<ライブレポート>【Desert Daze 2019】2日目、DEVO/ Flying Lotus 3D/ Templesら出演
<ライブレポート>【Desert Daze 2019】2日目、DEVO/ Flying Lotus 3D/ Templesら出演

 米ロサンゼルス近郊にある人口湖畔エリア、ペリス湖のモレノビーチで音楽フェス【Desert Daze】が開催された。7年目となる今年はザ・フレーミング・リップス、ディーヴォ、ウータン・クランをヘッドライナーに迎え、オーディエンスは会場に設置された様々なアートやオーガニック・フードを楽しんだ。ここでは2日目の模様をお伝えする。
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◎DEVO
観客の多くがディーヴォ帽子を被り彼らの登場を待っていた。ステージのスクリーンで2010年リリースのアルバム『Something For Everybody』の制作とプロモーションについての過程のパロディ風映像を20分放映した後、ディーヴォの別のモンタージュ映像が映し出されバンドが登場。観客はもちろん終始、飛び、跳ね、踊り、大合唱だ。「Whip It」、「Uncontrollable Urge」、メンバーもおなじみのディーヴォ帽子を被って「Jocko Homo」など、次々とヒットチューンを演奏。最高of 最高とは、まさにこのステージのこと。ラストはマークがミュージックビデオ「Booji Boy」の再現かのような同じ被り物をして登場し「Beautiful World」で幕を閉じた。

◎Flying Lotus 3D
ステージには宇宙船のようなDJブースが出現し、観客は事前に会場内で配られた3Dメガネをかけてスタンバイ。「Fire Is Coming」のビデオで始まり、不気味な重低音のトーンに合わせ3Dヴィジュアルが作動すると、ステージ上に火花が散っているように見える。始終、近未来的な映像で観客はナチュラルハイ状態に。最新アルバム『Flamagra』から「Heroes」をプレイすると歓声が上がった。中盤でマイクを握りDJブースからステージに降りたフライイング・ロータスは、昨年亡くなったマック・ミラーへの追悼の意を表した。その後のサンダーキャットのカバーは感動的だった。

◎Temples
【Desert Daze】のセカンドステージは、リキッド・ペイント・アーティスト集団のThe Madal Chemisti Liquid Lite Showがライブペイントを手がけるステージで、回転するグラスプレートに色々な絵の具を垂らしサイケデリックな模様を作り、それをプロジェクションを通しステージ前面と観客の頭上の屋根に映し出される。アーティストの演奏に合わせ、その場で作られるため2度と同じものは見ることができない。観客はその幻想的なアートと演奏、そして壮大な星空に別の惑星にトリップしたような感覚になる。

2日目のセカンドステージのトリを飾ったTemplesのライブは、そのステージと彼らの演奏が、他の出演アーティストのどれよりもマッチしていたであろう。ドラムの交代があったが、よりリズム隊が充実し、以前の緩やかなサウンドが劇的に重圧なサイケ・グルーブ感を増して、まさに異空間を作り出していた。フロントマンのジェイムズは何度もその素晴らしいセットに称賛をたたえ、そして【Desert Daze】に出演できたことへの感謝の意を述べた。

◎Pussy Riot
機材トラブルにより20分押しでスタート。メンバーたちは、真っ暗闇に赤い閃光が放たれ、マスクを被ったダンサーを引き連れて登場。モスクワでの逮捕→釈放そして裁判、メンバーの一人の彼氏が政府に毒を盛られた事件、サッカーのW杯での乱入騒動など、音楽以外でのニュースばかりが目立った彼女達だが、それらの経験が表現の自由の国アメリカではライブパフォーマンスをより一層リアルにしているように感じた。

◎Surfbort
NYベースのパンクバンド。紅一点のシンガーのダニは、すきっ歯に、ヘアリーで奇抜なファッションとパフォーマンスで唯一無二の存在だ。ザ・ストロークスのフロントマンであるジュリアンに見出され、彼のレーベルCultと契約を結んだ後、The Voidzの前座を務めたり、最近ではグッチの広告モデルに抜擢されたりと、飛ぶ鳥を落とす勢いだ。【Desert Daze】でも去年から多くの観客が彼らの出演を熱望していたとあって、ステージは超満員。のっけからダニはステージを降り、観客とコールアンドレスポンスを煽る。男勝りなスタイルだが、時折見せるキュートなパフォーマンスで観客を魅了。バンドメンバーは彼女より年上だからか、まるで計算されたかのような、見事なまでに真摯で精密な熟練した演奏で、彼女の曖昧さを完璧なアート・パンクに仕立て上げる。日本での公演を熱望している彼らの夢が早急に叶うことを願う。

Text & photos by ERINA UEMURA