<ライブレポート>THE WEIGHT BAND、70年代の古き良きアメリカを彷彿とさせるステージ
<ライブレポート>THE WEIGHT BAND、70年代の古き良きアメリカを彷彿とさせるステージ

 リヴォン・ヘルムがウッドストックに所有していたスタジオに集まっていた実力派ミュージシャンたちによって2013年に結成され、その名の通りにザ・バンドの楽曲を演奏するためのセッションから発展していったというThe Weight Band。80年代以降に再結成されたザ・バンドにおいてロビー・ロバートソンの代役ギタリストを務めたギター/マンドリン奏者のジム・ウィーダーを中心に、70年代米国ロックの良心を今に継承する彼らに加えて、今回の公演にはリトル・フィートのポール・バレアとフレッド・タケットがスペシャル・ゲストとして同行。ザ・バンドのみならずリトル・フィートの新旧名曲も次々と飛び出したステージは、米国ロックの豊かさと多様性をたっぷりと堪能させる見応え満点のセットとなった。
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 まずステージに登場したのは、レジェンドの風格を漂わせるポールとフレッドの2人。アコースティック・ギターを鳴らしながら客席に「静かだな」と語りかけると、渋い歌声にスライド奏法も交えながらのデュオでリトル・フィートの楽曲を次々と披露し始めた。故ローウェル・ジョージのソロ作に収録された「Honest Man」、79年発表のアルバムへのポール提供曲「Down On The Farm」、そしてアコーディオン奏者が加わっての2012年作収録の「Church Fallin' Down」など。新旧のナンバーを貴重なデュオで響かせると、バックにThe Weight Bandの面々が加わっての7人編成でギターのイントロから待ってましたの大きな歓声が上がったリトル・フィートの代表曲「Willin'」へ。マンドリンやアコーディオンの秀逸なソロも挟みながら、場内を一気に70年代の古き良きアメリカへとタイムスリップさせた。

 先輩格の2人のいぶし銀な好サポートを受けてのThe Weight Bandは、軽快にしてパワフルなザ・バンドの初期の名曲「Rag Mama Rag」のカバーからスタート。この後は18年に発表された彼らのオリジナル・アルバム『World Gone Mad』の収録曲へと移り、アコーディオンを弾いていたブライアン・ミッチェルがニューオリンズ流儀なピアノを弾きながらリード・ボーカルも取って故ドクター・ジョンばりに活躍する「Deal」、ロック色を強めたサウンドで高揚させる「Big Legged Sadie」、リーダー格のジムがマンドリンを弾きながら歌うタイトル曲の「World Gone Mad」など。メンバー全員が交互にリード・ボーカルを取りながら、ロック、カントリー、ブルースなどの多様な要素が交錯する音世界を巧みに展開し、ザ・バンドの遺産を継承する実力派ぶりを痛快に発揮した。

 そして、終盤は「リヴォン・ヘルムに捧げる」とMCした後に、ザ・バンドの名曲群の中でもひと際グルーヴィーな曲調で人気な「Ophelia」、ベース奏者のアルバート・ロジャースが「一緒に歌ってくれ!」と告げた後にメロウな「The Night They Drove Old Dixie Down」、ファンキーなドラム・ブレイクとギターのリフから再び歓声が上がり、ドラマーのマイケル・ブラムがボーカルを取った「Up On Cripple Creek」とザ・バンドのライブ映えする名曲を連発。アンコールでは、再びポールとフレッドも加わっての7人でボーカルを回しながら外すことのできない「The Weight」を取り上げて大団円となった。ザ・バンドとリトル・フィートの両雄はもちろんのこと、ロック/カントリー/ブルースなどの米国ルーツ・ミュージック全般を愛する音楽ファンなら誰もが胸のすく思いとなること必至のステージは、引き続き8月31日(土)と9月1日(日)にビルボードライブ東京にて行われる。

Photo by Kenju Uyama
Text by Hidesumi Yoshimoto

◎公演情報
【THE WEIGHT BAND
Featuring members of THE BAND and THE LEVON HELM BAND
with special guests: Paul Barrere and Fred Tackett, the guitarists of LITTLE FEAT】

2019年8月29日(木)※終了
ビルボードライブ大阪

2019年8月31日(土)・9月1日(日)
ビルボードライブ東京
1st ステージ 開場15:30 開演16:30
2nd ステージ 開場18:30 開演19:30