『カーク』ダベイビー(Album Review) 〈Billboard JAPAN〉|AERA dot. (アエラドット)

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『カーク』ダベイビー(Album Review)

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『カーク』ダベイビー(Album Review)

『カーク』ダベイビー(Album Review)


 1991年生まれ、米オハイオ州クリーブランド出身。2015年に“ベイビー・ジーザス”というアーティスト・ネームでミックステープ『ノンフィクション』をリリースし、以降2018年末の『ブランク・ブランク』まで、計10作ものミックステープを発表してきた(2017年はなんと6作も!)、ダベイビー。コミカルな容姿からも相当若くみえるが、今年の12月で28歳のアラサーだった……ということにはちょっと驚かされた。

 今年3月にリリースしたシングル「Suge (Yea Yea)」が、米ビルボード・ソング・チャート“Hot 100”で最高7位、R&B/ヒップホップ・チャートでは3位まで上り詰めるヒットを記録し、ブレイク。同曲のヒットを受けて、同じ日に発表されたメジャー・デビュー・アルバム『ベイビー・オン・ベイビー』も米ビルボード・アルバム・チャート“Billboard 200”で7位、R&B/ヒップホップ・チャートで3位を記録。リリース半年でゴールド・ディスクに認定される快挙も達成した。

 本作『カーク』は、その『ベイビー・オン・ベイビー』からわずか半年という短いスパンで制作された、自身2作目のスタジオ・アルバム。ダベイビーは本名をジョナサン・リンデイル・カークといい、本作のタイトルである『カーク(Kirk)』とは、自身のファミリー・ネームから引用されたものであることが分かる。アルバムのカバー・アートは、父親と誕生日を祝っている幼少期の写真、とのこと。

 リリース1週間前には、1曲目に収録されているリード曲「Intro」が公開された。お下劣な表現は多々見受けられるが、ジャケットに写っている亡き父と祖母に贈られたメッセージ、それに貧しかった家庭環境や成功までの過程なども記されたリリックは、ヒット曲「Suge」と一線を引いている。これまではおフザけ的ニュアンスを含む曲やビデオで若層を取り込んできたが、畳みかけるようなラップとクールなトラック含め、2作目では少し色を変えたよう。

 その「Suge」でのブレイクを受け、周囲の反応が変わったことや、それをディスる誰かに対してのディス(返し)、金回りの良さなどを歌った「Off the Rip」~「Bop」なんかは、若手ラッパーらしいヤンチャさが伺える。インスタグラムでトレイラーを公開した「Vibez」も、金、女、成功した暁的ニュアンスを含む、(ある意味)スタンダードなヒップホップ・ナンバー。

 ゲストも豪華。両者の掛け合いと夏っぽいトラックが心地よい「Pop Star」は、米ルイジアナ州出身のラッパー=ケヴィン・ゲイツが、6曲目の「Gospel」では、グッチ・メイン、チャンス・ザ・ラッパー、米フロリダ州出身の若手ラッパー=YKオシリスという夢の共演も実現している。続く「iPhone」は、同月に引退宣言で世間を騒がせたニッキー・ミナージュとのコラボレーション。ケネス・ペティとの結婚生活を優先するためとしているが、果たして真相は……?というゴシップネタはさておき、同曲では故アレサ・フランクリンの代表曲「Respect」を引用して「アレサって呼びな」と相も変わらず強気に歌っている。なお、ダベイビーも自身をマイケル・ジャクソンのような伝説をつくったと“盛り”込んでいて、色んな意味で面白い仕上がりに。

 そのニッキーとの確執諸々……のミーゴスとは、「Raw Shit」で共作・共演した。グループとしてのコラボレーションは初だが、メンバーのオフセットとは前作収録の「Babysitter」に続き2曲目。ミーゴスが参加した曲はどうしても彼らの色が濃く出てしまいがちだが、この曲含め、ある意味期待を裏切らない仕上がりともいえる。ホイッスルがバックで不気味に響く「Toes」は、同時期にブレイクしたリル・ベイビーと、何かとお騒がせなマネーバッグ・ヨーとのコラボ曲。次曲「Really」には、これまでの作品にも多数参加した米ノース・カロライナ州のラッパー、スタナ・フォー・ヴェガスがフィーチャーされている。「Really」と「Prolly Heard」は、いずれもDJクルーがプロデュースを担当。

 ドレイクやポスト・マローン等を手掛ける米アトランタ出身の音楽プロデューサー=ロンドン・オン・ダ・トラックによる「There He Go」や、7月に行われた<XXL Freshmanサイファー>でのパフォーマンスも話題を呼んだ「XXL」も収録された、ダベイビー2作目となるアルバム『カーク』。曲数は13曲と平均的だが、1曲平均2分半、トータル35分とコンパクト且つメリハリもあって、聴きやすいアルバムだった。一発屋と言わせないためにも、ひとつ強烈なヒットが欲しいところではある。


Text: 本家 一成


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