タワー・オブ・パワー、昨年リリースのアルバムを携えたツアー初日の大阪公演をレポート
タワー・オブ・パワー、昨年リリースのアルバムを携えたツアー初日の大阪公演をレポート

 世界最高峰のブラス・ロック/ファンク・バンドと称され、昨年結成50周年を迎えた「タワー・オブ・パワー」が来日、ビルボードライブ大阪でツアー初日を迎えた。
その他ライブ画像

 1968年、テナーサックス奏者のエミリオ・カスティーヨとバリトンサックス奏者のドクター・クプカを中心に、カリフォルニア州オークランドで結成されたタワー・オブ・パワー。70年代に「So Very Hard To Go」「You're Still A Young Man」などのヒット曲を世に送り出し、エアロスミス、エルトン・ジョン、リトル・フィートらの作品への参加で時代を席巻。一度も途切れることなく、精力的に活動を続けている。2016年にはエミリオも「神様からTOPへの贈り物」と絶賛するヴォーカリスト、マーカス・スコットが加入。結成50周年という節目の年となった2018年には、昨年結成50周年を迎え、15年振りに新曲を収録したニュー・アルバム『Soul Side of Town』を発表した。そんな新作を携えたツアーということもあり、この日を待ちかねたというファンも多いだろう。

 メンバーが登場した瞬間から、大きな歓声と拍手が沸き起こるフロア。序盤からハイテンションでスタートしたステージに、一気に会場の熱が高まっていく。パワフルでゴージャスなサウンドにのせ、軽やかにステップを刻むマーカス。「楽しむ準備は出来ているかい?」そう呼びかける彼に、大きな拍手と歓声で応えるオーディエンス。フロントのホーン・セクションのメンバーがリズムに合わせて拳を掲げると、会場からも拳が高々と突き上げられた。会場の隅々にまでその歌声を届けるかのように、ステージを縦横無尽に動き回るマーカス。観客と目線や拳を合わせ、コミュニケーションをはかるその姿はTOPメンバーとしての年月は浅くとも、日本で、このステージで歌えることを全身で表現しているかのようであった。

 中盤ではリーダーのエミリオが、昨年50周年を迎えたこと、アルバムのリリースについて話し始める。まるで一人一人のファンに語り掛けるように話しながら、メンバー一人一人に敬意を込めながら紹介していく姿が印象的で、ファンを、そしてメンバーを大事にしてきたTOPだからこそ培うことが出来た年月の重み、絆、そしてグルーヴを様々な角度から垣間見ることができた。

 「What Is Hip!?」マーカスのシャウトにのせ、一斉に立ち上がり、全身でリズムを刻むオーディエンス。フロアは一気にダンスホールに変貌した。スーツ姿のサラリーマンも、ロマンスグレーの紳士も、穏やかな笑みを浮かべていた淑女も、一気にかつての少年少女に戻り、頬を紅潮させながら胸奮わせるファンクナンバーに身体を委ねる。それは幾つもの時代を駆け抜けてきたTOPだからこそ、為し得る魔法なのかもしれない。

 メンバーがステージを去っても、鳴り止まぬ拍手とTOPコール。ツアーの始まりを告げる、圧倒的なパフォーマンス。ファンクの歴史を更新し続けるレジェンドの雄姿をぜひ体感して欲しい。

text by 杉本ゆかり
Photo by Kenju Uyama

◎公演情報
【タワー・オブ・パワー】

ビルボードライブ大阪
2019年11月20日(水)・21日(木)※終了

ビルボードライブ東京
2019年11月23日(土・祝)・24日(日)
1st Stage Open 15:30 Start 16:30
2nd Stage Open 18:30 Start 19:30

2019年11月25日(月)・26日(火)
1st Stage Open 17:30 Start 18:30
2nd Stage Open 20:30 Start 21:30