ・フーディとのコラボ・ソング「Tip Toe」がR&B/ヒップホップ・チャートで34位をそれぞれマークし、プロモーションに繋げた。また、今年3月末に死去したニプシー・ハッスルの「Racks in the Middle」や、現在ヒットしているマスタードとのコラボ曲「Ballin'」に、フィーチャリング・アーティストとして参加したことも、知名度を高める大きな要因となった。2020年1月27日に開催される【第62回グラミー賞】では、「Racks in the Middle」が<最優秀ラップ/サング・コラボレーション賞>、「Ballin'」が<最優秀ラップ楽曲賞>と<最優秀ラップ・パフォーマンス賞>にそれぞれノミネートされている。

 『プリーズ・エクスキューズ・ミー・フォー・ビーイング・アンチソーシャル』の初動ユニットは101,000で、そのうちストリーミングのよるユニット数が98,000、アルバムの実売はわずか3,000枚と、そのほとんどをSEAユニットが占めた。週間視聴回数は1億3,070回で、今週最大のストリーミング数を記録している。

 続いて2位に初登場したのは、イギリスのベテラン・ロック・バンド=ザ・フーの最新作『WHO』。本作は、2006年にリリースした前作『エンドレス・ワイヤー』(最高7位)から約13年ぶりとなる復帰作で、全米では通算11作目(ライブ盤含む)のTOP10入りとなる。アメリカでの最高位は、1973年の6thアルバム『四重人格』と、1978年の8thアルバム『フー・アー・ユー』、そして本作が記録した2位で、意外にも首位獲得は果たしていない。本国イギリスでは3位にデビューし、通算16枚目のTOP10入りを果たした。

 『WHO』の初動ユニットは89,000で、アルバムの売上枚数が88,000。ストリーミングや楽曲単体によるユニット(TEA)は無いに等しかった。セールスが好調だった理由としては、近年主流になりつつあるコンサート・チケットとの交換特典が挙げられる。今週3位にデビューしたカミラ・カベロの『ロマンス』も、売上の一部はライブ・チケットの還元が含まれている。

 その『ロマンス』の初動ユニットは86,000で、そのうち54,000枚がアルバムの純粋な売上枚数、ストリーミングによるユニット数は30,000と、いずれも安定したポイントを獲得してはいるが、昨年1月に発表したデビュー・アルバム『カミラ』に続く、2作連続のNo.1デビューとはならなかった。週間視聴回数は4,060万回で、2019年にリリースされた女性アーティストによるポップ・アルバムとしては、アリアナ・グランデの『thank u, next』、テイラー・スウィフトの『ラヴァー』が初週で打ち出したユニット数に次ぐ、3番目に高い週間ストリーミングを記録した。

 本作からは、6月にリリースした1stシングル「セニョリータ」が、8月31日付チャートで自身2曲目のNo.1獲得を果たし、集計期間半年足らずで年間15位にランクインする大ヒットを記録した。しかし、それ以降のシングル「ライアー」(最高52位)、「シェイムレス」(最高60位)が勢い振るわず、アルバムの発売までに大きなヒットを記録したタイトルもない。総ユニット数が伸び悩んだのは、シングル曲の不発も原因として挙げられる。尚、前作『カミラ』の初動ユニット数は119,000で、1位に初登場した同週にはシングル「ハバナ」も同時に1位を記録した。本作も、「セニョリータ」が上位にランクインしているうちにリリースしていれば、初動ユニットも10万を超えていたかもしれない。

 5位にデビューしたのは、昨年6月に死去した故エクスエクスエクステンタシオンの『Bad Vibes Forever』。週間ユニット数は65,000で、そのうちアルバムの売上が16,000枚と、ラッパーの作品としてはセールスも比較的高かった。本作は、2017年のデビュー作『17』(最高2位)と同時期に制作されたと思われる未発表アルバムで、当初はデビュー・アルバムとしてリリースされる予定だったとの説もある。『17』、そしていずれも首位獲得を果たした『?』、『Skin』に続き4作連続のTOP10入りを果たし、優秀の美を飾った。なお、SNSでは本作が「最後のアルバム」と発表している。

 6位には、前週の71位から400%以上ポイントを増加させて故ジュース・ワールドのデビュー・アルバム『グッドバイ&グッド・リダンス』(最高4位)が再TOP10入りを果たした。また、今年の3月にリリースした2ndアルバム『デス・レース・フォー・ラヴ』(最高1位)も、88位から10位に再ランクインしている。12月8日、フライトを終えた直後に空港で発作に襲われ死亡したジュース・ワールド。まだ21歳の若さだった。追悼するファンは絶えず、それぞれのアルバム、楽曲のストリーミングが一気に上昇。集計期間がわずかだったにもかかわらず、『グッドバイ&グッド・リダンス』は59,000ユニット、『デス・レース・フォー・ラヴ』は49,000ユニットをそれぞれ記録している。また、昨年10月に発表したフューチャーとのコラボ・ミックステープ『WRLD on Drugs』も、週間13,000ユニットを記録して75位にリエントリーを果たした。

Text: 本家 一成

※関連リンク先の米ビルボード・チャートは、12月20日以降掲載予定となります。

◎【Billboard 200】トップ10
1位『プリーズ・エクスキューズ・ミー・フォー・ビーイング・アンチソーシャル』ロディ・リッチ
2位『WHO』ザ・フー
3位『ロマンス』カミラ・カベロ
4位『ハリウッズ・ブリーディング』ポスト・マローン
5位『Bad Vibes Forever』XXXテンタシオン
6位『グッドバイ&グッド・リダンス』ジュース・ワールド
7位『アナと雪の女王2』サウンドトラック
8位『クリスマス』マイケル・ブーブレ
9位『ベスト・オブ・ペンタトニックス・クリスマス』ペンタトニックス
10位『デス・レース・フォー・ラヴ』ジュース・ワールド