<インタビュー後編>小林直己、表現者として「誰かの心に残りたい」 〈Billboard JAPAN〉|AERA dot. (アエラドット)

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<インタビュー後編>小林直己、表現者として「誰かの心に残りたい」

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<インタビュー後編>小林直己、表現者として「誰かの心に残りたい」

<インタビュー後編>小林直己、表現者として「誰かの心に残りたい」


 Netflix映画『アースクエイクバード』が11月15日に独占配信が開始された。メインキャストとして出演する、小林直己に作品について話を訊いた前編に続き、本ページでは後編を公開。ここでは “ダンサー”である小林が “役者”として本作に対し、そして“禎司”という人間に対し、いかに向き合っていったのか、話を訊いた。



――禎司という人間を演じるにあたって、どんな役作りをされたのでしょう?

小林直己:メソッド・アクティングというスタイルで、経験や過去、記憶を使った役作りをしました。複雑な過去を抱えているという役だったので、あまり思い出したくない過去の経験と向き合わなくてはいけなかったり、大変でしたがとても重要な役作りでしたね。

――カメラマン役という点で意識されたことはありましたか?

小林直己:劇中に使用するものと同じ型、1980年 代製 のOLYMPUSのカメラを探してきて、撮影が始まる5か月くらい前から東京の街を撮り始めました。そこから自分で現像して、プリントをして…という時間を通じて、禎司がなぜカメラを使うのか、何に憑りつかれて、何を探し求めているのか、ということを体感しました。僕はダンサーなので、役を感じるには体感することが一番なんです。あとは禎司の出身地である鹿児島に行って、禎司がおそらく行ったであろう場所の景色を見たり。

――役を演じていない普段の生活の中でも禎司のことを考えていましたか?

小林直己:今回に関しては撮影があってもなくても、四六時中カメラを肌身離さずにいました。もともとダンスを始めたのも、「自分の中にある“言葉にならない想い”や“言葉にしたら何かが失われてしまうようなもの”をそのまま伝えたい」と思ったことがきっかけなんですが、レッスンしていくうちに頭で考えず、自然と体の動かし方を出せるようになったので、禎司はきっとそんな風にカメラのシャッターを切るんだと思ったんです。僕にとって“ダンス”は第二の本能で、禎司にとっての第二の本能が“カメラ”なんだと気が付いて、それからはずっとカメラを持ち歩くようにしました。ダンスって、鳩の動きが一番首の使い方の勉強になると言われていて、ダンサーなら一度は一日中、何も考えず公園で鳩を見ている日があるくらいなんですが…。

――そうなんですか!?

小林直己:ダンサーあるあるです(笑)。カメラの場合もそんな風に、何も考えずシャッターを切ってみました。カメラの面白いところは、無意識に自分の撮りたいものを撮っているというところで、不思議と嫌なものは絶対に枠の中に収めていない。なので現像した時に浮き上がってきたものを見ると、自分がその時、何に興味を持っていたのかを突き付けられるんです。心のあるがままに撮れるようになるまで5,000枚以上撮影したのですが、フィルムは最初から最後まで誰にも見せず、自分だけがそれを知っている。これは禎司とも繋がっていると思ったし、こういうところが禎司と似ているんだなって。

――ステージ上でパフォーマンスする小林さんも拝見したことがあるのですが、全身全霊で後ろのほうの席まで想いを届けようとする姿が印象的でした。なので、言葉を使わずとも “想いをそのまま伝えたい”という表現はしっくりきます。

小林直己:ライブはその一瞬の空気を共有するもので、一期一会的なものだと思っています。僕自身も経験があるんですが、一生懸命バイトして稼いで、ようやく取れたチケットで観に行ったライブで、ステージ上のアーティストがパッと自分のほうに身体を向けてくれた瞬間ってすっごく嬉しい。だから僕らは、その一瞬が誰かの人生に影響を与えるかもしれないっていう責任を背負いながらパフォーマンスをするべきかもしれない。

――なるほど。

小林直己:自分が小さい頃、“人から忘れられたくない”という恐怖心のような願望があって。もし僕が誰かに影響を与えられる人間なら、たとえ“小林直己”という存在が忘れられてしまっても、その与えた影響は心にずっと残るかもしれない。ライブをやっている時も芝居をやっている時も、自分の表現が“誰かの心に残ってほしい”という想いはずっとありました。特に芝居は、仮に監督やキャスト、スタッフがみんないなくなってしまった作品でも後世に残っていく。例えばシェイクスピアの劇のような、何百年前の作品に人生観を変えられたりすることってありますよね。それって本当にすごいことだと思います。それが今、僕が映画に憑りつかれている一番の理由ですね。


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