【米ビルボード・アルバム・チャート】トゥール3作連続首位、ラナ・デル・レイ3位初登場
【米ビルボード・アルバム・チャート】トゥール3作連続首位、ラナ・デル・レイ3位初登場

 米ロック・バンド、トゥールの新作『フィア・イノキュラム』がNo.1デビューを飾った、今週の米ビルボード・アルバム・チャート。

 本作『フィア・イノキュラム』は、2006年リリースの前作『10,000デイズ』から約13年ぶり、通算5作目のスタジオ・アルバムで、全米アルバム・チャートでの首位獲得は、3rdアルバム『ラタララス』(2001年)、 『10,000デイズ』に続き3作連続、TOP10入りは2ndアルバム『アニマ』(1996年/ 2位)含む4作目となる。本作は、オーストラリアでも同3作連続の首位デビューを果たし、イギリス(4位)、ドイツ(2位)などの主要国でもTOP10入りした。

 『フィア・イノキュラム』の初動ユニット数は270,000で、そのうちアルバムのセールスが248,000枚、ストリーミングによるユニット数は21,000程度だった。とはいえ、ストリーミングの弱いロック・バンドからすると、視聴回数も好調だったといえる。週間視聴回数は2,760万回だった。

 初回限定盤には、 4インチのHDスクリーン付き動画プレーヤーが搭載されていて、限定映像を観ることができる。他、充電ケーブル、スピーカー、36ページのブックレットもついている特殊パッケージ仕様になっていて、これらの特典が売上に繋がった模様。なお、本作はダウンロードとこの限定盤CDのみの販売で、昨今主流になっているライブ・チケットの還元や、グッズ販売による売り上げは一切ない。それでいて25万枚近く売り上げるとは、彼等の人気を物語る。なお、限定盤は45~50ドルとCDとしては高額だが、既にソールド・アウトしたとのことだ。

 2019年では、ロック・アルバム最大の初動ユニットを記録した『フィア・イノキュラム』。この記録は、 2018年6月23日付チャートで292,000ユニットを獲得したデイヴ・マシューズ・バンドの『Come Tomorrow』以来最大の数字で、セールスのみの記録としても同作の285,000枚以来、最大の売上。なお、『Come Tomorrow』の売上にはライブ・チケットとの連動があった。

 先週、2019年最大のユニット数を記録して首位デビューを果たしたテイラー・スウィフトの『ラヴァ―』は、トップを維持できず2位にダウンした。2週目のユニット数は 178,000で、初動で記録した867,000ユニットから80%近く数字を落としている。

 続いて、今週3位にデビューしたのはラナ・デル・レイの新作『ノーマン・ファッキング・ロックウェル!』。週間ユニットは104,000で、そのうちアルバムの売上が66,000枚、ストリーミングによるユニット数は4万弱だった。

 本作は、同チャートでNo.1デビューを果たした前作『ラスト・フォー・ライフ』(2017年)から約2年ぶり、通算6枚目となるスタジオ・アルバムで、2ndアルバム『ボーン・トゥ・ダイ』(2012年)からすべてのアルバムがTOP3入りしている。そのうち、『ラスト・フォー・ライフ』と3rdアルバム『ウルトラヴァイオレンス』(2014年)が1位に輝いた。3作目の首位獲得は 逃したが、 『ラスト・フォー・ライフ』が記録した初動107,000ユニットと比較すると、数字自体は極端に落ちてはいない。

 4位には、米NY出身の新人ラッパー=リル・テッカのデビュー・ミックステープ『We Love You Tecca』が初登場。週間ユニットは68,000で、アルバムの売上はわずか4,000枚、ストリーミングによるユニット数は64,000だった(週間1億500万視聴)。本作からは、ソング・チャート“Hot 100”で5位まで上昇している「Ran$om」が大ヒットし、アルバムのプロモーションに繋げた。 「Ran$om」は、リル・ナズ・Xの「オールド・タウン・ロード」を下し、 ストリーミング・チャートで2週連続の1位を記録している。

 先週の20位から10位へTOP10復帰したのは、トラヴィス・スコットの『アストロワールド』。本作は、昨年夏にリリースされ、2018年8月18日付チャートで首位デビューを果たしているが、今週急激にポイントが上昇したのは、 8月28日にNetflixで公開されたドキュメンタリー作品『トラヴィス・スコット: Look Mom I Can Fly』の反響を受けてのもの。前週から55%増加の、31,000ユニットを記録している。

Text: 本家 一成

※関連リンク先の米ビルボード・チャートは、9月13日以降掲載予定となります。

◎【Billboard 200】トップ10
1位『フィア・イノキュラム』トゥール
2位『ラヴァー』テイラー・スウィフト
3位『ノーマン・ファッキング・ロックウェル!』ラナ・デル・レイ
4位『We Love You Tecca』リル・テッカ
5位『ソー・マッチ・ファン』ヤング・サグ
6位『コズ・アイ・ラヴ・ユー』リゾ
7位『ホエン・ウィー・オール・フォール・アスリープ、ホエア・ドゥー・ウィー・ゴー?』ビリー・アイリッシュ
8位『インディゴ』クリス・ブラウン
9位『No.6 コラボレーションズ・プロジェクト』エド・シーラン
10位『アストロワールド』トラヴィス・スコット