【米ビルボード 2019年間ソング・チャート】リル・ナズ・X堂々の1位、ポスト・マローンが2年連続でTOP10へ2曲送り込む快挙 〈Billboard JAPAN〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

【米ビルボード 2019年間ソング・チャート】リル・ナズ・X堂々の1位、ポスト・マローンが2年連続でTOP10へ2曲送り込む快挙

このエントリーをはてなブックマークに追加
Billboard JAPAN
【米ビルボード 2019年間ソング・チャート】リル・ナズ・X堂々の1位、ポスト・マローンが2年連続でTOP10へ2曲送り込む快挙

【米ビルボード 2019年間ソング・チャート】リル・ナズ・X堂々の1位、ポスト・マローンが2年連続でTOP10へ2曲送り込む快挙


 2019年の米ビルボード・ソング・チャート“Hot 100”年間チャートは、リル・ナズ・Xの「オールド・タウン・ロードfeat.ビリー・レイ・サイラス」が堂々の首位獲得を果たした。

 2019年4月13日~8月17日付チャートまでの約4か月間トップを独占し、通算19週の1位を記録したリル・ナズ・Xの「オールド・タウン・ロード」。この記録は、マライア・キャリ―&ボーイズIIメンの「ワン・スウィート・デイ」(1995年)と、ルイス・フォンシ&ダディー・ヤンキーの「デスパシートfeat.ジャスティン・ビーバー」(2017年)がもつ16週を上回る歴代最長記録で、年間チャートでの1位獲得も当然の結果といえる。

 デジタル・セールス、エアプレイもさることながら、特に強かったのがストリーミングで、ドレイクが保守していた記録を次々と打ち破り、週間視聴回数歴代TOP10のうち、8週をこの曲が独占するという凄まじい記録を残した。なお、歴代トップは4月20日付チャートで記録した週間1億4,300万視聴で、同週はカントリー・シンガーのビリー・レイ・サイラスが加わった、リミックスのポイントが加算された週にあたる。

 メガヒットの主な要因は、そのリミックスが大ヒットしたこと。比較的年齢層の高いカントリー・ファンも巻き込み、数々の歴代記録を更新。なお、1992年にデビューしてから、ビリー・レイ・サイラスがソング・チャート、そして年間チャートでNo.1を獲得するのは同曲が初となる。「デスパシート 」の大ヒット以降、原曲に著名ゲストをフィーチャーしたリミックスを発売するケースも増えている。

 「オールド・タウン・ロード」は、リル・ナズ・Xにとって実質上のデビュー曲にあたり、彼にとっても初の全米首位獲得曲となる。デビュー曲が年間チャート1位を記録するのは、2010年に通算9週の首位獲得を果たしたケシャの「TiK ToK」以来9年ぶり、ラッパーのデビュー曲としては、前年の2009年にフロー・ライダーが「ロウ」で記録してから10年ぶりの快挙達成。

 この曲に続き、年間56位にランクインしたブランコ・ブラウンの「ザ・ギット・アップ」や、10月19日付チャートで4位に初登場した、ダン+シェイ&ジャスティン・ビーバーの「10000アワーズ」など、カントリーにクロスオーバーしたタイトルが次々とヒットしたのも、2019年の流行といえる。昨年は、カントリー・デュオのフロリダ・ジョージア・ラインとポップ・シンガーのビービー・レクサによる「メント・トゥ・ビー」が、年間3位にランクインする大ヒットを記録した。

 年間2位にランクインしたのは、ポスト・マローンの「サンフラワーwithスウェイ・リー」。映画『スパイダーマン:スパイダーバース』のテーマ曲に起用され、映画のヒットと共に今年1月19日付チャートでNo.1をマーク。首位獲得は1週のみだったが、5月末までの約半年間TOP10に滞在する、驚異的なロングヒットを記録した。年間チャートでは、昨年5位にランクインした「ロックスターfeat.21サヴェージ」を上回る自己最高位を更新。スウェイ・リーにとっては初の年間TOP10入りとなるが、9位にランクインしているトラヴィス・スコットの「シッコ・モード」にも、ノー・クレジットだがゲストとして参加している。

 ポスト・マローンは、この曲の他にも年間5位に「Wow.」(最高2位)をランクインさせ、TOP10に2つのタイトルを送り込んでいる。なお、2018年も前述の「ロックスターfeat.21サヴェージ」(5位)と「サイコfeat.タイ・ダラー・サイン」(6位)の2曲をランクインさせていて、2年連続で2曲をTOP10入りさせた。年間TOP10に連続ランクインしたアーティストは多数いるが、同じアーティストによる楽曲が2年連続で2曲ランクインした例は過去にない。

 この2曲の他にも、年間30位に「グッバイズ」、33位に「ベター・ナウ」、62位に最新チャート(2019年11月30日付)で自身4曲目の首位獲得を果たした「サークルズ」の計5曲をランクインさせた、ポスト・マローン。年間アルバム・チャートでは、「ベター・ナウ」が収録された前作『ビアボングス&ベントレーズ』が5位に、その他の4曲が収録された最新作『ハリウッズ・ブリーディング』を9位にランクインさせ、アルバム・チャートでも2作をTOP10入りさせている。年間1位獲得こそ逃したが、トータルでは最も稼いだ「2019年の顔」といえるだろう。

 年間3位は、ホールジーの「ウィズアウト・ミー」。年間チャートでのTOP10入りは、2016年に10位、2017年に7位と2年連続のランクインを果たした、ザ・チェインスモーカーズの「クローサーfeat.ホールジー」に続く2曲目で、リード曲としては初となる。1月12日、1月26日付チャートの計2週(非連続)1位を記録し、「サンフラワー」同様、5月末までの通算29週TOP10に滞在するロング・ヒットを記録した。ホールジーは、フィーチャリング・アーティストとして参加したベニー・ブランコの「イーストサイド」も年間17位にランクインさせている。

 TOP3入りは逃したが、年間4位と大健闘したのがビリー・アイリッシュの「bad guy」。4月13日付チャートで7位に初登場してから、TOP10に滞在し続け、8月24日付チャートでリル・ナズ・Xの「オールド・タウン・ロード」を破り、王座を略奪した。「bad guy」も首位獲得は1週のみだが、およそ6か月近くTOP10に居座り続けるという驚異的なロング・ヒットを記録している。ビルボード・チャートは、「何週1位を獲ったか」より「何週ランクインしたか」が年間チャート上位に食い込めるポイントでもある。「bad guy」は、11月末の時点で未だ17位にランクインしていて、2020年度との集計期間割れがなければTOP3入りも間違いなかっただろう。同曲が収録されたデビュー・アルバム『ホエン・ウィ・オール・フォール・アスリープ、ホエア・ドゥ・ウィ・ゴー?』は、今年の年間アルバム・チャートを制し、シングル・アルバム共にTOP10入りを果たした。

 年間6位は、マシュメロとバスティルのコラボ・ソング「ハピアー」。2018年9月1日付チャートで63位にデビューし、同年11月にTOP3入り。年末には一時ランクダウンしたが、今年の2月16日付チャートで2位に再浮上し、以降上位をキープした。2月に息を吹き返したのは、人気ゲーム『フォートナイト』で開催されたヴァーチャル・ライブの反響によるもので、ゲーム内でのパフォーマンス効果によりストリーミングが急増したというのは、現代ならではのチャート・アクションといえる。この曲も、2018年度との集計割れがなければ、さらに上位にランクインしていただろう。

 昨年11月から7週間トップを維持したアリアナ・グランデの「thank u, next」も、集計が前年と分散されなければTOP10入りしていたと思われる。惜しくも年間12位とランクインは逃したが、アリアナにとっては初の全米No.1獲得となった、記念すべき一曲。一方、2月2日付チャートから8週のトップを維持した「7 rings」は、年間7位にランクインし、2014年の年間9位をマークした「プロブレムfeat.イギ―・アゼリア」以来、5年ぶりのTOP10入りを果たしている。その2曲と、年間36位にランクインしている「break up with your girlfriend」(最高2位)が収録されたアルバム『thank u, next』も、年間アルバム・チャート2位の大ヒットを記録。今年はキャリア史上最大のブレイク・イヤーとなった。

 今年ブレイクしたアーティストといえば、「トーク」を8位にランクインさせたカリードもそうだろう。最高位は3位止まりだったが、TOP40に40週以上ランクインするロングランに至り、自身初の年間TOP10入りを果たした。この曲の他にも、前述にあるベニー・ブランコの「イーストサイド」(17位)にホールジーと参加し、年間20位にランクインした「ベター」含む計3曲をTOP20に送り込んでいる。「トーク」と「ベター」が収録された2ndアルバム『フリー・スピリット』も、4月に自身初のNo.1獲得を果たし、年間アルバム・チャートで13位にランクインするスマッシュ・ヒットを記録した。

 トラヴィス・スコットは、9位にランクインした「シッコ・モード」と、10月19日付チャートで1位に初登場した新曲「ハイエスト・イン・ザ・ルーム」の2曲が週間首位を獲得。また、ミーゴスのオフセットと共にゲスト参加した、コダック・ブラックの「ZEZE」も最高2位をマークし、年間チャートでは31位と大健闘した。「シッコ・モード」が収録されたアルバム『アストロワールド』も年間アルバム8位につけ、彼もまた大活躍の1年を遂げた。リル・ナズ・Xとポスト・マローンも、ヒップホップにカテゴライズされてはいるが、今年ランクインした楽曲をジャンル分けすると微妙なラインで、純粋なヒップホップ・ソングという意味ではこの「シッコ・モード」のみ、TOP10入りしたことになる。

 今年3月、約6年ぶりに再結成したジョナス・ブラザーズの復帰シングル「サッカー」は、年間10位にランクイン。グループとしてのソング・チャート1位、そして年間チャートTOP10入りは初の快挙で、同曲が収録された5枚目のスタジオ・アルバム『ハピネス・ビギンズ』も、6月に3作目となるアルバム・チャートNo.1デビューを果たしている(年間25位)。活動休止期間には、次男のジョーがDNCEとして、三男ニックはソロでそれぞれヒットを飛ばし、グループ再結成への勢いをつけた。

 惜しくもTOP10入りを逃したパニック・アット・ザ・ディスコの「ハイ・ホープス」も、週間チャート最高4位、年間チャートでは11位にランクインし、いずれも自己最高位を更新。フロントマンのブレンドン・ユーリーも、テイラー・スウィフトの「ME!」(年間43位)にフィーチャーされる等、飛躍の1年だった。そのテイラーも、「ME!」と年間39位にランクインした「ユー・ニード・トゥ・カーム・ダウン」が週間2位、最新ヒット「ラヴァ―」が週間10位にそれぞれTOP10入りし、この3曲が収録されたアルバム『ラヴァー』は、年間チャート4位の大ヒットを記録した。

 通算7週の首位獲得を果たし、フィーメール・ラッパーの歴代最長記録を更新したリゾの「トゥルース・ハーツ」は13位、8月31日付チャートで自身初のNo.1獲得を果たした、ショーン・メンデス、そしてカミラ・カベロ(カミラは2曲目)の「セニョリータ」は15位にそれぞれランクインしたが、いずれも集計期間が終了する時点の週間チャートでTOP10入りしていたため、2020年度(2019年12月~2020年11月)のチャートとポイントが分散してしまったことが悔やまれる。27位にランクインしたルイス・キャパルディの「サムワン・ユー・ラヴド」も、11月に首位獲得を果たしたばかりで、年末以降のポイントは次年の集計に持ち越されてしまう。

 2月に開催された【第91回アカデミー賞】でのパフォーマンス、そして<主題歌賞>受賞を受け、映画『アリー/ スター誕生』のサウンドトラックが春に巻き返しの首位獲得を果たした。アルバムは年間3位にランクインし、劇中で歌われるレディー・ガガ&ブラッドリー・クーパーによる「シャロウ」は、3月9日付チャートでNo.1を獲得。アカデミー賞で<主題歌賞>を受賞した楽曲としては、エミネムの「ルーズ・ユアセルフ(8マイル)」(2002年~2003年)以来16年ぶりの首位、レディー・ガガは「ボーン・ディス・ウェイ」(2011年)から約8年ぶりの首位復帰を果たした。年間チャートTOP20入りも、その「ボーン・ディス・ウェイ」(2011年 / 17位)以来となる。

 18位にランクインしたミーク・ミルの「ゴーイング・バッドfeat.ドレイク」(最高6位)は、ソング・チャートで自身初のTOP10入りを果たし、年間チャートでも2015年に69位をマークした「オール・アイズ・オン・ユーfeat.ニッキー・ミナージュ&クリス・ブラウン」を大きく上回る、自己最高位を更新した。ゲストのドレイクとは長年罵り合いを繰り広げていたが、同曲ではそれをネタにして確執に終止符を打った。同様のパターンで大ヒットしたのが、年間21位にランクインしているクリス・ブラウンの「ノー・ガイダンス feat.ドレイク」(最高5位)。クリス・ブラウンとドレイクも、リアーナを巡って不仲説が囁かれていたが、彼女を連想させる歌詞が話題を呼び、ヒットに繋げている。ミーク・ミルは、同曲が収録されたアルバム『チャンピオンシップス』も、年間7位にランクインさせる大活躍の一年だった。

 ラップ勢では、ダベイビーの「SUGE」(24位)や、リル・ベイビー&ガンナの「ドリップ・トゥー・ハード」(26位)、リル・テッカの「RAN$OM」(28位)など、新星たちも大健闘。また、週間最高位は7位ながらも年間14位にランクインした、サム・スミス&ノーマニ・コーディのデュエット曲「ダンシング・ウィズ・ア・ストレンジャー」や、ジャスティン・ビーバーとエド・シーランによるコラボソング「アイ・ドント・ケア」(16位)、エイバ・マックスの「スウィート・バット・サイコ」(23位)など、ポップ・ソングも上位に多数ランクインしている。グループ初のTOP10入りを果たしたファイヴ・セカンズ・オブ・サマーの「ヤングブラッド」も、年間33位と自己最高位を更新した。

 トラヴィス・スコットの記述にもあるように、2019年はここ数年大活躍だったヒップホップ系のアーティストが若干勢いを落とし、ポップやロック系のアーティストが巻き返した傾向にある。楽曲も、我々日本人の耳にも馴染みやすいキャッチーなものが多く、近年大流行していたトラップが影を潜めた印象を受けた。

 本年で2010年代が終了し、2020年が幕を開ける。新たな時代はどんなサウンドが主流になるのだろうか。


Text:本家一成

◎【Billboard Hot 100】2019年年間チャートTOP10
1位「オールド・タウン・ロードfeat.ビリー・レイ・サイラス」リル・ナズ・X
2位「サンフラワーwithスウェイ・リー」ポスト・マローン
3位「ウィズアウト・ミー」ホールジー
4位「bad guy」ビリー・アイリッシュ
5位「Wow.」ポスト・マローン
6位「ハピアー」マシュメロ&バスティル
7位「7 rings」アリアナ・グランデ
8位「トーク」カリード
9位「シッコ・モード」トラヴィス・スコット
10位「サッカー」ジョナス・ブラザーズ


トップにもどる billboard記事一覧

続きを読む


おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事
あわせて読みたい あわせて読みたい