テイラー・スウィフト、<米ビルボード・ウーマン・オブ・ザ・デケイド>受賞スピーチでスクーター・ブラウンを痛烈批判 #BBWomenInMusic
テイラー・スウィフト、<米ビルボード・ウーマン・オブ・ザ・デケイド>受賞スピーチでスクーター・ブラウンを痛烈批判 #BBWomenInMusic

 現地時間の2019年12月12日に開催された米ビルボード主催の【2019 ウィメン・イン・ミュージック】授賞式で、テイラー・スウィフトに<ウーマン・オブ・ザ・デケイド賞>が贈られた。
 
 同イベント初となる栄冠を手にした彼女は、受賞スピーチの前に、「自分にとってすごく大切なものだから、滑って壊れてしまったら嫌」と言いながらプレゼンターを務めたジャミーラ・ジャミルに賞を託し、自身の“デケイド”、つまり10年間のキャリアについて話し始めた。

 「この10年が始まった時、私は20歳でした。この業界にいる女性として、誰かしらが常に自分に対してちょっとした難色を示すということが分かりました」と彼女は振り返り、「“スタジオでは男性が責任者だったのか”とか、“有能なレコード・レーベル(のおかげで成功したのか)”とか」と例を挙げた。「そうではありませんでした。この業界では、女性の成功を(認めずに)ごまかそうとする人が多いのです」と彼女は述べている。

 アルバム『フィアレス』が【グラミー賞】で<年間最優秀アルバム>を受賞した頃から、彼女曰く“スウィフト反発”が爆発したそうだ。「私がたまに共作者と仕事をしていたから、私が実際に曲を書いているのか、突然分からなくなってしまう人が続出しました。音楽業界では、人々が安心できるレベル以上の成功を得た女性はこのような扱いを受けるのです」と彼女は明かした。

 今年のヒット・アルバム『ラヴァー』に収録されている「ザ・マン」でも扱っていたテーマだが、彼女はスピーチでも業界のダブル・スタンダードを鋭く指摘した。「誰かが男性アーティストについて、“彼の曲はすごく好きだけど、どこか好きになれない何かがあるんだよね”と話しているところを聞いたことがありますか?いいえ、そのような批判は私たち(女性)だけに向けられるのです」と続けている。

 テイラーは、このような終わりの見えない逆境を克服するには、女性が前進し続けるしかないと考えているようだ。「最終的にはこういうことなのです。誰がこのような監視に耐え切れず壊れてしまい、誰が素晴らしい芸術を作り続けるのか?ラナ・デル・レイはこの10年で私が最も気に入っているアーティストの一人ですが、彼女がキャリアの早い段階で容赦無く批判されているところを私は見てきました。(にもかかわらず)私が思うに、彼女はポップ音楽界で最も影響力のあるアーティストになりました。彼女のとてつもないアルバムは、今年<年間最優秀アルバム>にノミネートされています」と彼女は尊敬するアーティストを例に述べている。

 次に彼女は、米音楽業界にはびこる、プライベート・エクイティや他人のアートに関する不公平な慣例にも触れた。「最近個人的に影響を受けた新たな動きがありました。ここにいる中でも特に声高に主張する人間として、言っておいた方がいいと思いました。それは規制のないプライベート・エクイティの世界と、自分が作った音楽を誰かがまるでシューズのラインのように購入できてしまうことについてです」と、スクーター・ブラウンに過去レーベルごと自身の初期6作のマスターを買収されてしまった件に言及した。

 「これは私の同意なしに行われました。スクーターは購入前、私や私のチームと相談するために連絡などを一切してきませんでした」と彼女は明かし、まずは自分が自分の音楽を購入する機会が設けられるべきだったと述べた。

 会場には大物マネージャーであるブラウンの支持者も多く出席していたが、それでもテイラーは容赦しなかった。彼のことを“業界にはびこる有害な男性の特権の権化のよう”と切り捨て、「“でも彼は自分にはいつも良くしてくれるよ”などと言ってくる人は分かっていません。良くしてくれて当たり前です、この会場にいるあなたは、彼が欲しいものを持っているのですから」と言い切った。