ハワード・ジョーンズ来日直前インタビュー「ハワード・ジョーンズという人間が作る音楽を世界に届けたい」
ハワード・ジョーンズ来日直前インタビュー「ハワード・ジョーンズという人間が作る音楽を世界に届けたい」

2019年5月にリリースされた最新アルバム『トランスフォーム』を引っ提げた来日公演を直前に控えるハワード・ジョーンズにインタビューを敢行。『かくれんぼ』35周年という記念の年に開催される今回の来日公演に向けた意気込みや最新作等について語ってくれた。

――日本公演が間近となってきましたが、今回の来日で楽しみにしていることはありますか?
ハワード・ジョーンズ(以下:ハワード):日本に行くのは本当にいつも楽しみなんだ。行けるだけで十分、っていうくらいなんだけど、そんな中でも時間をとり、アート・ギャラリーに行ったり、おもしろい建物や歴史的な名所や旧跡を訪れたり、若手の日本人デザイナーのショップをチェックしたりするのが好きなんだ。

――日本の食事も楽しみですか?
ハワード:日本食は大好きだよ。ただ、ぼくは40年ほどベジタリアンだし、今はヴィーガンなのでね。でも和食にもヴィーガンでもOKなものはあるので、何か美味しいものが食べられればいいなと思ってるよ。

――『かくれんぼ』35周年という記念の年ですが、いま改めて35年間を振り返ってみてどうですか?多くのことが変わりましたか?
ハワード:まるで一生分以上の人生を送ったような気もする。(笑)そのくらい沢山のことがあのアルバム以降起き、ぼくも沢山のことをした。決して、気づいたら時間がたっていたんではないんだ。その間に素晴らしい出来事が本当に沢山あったから。ひとつ言えるのは、35年前もこうして音楽を続けているとは、まるで思ってなかったってことだ。若い時はそこまで先を想像できないものだろ?でも今もこうして続けられていること、昔と変わらずパッションを感じられることを本当に嬉しく思うよ。『かくれんぼ』やあの時代のアルバムからの曲と同時に、ニューアルバムからの曲を演奏していられるなんて。すごいことだって、今さらながら思うよ。

――80年代、90年代、2000年代…と、移り変わりの激しい音楽シーンで生き残ってきた秘訣は何だったのでしょう?
ハワード:(笑)ぼくがこうして今もここにいる理由は、どんな時も一番大切なのは音楽で、音楽を通じて言いたいことがあったからだ。金や名声が欲しくて、セレブになりたくて音楽をやってきたわけじゃなかった。ただ、ぼくハワード・ジョーンズという人間が作る音楽を世界に届けたいという、それだけだったんだ。その一途な思いだけで、今まで来たんだと思う。だからこそ、これまでの年月、ずっと楽しんでやってこれた。一番辛かったのは80年代が終わってすぐだ。80年代、すごい成功を手にしたけれど、レコード会社もオーディエンスも関心は “次のもの” に移ってしまった。そこでぼくは新たな状況に自分を適応させるしかなかった。どうしたかといえば、最初から応援してくれたファンとの絆を深めたんだ。音楽ビジネス自体が大きく変わってしまい、かつてのように音楽は聴かれなくなってしまったわけだから、そこに自分が適応しなきゃならなかった。でもその過程をぼく自身は大いに楽しめたと思うよ。風景が変わったなら、その新しい風景にいかに意味を見出すか、それ自体がクリエイティヴなプロセスの一部だからね。

――そうですね。あなたは最初からワンマンで音楽を作ってこられたから、そういった時代の変化の中でも音楽を作り続けられたのでしょうね?
ハワード:そうなんだ。だからワーナー・ブラザーズとの契約が切れた後、すぐに自分のレーベルを立ち上げ、ほかのアーティストを契約し、自分なりの目標を立ててやろうと思った。そういうチャレンジも含め、楽しめたんだ。真の意味で自立した、インディペンデントなアーティストでいられたことは、自分にとってプラスだったと思うよ。

――現在のエレクトロニック・ポップ・シーンについてはどう思いますか?
ハワード:今はとってもエキサイティングな時代だと思う。今回のツアーで、会場に来てくれているオーディエンスの顔をみると、すごく若いお客さんが多いんだ。みんなシンセやエレクトロニック・ミュージックを興味深くチェックしてるのがよくわかる。新しいシンセウェーヴ系バンドもいっぱい出ているし、80sのエレクトロニック・ミュージックが大好きな若いバンドによって新たなジャンルが作られている。そのエキサイティングなムーヴメントの一部に自分もいられている実感があるんだ。80年代はじめが醸し出していたエモーションに、ぼくも少しながらは貢献したと思うのでね。

――お気に入りのアクトや最近聴いて良かった曲とかは?
ハワード:FM-84はすごくいいね。あとはAll Hail The Silence。今、USツアーを一緒に回ってくれている。80sのフレーバーを持つ素晴らしいエレクトロニック・ミュージックを作っているよ。その2つが好きかな。

――All Hail The SilenceはBT(ブライアン・トランソー)のユニットですね?
ハワード:そうだよ。

――最新作のタイトル『トランスフォーム』に込めた意味を教えてください。
ハワード:今回のアルバムのテーマは“自分自身を変えること”だった。この世界をより良いものに変えたいのなら、まずは自分自身を変えるところからスタートしなきゃならない。そのためには自分のおこないに目を向け、ほかの人間に対して、環境に対してどう振舞っているか、それを見つめ直さなきゃならない。そんな哲学的なテーマがアルバム全体に流れているんだ。まず自分を見つめよう、考え方をちょっと変えてみよう、振る舞いを変えてみようと。そうすることで自分たちが生きる社会に何かしらできることがあるかもしれない、とね。

――最新作を引っ提げての来日公演。現在はUSツアー中ということですが、どんなステージになるのか、教えてください。
ハワード:エレクトロニックなステージになるよ。ぼくとロビーがシンセを弾き、シーケンサーなどはロビーが担当。それとギターにロビン・ボールト。セットの間に2~3箇所、ピアノ1台でアコースティックで演奏する。普段のぼくとは違う、別の一面を見てもらえる点でも、ショウ全体のダイナミズムという点でも、すごくうまく行ってると思う。シンセ~アコースティック~シンセ、というメリハリのある構成で、オーディエンスの受けもいいみたいだよ。

――アコースティックでやるのはどの曲なのか、よければ教えてください。
ハワード:「Hide And Seek」「No One Is To Blame」それと多分「Life In One Day」。

――大ヒット曲ばかりですね!MCでも結構お喋りをする方だけど、日本でもファンとコミュニケーションはとる予定ですか?
ハワード:いつもできる限り、喋りたいとは思ってるんだ。前回もいくつかの日本語の言葉を入れてみた。ぼくも頑張って日本語を喋る努力をするのが、オーディエンスへのリスペクトだと思うのでね。今回も最大限の努力をするよ。

――最後に、来日公演を楽しみにしている日本のファンへメッセージをお願います。
ハワード:また日本に行けるのを、大阪、そして東京でプレイするのをとても楽しみにしているよ。ビルボードライブのお客さんとの近さを感じる心地よい空間が大好きなんだ。オーディエンスと本当の意味でコミュニケーションが取れる。また日本で、新曲を演奏できるのを楽しみにしているよ。

――どうもありがとうございました。

Interview:丸山京子

◎来日公演情報
【ハワード・ジョーンズ】
2019年7月31日(水)
1stステージ開場17:30/開演18:30
2ndステージ開場20:30 開演21:30
会場:ビルボードライブ大阪

2019年8月2日(金)
1stステージ開場17:30/開演18:30
2ndステージ開場20:30 開演21:30

2019年8月3日(土)
1stステージ開場15:30/開演16:30
2ndステージ開場18:30 開演19:30
会場:ビルボードライブ東京

◎リリース情報
アルバム『トランスフォーム』
AVAILABLE NOW
SICX 30071 2,400円(tax out.)
※高品質Blu-S-pecCD2仕様
※日本盤ボーナス・トラック5曲収録
※歌詞・対訳・解説付
PHOTO: Simon Fowler