〈コラム〉結成35周年記念ジャパン・ツアーを目前に控えた「マンハッタン・ジャズ・クインテット(MJQ)」その歩みと魅力に迫る

2019/09/06 18:50

〈コラム〉結成35周年記念ジャパン・ツアーを目前に控えた「マンハッタン・ジャズ・クインテット(MJQ)」その歩みと魅力に迫る
〈コラム〉結成35周年記念ジャパン・ツアーを目前に控えた「マンハッタン・ジャズ・クインテット(MJQ)」その歩みと魅力に迫る


 結成35周年を迎えた人気ジャズ・バンド、“マンハッタン・ジャズ・クインテット(以下MJQ)”の来日公演が9月に決定。9月11日にビルボードライブ大阪、17日にビルボードライブ東京に出演する。今なお、不動の人気を誇るMJQの人気の秘密を探ってみよう(※編集部注:本文は2017年掲載の「マンハッタン・ジャズ・クインテット来日記念特集」より一部改稿)。
1.マンハッタン・ジャズ・クインテットの歩み
 記念すべきMJQの1作目『マンハッタン・ジャズ・クインテット』が吹き込まれたのは、1984年7月11日のこと。たった一日で録音されたデビュー作は、発売されるや否や一大反響を巻き起こし、15万枚も売れた。日本のジャズ・ファンの心をがっちりと掴み、大人気となったのだ。結成当時のメンバーは、デビッド・マシューズ(p:当時41歳)、ルー・ソロフ(tp:40歳)、ジョージ・ヤング(ts:36歳)、チャーネット・モフェット(b:17歳)、スティーヴ・ガッド(ds:39歳)だった。当時のジャズ・シーンは、長老のカウント・ベイシーが亡くなり、革新的な演奏を続けてきたウェザー・リポートが解散した。1970年代に流行ったフュージョンも元気を失っていた。そんなとき、理屈抜きにスカッと本格的な4ビート・ジャズを演奏するMJQが登場したのだ。まさに時代が求めるジャズ・バンドだった。
 ジャズ評論の第一人者である油井正一(1918-1998:享年79歳)は、このデビュー作を聴いて、ジャズ専門誌『スイングジャーナル』のディスクレビューに、「デビッド・マシューズは、ジャズという名のプールに小石を投げ、このさざ波は次の世紀まで波を立て続けて行くだろう」と記した。油井先生の予言はあたり、21世紀になってもMJQは活躍し、今年遂に35周年を迎えたのだ。さて、1985年にリリースされたMJQの第2作『枯葉』は、販売20万枚を記録した。【ジャズ・ディスク大賞〈最優秀CD賞〉】を受賞し、MJQの名声が確立した。1986年になると、ベースは、エディ・ゴメス(当時41歳)に代わり、MJQは全盛期を迎えた。
 スティーヴ・ガッドとエディ・ゴメスが、リズム・セクションとなったMJQは最高だった。
 1988年1月からは、リズム・セクションが、なんとジョン・パティトゥッチ(b)とデイヴ・ウェックル(ds)に一新されさらに強化された。1992年~2007年は、チャーネット・モフェット(b)とビクター・ルイス(ds)が担当し、MJQは安定期を迎えた。2015年2月になると、トランペットが長きに渡り活躍したルー・ソロフから若きマイケル・ロドリゲスに変更になった。マイケルの輝く音色とハイ・トーンは、新生MJQの新たな魅力となっている。同時にサックスもアンディ・スニッツアーからクリス・ハンターに変更になった。クリス・ハンターのパワフルなサックスこそジャズの魅力そのものである。
 また2017年に結成33周年を迎えたMJQは、6月、7月、8月と3ヶ月連続してアルバムをリリースした。前代未聞の“パワフル・スイング3部作”の誕生である。タイトルは、『スイングしなけりゃ意味ないね』、『サム・スカンク・ファンク』、『恋人よ我に帰れ』で、MJQの通算31作目、32作目、33作目となる。この3枚が、現時点のMJQの最新作である。
2.MJQの魅力
 MJQの魅力は、リーダーであるデビッド・マシューズの高いアレンジ能力とMJQの高い演奏能力にある。今までにリリースしたMJQの33枚の作品の内容は、多岐に渡っている。スタンダード、ディキシーランド、スイング、クール・ジャズ、ラテン、ファンキーなど、ふるえるほど壮観で多彩だ。これらをマシューズが格好良くアレンジし直すのだ。また忘れてならないのが、MJQの最強のメンバーである。マイケル・ロドリゲス(tp)、クリス・ハンター(sax)の二大実力者が中心となり、極上のソロを展開していく。リズム・セクションのリッキー・ロドリゲス(b)とクリフ・アーモンド(ds)は、人気ピアニスト、ミシェル・カミロのメンバーとしても活躍する精鋭である。もちろんマシューズのピアノも非常に良い。MJQの良さは、ライブ演奏でこそ、発揮されるのだ。
3.デビッド・マシューズの近況
 デビッド・マシューズは、8月13日~17日の5日間、ニューヨークの超一流クラブ“バードランド”に出演していた。メンバーは、エディ・ゴメス(b)&スティーヴ・ガッド(ds)。全員が【グラミー賞】受賞者による“Legendary Trio”である。5日間、全てが超満員札止めとなり、その演奏は絶賛された。また、ウィル・リー(b)、ルー・タバキン(ts)、マイケル・モスマン(tp)、フランク・ウェーバー(vo,p)など多くのミュージシャンが観に来ていた。このトリオは、今年の3月、ビルボードライブ大阪とビルボードライブ東京で熱演したのも記憶に新しい。すなわち、デビッド・マシューズは、今、最高の状態にある。
 結成35周年を迎えたMJQのビルボードでの演奏が楽しみである。
TEXT:高木信哉(音楽評論家)


◎公演概要
【マンハッタン・ジャズ・クインテット
結成35周年記念 MJQジャパン・ツアー2019】
ビルボードライブ大阪
2019年9月11日(水)
1st Stage Open 17:30 Start 18:30
2nd Stage Open 20:30 Start 21:30
ビルボードライブ東京
2019年9月17日(火)
1st Stage Open 17:30 Start 18:30
2nd Stage Open 20:30 Start 21:30

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