<ライブレポート>ELLEGARDEN、台湾初&復活後初の海外ライブで「ファッキン21年も、来るのにかかってしまってごめん」 【FireBall Fest. 火球祭】1日目
<ライブレポート>ELLEGARDEN、台湾初&復活後初の海外ライブで「ファッキン21年も、来るのにかかってしまってごめん」 【FireBall Fest. 火球祭】1日目

 2019年11月23日と24日に、台湾の桃園国際野球場で【FireBall Fest. 火球祭】が開催された。本記事では23日のELLEGARDENのライブレポートを中心にお届けする。(2日目レポートはこちらへ)
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 このフェスティバルの主催者は台湾・高雄出身のバンド、Fire EX. (滅火器)である。彼らは【Summer Sonic】にも出演し、さらに2015年からは細美武士(ELLEGARDEN、MONOEYES、the HIATUS)とSAM(Fire EX.)が発端となり、日本、韓国、台湾のバンドが集まって【Far East Union】というイベントが開催されている。2016年に日本デビューした彼らは、元々Hi-STANDARD、HUSKING BEEなどに影響を受けており、日本の様々なバンドと対バンライブを行い、CDでもコラボレーションしている。

 フェスが行われた台湾桃園球場は台北駅から電車で40分ほどの位置にある野球場で、会場につくとフェスのキャラクターで埋め尽くされテンションがあがっていく。筆者が会場に着いたのは午後であったため、入場も非常にスムーズだった。また、このフェスは入場時に配られるリストバンドに日本の交通系電子マネーのようなものがついており、そこにお金をチャージして飲食物を買う仕組みになっていた。入退場の管理もそれで行なっており、まさにキャッシュレスなフェスである。

 さて、会場は球場の中に2つの大きなステージが左右に作られており、左が<Fire Stage>、右が<Ball Stage>、また会場外の小さなサブステージ<Fest Stage>の合計3つのステージからなっていた。到着後に見たのが、<Fest Stage>で行われていたHUSKING BEE。Fire EX.は10月に彼らと一緒に日本でライブを行なっており、デビュー・アルバムにもボーカルの磯部正文が参加している。HUSKING BEEは中国語でもパフォーマンスし、現地キッズの心をしっかりと掴んでいた。

 そして、初日のトリを飾ったのはELLEGARDEN。ここ台湾では初ライブであり、復活後初の海外ライブでもあった。会場には彼らのツアーTシャツを着ている人をかなり見かけたくらい、台湾でも大人気だ。そんな<Fire Stage>には今か今かと待ち構えているファンが集まり、期待と緊張に包まれていた。正面の大スクリーンに“ELLEGARDEN”と表示されるとファンのボルテージは一気にあがり、メンバーが登場。ライブは「Fire Cracker」から始まった。台湾のオーディエンスがどんな反応をするのか気になっていたが、始まってみれば日本と同様にシンガロングし、そして熱い視線がステージに注がれていた。メンバーは最初こそ心なしか緊張感ある面持ちだったが、台湾ファンの熱狂ぶりを目の当たりにし、安心したのか、通常スイッチが入った感じがした。曲が終わる度、そして次の曲のイントロが鳴る度、大歓声が沸き起こる。

 細美は、この日、中国語は挨拶程度、時折日本語を使い、ほぼ英語でMCをしていた。「謝謝! もし知ってたら一緒に歌ってくれ!」と「高架線」へ。日本語歌詞メインの曲だが、完璧な日本語でのシンガロングが起きる。「台湾の皆さん、初めまして! ファッキン21年も、来るのにかかってしまってごめん。日本から台湾までたった3時間しかかからないのにね。でもさ、始めるのに遅いなんてことないよな? 今日が間違いなく俺たちの1日目、初日だ。長い間待たせてしまってごめん。そして今夜来てくれてありがとう。楽しむ準備はできてる? 台湾から夏が去って、秋が来る。次の曲は『The Autumn Song』」と、日本よりも暖かい台北にぴったりな秋の歌で、会場ではクラップが起き、サビではもちろんシンガロングとなる。

 「金星」のあとは、メンバー全員が日本語でMCをした。ギターの生形もベースの高田も台湾に来られたことを感謝しつつ、ドラムの高橋は中国語で自己紹介をし、しっかり現地キッズとの距離感を縮める「Red Hot」、「ジターバグ」、「Salamander」と続き、「虹」ではレインボーカラーのライティングで会場を彩る。

 「謝謝! ありがとう! お前ら最高だ! マンダリンを話せたらいいけど、俺が知ってるのはニーハオ(=こんにちは)、謝謝、ハオツー(=美味しい)だけだ」と細美が言うと笑いが起こる。そしてFire EX.にも感謝の意を表した。それから英語で「俺は単なるバンドにいる一人の男として話したい、日本語で“がんばれ”は加油(ジャイオー)と言うんだ」、そして次は日本語で「がんばれ台湾、がんばれ香港、がんばれ韓国、がんばれ中国、がんばろうぜ日本人」、そして再び英語で「俺たちの未来のために諦めちゃだめだ。もっと平和な世界を願って、この曲を。Let’s make a wish, right?」と「Make a Wish」が始まり、「でっかい声で歌ってくれ!」と言う言葉を受け、台北の夜空に大合唱が起きる。「ありがとう! ラスト! 『スターフィッシュ』!」と言って曲が始まると「オイ! オイ!」と日本と変わらないキッズの反応。そして曲が終わると「ありがとうございました!」とメンバーは笑顔でステージを去るのだが、メンバーがまだステージにいる時点ですぐさまアンコールが起きていた。

 ビールを飲みながら再度登場する細美。「すげー楽しかったよ! ありがとうございました!」と日本語で言うと、次は英語で「あと1曲やらせてもらうぜ。アンコールありがとう。俺はつまらない悪い男なんだ、すごく。でも、約束は守る男だぜ。俺たちは絶対にすぐに台湾に戻ってくるから」と言うと、拍手と歓声が起こり、ここ台湾でもエルレは本当に愛されているんだと感じた。「今度はもっと小さな会場でやりたいと思ってるからさ。またすぐに会おうぜ、ありがとう台湾! またやろうぜ!!」と言って「No.13」 のギターリフが鳴り、キッズ達は拳をあげ、最後の曲を噛みしめるようにシンガロングする。約1時間のパフォーマンスは本当にあっという間であったし、日本とはまた違う曲順は異国の地ならではで、新鮮であった。彼らが名残惜しそうに手を振ってステージを去ると、すぐさま盛大な花火が球場を彩り、1日目は終了した。

Text by Rumi Maeda
Photos by Tsukasa Miyoshi (Showcase)

◎ELLEGARDEN セットリスト
(2019年11月23日【FireBall Fest. 火球祭】)
1. Fire Cracker
2. Space Sonic
3. Missing
4. 高架線
5. Supernova
6. Pizza Man
7. 風の日
8. The Autumn Song
9. 金星
10. Red Hot
11. ジターバグ
12. Salamander
13. 虹
14. Make A Wish
15. スターフィッシュ
<アンコール>
1. No.13