先行シングルという考えはもう古い?! BUMP OF CHICKENのニューアルバム【Chart insight of insight】

Billboard JAPAN

 7月10日にBUMP OF CHICKENが、約3年半ぶりのニューアルバム『aurora arc』を発表した。今週のHot Albumsでは、圧倒的な強さで首位を獲得している。このタイミングで過去の作品のストリーミング配信も解禁。とにかく一気に彼らの音楽が広がったという印象を受ける。

 Hot 100に目を向けてみると、10位に「Aurora」がランクインしている(【表1】)。この曲はアルバムからの先行シングルという位置付けではあるのだが、配信リリース自体は3月とすでに4ヶ月も前。ドラマのタイアップにもなっていたが、それもオンエアは1月から3月の期間。いわば旬を過ぎた楽曲と言われてもおかしくない。実際、5/6付ではいったん圏外にまで下降している。しかし、今回のアルバムのリリースタイミングでは、ラジオのオンエア回数が急上昇して1位、ツイッターのつぶやき数も3位と一気にポイントを稼ぎ、ベスト10に滑り込んだ。

 一方、アルバム収録曲の「月虹」も、Hot100で15位にランクインしている(【表2】)。この曲は昨年10月からTVアニメ『からくりサーカス』の主題歌として使用されていたが、シングルカットはされておらず、今回のアルバム収録曲として正式リリースされた。この曲は、BUMPファン以外にとっても待望のリリースだったのではないだろうか。というのも、ダウンロードではなんと1位となっているからだ。「Aurora」のダウンロードが49位であることを考えると、あきらかにこの2曲のリスナー層は別だと想像できる。バンドのファンと楽曲のファンとは違うということが、ここで証明されたと言えるだろう。

 しかし、いずれにせよどちらの結果もアルバム『aurora arc』がダントツの首位となったことに結実しているのは確か。アルバム・プロモーションにおいては、ついついプッシュ曲を限定してしまいがちだが、いくつも種まきをしてから一気に刈り取るというやり方は彼ららしいし、そのタイミングでストリーミングの解禁を持ってくるところも見事。無理にアルバム直前の先行シングルを準備しなくても、それまでの活動が充実し、蓄積していれば、その後のアルバムにつながっていくのだ。Text:栗本斉

栗本斉:旅&音楽ライター、選曲家。レコード会社勤務の傍ら、音楽ライターやDJとして活動を開始。退社後、2年間中南米を放浪し、現地の音楽を浴びる。その後フリーランスとして活動した後、2008年から2013年までビルボードライブのブッキングマネージャーに就任。フリーランスに戻り、雑誌やライナーノーツなどの執筆や音楽評論、ラジオやストリーミングサービスにおける構成選曲などを行っている。
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