<ライブレポート>コリー・ヘンリー、70年代ニューソウルを今に継承した至極のステージ

2019/10/31 15:30

<ライブレポート>コリー・ヘンリー、70年代ニューソウルを今に継承した至極のステージ
<ライブレポート>コリー・ヘンリー、70年代ニューソウルを今に継承した至極のステージ


 ブルックリン生まれで幼い頃から教会で演奏し、スナ―キー・パピーへの参加によってオルガン/キーボード奏者として注目を高めてきたコリー・ヘンリー。長らく次世代のヒーローが不在だったオルガン・ジャズに新風を吹き込むのみならず、18年に発表したCory Henry&The Funk Apostles名義での『Art Of Love』では、自らリード・ボーカルも取りながら70年代ソウル/ファンク直系のサウンドを展開し、シンガーソングライターとしての才も全面発揮。ジャズ、ゴスペル、ソウルの境界線を無効化する豊かな音楽性で日本でも知名度を高めてきた彼のステージは、70年代ニューソウル全盛期の偉人たちのヘリテイジを現代に継承し、柔軟にして圧倒的なグルーヴを放つ至福の時間となった。
 まずはトリオで登場し、コリーがオルガンでスペイシーな音色を出し始めると、そこにベースとドラムが加わって初期のウェザー・リポートのような展開やキース・エマーソンに通じるクラシカルな旋律もサラリと交えつつ、リズム隊がファンク色を強めるとともにファンキーなオルガン・ジャズ的展開へ。オルガンが終始リードを取ってテンションを上げていくと、コリーはタンバリンを叩きながらオルガンを弾いたり、アナログ・シンセやエレクトリック・ピアノを併用してさらに高い沸点へと登り詰め、冒頭から天井知らずでグルーヴを高めていく長尺のジャムで観る者すべてを圧倒した。カーク・フランクリンらとの共演歴もある実力派ベーシストのシャレー・リード、こちらもエリカ・バドゥらと共演歴があり、クリス・デイヴに通じる変則的なビートから流麗な70年代メロウ・ソウル調までと自在なドラマーのタロン・ロケットのバッキングもまた秀逸で、この両者の名前も覚えておく必要があるだろう。
 コリーが呼び込んで、短髪を赤く染めたルックスもインパクトのある女性ボーカリストのデニス・スタウダマイアーが加わると、序盤以降はコリーがリード・ボーカルも取り、『Art Of Love』の収録曲を中心によりソウル/ファンク色を強めたセットへ。「Takes All Time」では、前半はオルガンを弾きながら歌っていたコリーがソロではアナログ・シンセを多用して70年代のスティーヴィー・ワンダーを彷彿させ、続くAOR調の「Our Affairs」もソウルフルなボーカルとコーラスやエレピでの流麗なソロを伴ってダニー・ハサウェイやカーティス・メイフィールドの名ライブ録音に通じるノリを豊かに醸し出すなど。ややポップな音作りだったアルバムでの録音よりもオルガン中心でグッとアーシーさを強めるとともに、ライブならではの自由度を高めた音は、楽曲の良さを再認識させてくれた。
 その後もカバー曲や新曲を挟み、ラストにはルーツであるゴスペルのテイストがとりわけ強く表れたメロウな「Send Me a Sign」を。曲後半では「サイン(しるし)というのは、ある人にとってはお金だったりインスタグラムだったりするかもしれないけど、僕たちにとってのサインは音楽。だって、音楽はユニバーサルな言葉だから」と教会の説教のようなMCも効果的に挟んで観客にシンガロングを求め、場内の一体感をナチュラルに高めてライブを締めくくった。圧倒的な演奏スキルの高さと、70年代ニューソウルのボーダレスな豊かさを今に真摯に継承したステージは、オルガン・ジャズ・フリークのみならず体感しておく価値があるはず。そんなCory Henry&The Funk Apostlesの公演は、引き続きビルボードライブ東京において10月31日、11月1日に行われる。
text by Hidesumi Yoshimoto
Photo by Kenju Uyama
◎公演情報
【コリー・ヘンリー and The Funk Apostles】
ビルボードライブ大阪
2019年10月29日(火)※終了
ビルボードライブ東京
2019年10月31日(木)・11月1日(金)
1st Stage Open 17:30 Start 18:30
2nd Stage Open 20:30 Start 21:30

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