【米ビルボード・アルバム・チャート】トリッピー・レッド自身初の全米首位、『アナ雪2』サントラが3位へ浮上
【米ビルボード・アルバム・チャート】トリッピー・レッド自身初の全米首位、『アナ雪2』サントラが3位へ浮上

 米オハイオ州出身の人気ラッパー、トリッピー・レッドの新ミックステープ『ア・ラヴ・レター・トゥ・ユー4』が初登場1位を記録した、今週の米ビルボード・ソング・チャート。

 本作は、今年8月にリリースした2枚目のスタジオ・アルバム『!』からわずか3か月で発表した、通算4作目のミックステープ。これまでの最高位は、その『!』が記録した3位で、本作で自身初の全米No.1獲得を果たした。意外ではあるが、ソング・チャート“Hot 100”ではTOP10入りすらしたことがない。

 『ア・ラヴ・レター・トゥ・ユー』の第一弾は2017年5月にリリースされ、最高64位、R&B/ヒップホップ・チャートでは32位をマークした。同年10月には早くも第2弾を発表し、同チャート34位、R&B/ヒップホップ・チャートで19位を記録。2018年11月にリリースした前作『ア・ラヴ・レター・トゥ・ユー3』は最高3位、R&B/ヒップホップ・チャートでは初の首位獲得を果たし、本作をヒットに導いた。TOP10入りは、その前作と『!』、2018年8月リリースのデビュー・アルバム『ライフズ・ア・トリップ』(最高4位)に続く4作目となる。

 『ア・ラヴ・レター・トゥ・ユー4』の初動ユニットは104,000で、そのうちアルバム・セールスは14,000枚、88,000ユニットはストリーミングによるものだった。なお、各ユニット数の千の位以下の概数は四捨五入される。週間視聴回数は1億2,590万回で、同週で最もストリーミングされたアルバムとみなされた。また、売上の一部には公式ウェブサイトで販売されたライブ・チケットの償還が含まれている。

 続いて2位には、米テネシー州ナッシュビル出身のカントリー・シンガー=ジェイソン・アルディーンの新作『9』が初登場。初動ユニットは83,000で、そのうち68,000枚がアルバムの純粋な売上枚数とセールスが大多数を占めた。トリッピー・レッド同様、売上の一部にはコンサート・チケットの交換特典が加算されている。

 本作『9』は、2018年4月にNo.1デビューを飾った『リアビュー・タウン』から1年半ぶり、タイトルが示す通り通算9作目のスタジオ・アルバム。2012年発売の5thアルバム『ナイト・トレイン』から『リアビュー・タウン』まで、5作連続の首位獲得を果たしてきたが、本作でその記録が途絶えてしまった。しかし、最高4位をマークした2007年の2ndアルバム『リレントレス』から8作全てがTOP10入りし、カントリー・アルバム・チャートでは通算7枚目のNo.1獲得を果たしている。その人気は今も健在といえよう。

 3位には、先週15位に初登場した『アナと雪の女王2』のサウンドトラックが浮上。アルバムの発売翌週2019年11月22日に世界同時公開された映画の大ヒットを受け、セールス、ストリーミングのユニット数を伸ばした。

 同映画は、丁度6年前の2013年11月22日に公開(日本公開は2014年春)された『アナと雪の女王』の続編で、感謝祭週末の北米映画興行収入ランキングでは、2週連続の首位をキープする大ヒットを記録。日本の映画ランキングでも、興収16億を突破して初登場1位にデビューしている。初週の大ヒットを受けて、アルバムのユニット数も前週から214%増加の79,000を記録。そのうち43,000枚がアルバム・セールスで、ストリーミングとの比率もほぼ同等だった。

 前作のサウンドトラックは、翌2014年1月18日付チャートから計13週(非連続)のNo.1をマークし、同年の年間アルバム・チャートで1位を記録するモンスター・ヒットとなった。本作も、映画のヒットや話題性、アワードでの受賞効果などを受け、来年以降に売上を伸ばす可能性が高い。また、映画の興行収入が増加するクリスマス・ウィークは、ヒットに平行してアルバムのユニット数も増加するだろう。

 先週9位にランクインしていたビリー・アイリッシュ『ホエン・ウィ・オール・フォール・アスリープ、ホエア・ドゥ・ウィ・ゴー?』は、LP盤の売上が追加されたことにより今週5位まで再浮上している。今週獲得した52,000ユニットのうち、27,000枚がセールスによるもので、そのうち20,000枚分がレコードの売上という高記録を打ち出した。2019年のLP盤による週間セールスとしては、7月6日付チャートでザ・ラカンターズの『ヘルプ・アス・ストレンジャー』が記録した25,000枚に次ぐ2番目に高い記録で、先週テイラー・スウィフトの『ラヴァー』が記録した18,000枚をたった1週で塗り替えてしまった。その『ラヴァー』は、4位から6位にダウンしている。

 なお、今週から2020年度(2019年12月~2020年11月迄)のチャート集計区分となり、2020年度としては現時点で最大のLPセールスとなる。

 7位に初登場したのは、コールドプレイの新作『エヴリデイ・ライフ』。初週の総ユニット数は48,000で、そのうち36,000枚がアルバム・セールス、約1万がストリーミングによるものだった。本作は、同チャート2位を記録した2015年リリースの前作『ア・ヘッド・フル・オブ・ドリームス』から約4年ぶり、通算8枚目となるスタジオ・アルバム。最高5位をマークした2ndアルバム『静寂の世界』(2002年)から7作連続のTOP10入り(うち4作が1位)を果たしたが、前作から大きく順位を落とし、初動ユニット数も1/4程度まで減少している。なお、本国UKチャートでは、2000年に発売されたデビュー・アルバム『パラシューツ』から8作連続のNo.1獲得を果たしている。

 続いて8位には、米フロリダ州出身の新人ラッパー=YNWメリーの『Melly vs. Melvin』がデビューした。2018年8月にリリースした1stミックステープ『I Am You』が20位、今年1月に発売された次作『We All Shine』が27位を記録しているが、TOP10入りは初の快挙達成。シングル曲でも昨年ヒットした「Murder on My Mind」の14位が最高位だった。今年初頭、殺人罪の容疑で逮捕され、自身のインスタグラムで否定する内容を投稿したことや、獄中から配信したと思われる動画が大きな話題に。皮肉にも、そういったゴシップがプロモーション効果を生み出し、本作のヒットに繋がったということになる。日本では到底考えられないが、アメリカではこういったケースで売り上げを伸ばすアーティスト(主にはラッパー)も多い。

Text: 本家 一成

※関連リンク先の米ビルボード・チャートは、12月6日以降掲載予定となります。

◎【Billboard 200】トップ10
1位『ア・ラヴ・レター・トゥ・ユー4』トリッピー・レッド
2位『9』ジェイソン・アルディーン
3位『アナと雪の女王2』サウンドトラック
4位『ハリウッズ・ブリーディング』ポスト・マローン
5位『ホエン・ウィー・オール・フォール・アスリープ、ホエア・ドゥー・ウィー・ゴー?』ビリー・アイリッシュ
6位『ラヴァー』テイラー・スウィフト
7位『エヴリデイ・ライフ』コールドプレイ
8位『Melly vs. Melvin』YNWメリー
9位『What You See Is What You Get』ルーク・コムズ
10位『Over It』サマー・ウォーカー