『イエスタデイ』に込められたザ・ビートルズのトリビア&胸アツポイントを紹介
『イエスタデイ』に込められたザ・ビートルズのトリビア&胸アツポイントを紹介

 「もしも自分以外にザ・ビートルズを知らない世界になってしまっていたとしたら!?」というユニークな設定で、音楽、夢、友情がザ・ビートルズの名曲とともに描かれる映画『イエスタデイ』が全国で公開を迎えた。
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 本作を一足早く鑑賞した糸井重里や鈴木おさむといった著名人から絶賛の声が集まっており、音楽業界のみならず、幅広いジャンルの方々から称賛を受けている。先日行われた試写会では、「ザ・ビートルズ映画としても、ザ・ビートルズ映画としてでなくても楽しめる映画。これはすごい!」、「笑って、泣けて、ザ・ビートルズへのオマージュを下地に人間の幸せを描いた人生賛歌!」との声が上がり、公開に向けて一層期待が高まっていた。

 本作はダニー・ボイル監督と脚本家のリチャード・カーティスの手によって、ザ・ビートルズ愛が溢れるこだわりが至る所に盛り込まれており、何度も見返したくなるほど徹底的にこだわり抜かれている。ここでは、ザ・ビートルズ研究家の藤本国彦氏と、株式会社ヒューマックス 取締役シネマ事業本部長の森嶋直紀氏の解説とともに、そのトリビアや胸アツポイントをご紹介しよう。

★まさにザ・ビートルズ!!!と気づく様々なオマージュ★
 ビートルズを彷彿とさせるシーンが所々に出てくる本作の中でも分かりやすいのは、ビートルズの代表作『アビイ・ロード』の有名なジャケットだ。彼らの足元が頭にある人には、裸足と黒靴が映った瞬間、ピンとくるシーンがある。また、主人公ジャック(ヒメーシュ・パテル)がお披露目ライブを行う海辺のシーンは、アップル・コアの屋上で行ったザ・ビートルズの最後の歴史的なライブパフォーマンスであるルーフトップ・コンサートへのオマージュでもある。
 そして映画『ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!/ハード・デイズ・ナイト』(1963)のファンが駆ける様子が完全再現されている場面や、ジャックのデビュー・アルバム名として却下されてしまうタイトル『ホワイト・アルバム』が、実際のザ・ビートルズのアルバム『ザ・ビートルズ』の俗名であるなど、様々なオマージュが盛りだくさんだ。

★歌詞のフレーズのヒントが所々に隠されている!?★
 ビートルズがいない世界になってから最初の違和感が描かれるシーンは病室。ここでは「ホエン・アイム・シックスティー・フォー」のフレーズが使用されており、ジャックはまだ気づかないが、いつもなら反応するはずの親友エリー(リリー・ジェームズ)の変化が描かれる。そして、ジャックが様々なヒントと記憶をたどってビートルズの楽曲を思い出そうと奮闘するのだが、そこからが怒涛の楽曲ヒントの嵐に。
 例えば数学の教師であるエリーを訪ねたシーンで、“銀のかなづち”が振り下ろされることはないが、生徒からのヤジにイライラしているエリーを見て「マックスウェルズ・シルヴァー・ハンマー」のフレーズを、歯医者で「ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ」を思い出すなど、有名曲からマイナーな楽曲まで随所に散りばめられている。

★しれっと映るオマージュカットの数々★
 冒頭のジャックが街中で路上ライブを行っているシーンで、何度も着ぐるみが映り込む場面がある。なぜ彼はこんなにも着ぐるみに見守られているのか、スルーしようと思えばできるものの、少し気になるシーンでもある。『マジカル・ミステリー・ツアー』の着ぐるみを彷彿とさせるからだ。また、ルーフトップ・コンサートのオマージュシーンであるライブの直前に、一瞬扉を間違えるシーンがあるのだが、そのカットが映画『ビートルズがやって来る~』のワンシーンと全く同じだそうだ。
 そのライブ場面ではさらなるこだわりも見られる。実際ザ・ビートルズがライブを行った時、屋上の地面が整っておらず、木の板を敷いて演奏されたのだが、本作でもよく見るとジャックが演奏している足元には木の板が! 他にも、ザ・ビートルズが大好きというリチャードとダニー・ボイル監督のこだわりとあって、ありとあらゆる場面でマニアックすぎるカットが登場。とあるシーンで一瞬映るヤカンでさえも、もしかして……と感じるはずだ。

◎映画『イエスタデイ』
現在公開中
監督:ダニー・ボイル
出演:ヒメーシュ・パテル、リリー・ジェームズ、ケイト・マッキノン、エド・シーランほか
配給宣伝:東宝東和
(C)Universal Pictures