エルヴィス・コステロ、大英帝国勲章に対する複雑な思いを明かす
エルヴィス・コステロ、大英帝国勲章に対する複雑な思いを明かす

 音楽への多大なる貢献が認められ、エルヴィス・コステロに大英帝国勲章OBEが授与されることが決まり、本人が自身のウェブサイトで「この非常に驚くべき名誉を喜んで受ける」と発表したが、母親の意見に従って受け取ることにしたものの、まだ複雑な思いでいることを明かしている。

 コステロの曲は、たとえば「Oliver's Army」や「Tramp the Dirt Down」に代表されるように、英国の帝国主義や政治について批判的なものが多い。そんな彼は当初、受賞を辞退しようと考えていたようだが、“エリザベス女王とほぼ同い年の”母、リリアンに報告の電話を入れた際、“丁重に受け取るべき”と諭されたのだそうだ。

 彼は、「お袋への電話でまず、メイ首相が僕の名をOBEに推薦したことを伝えた。すると話し終える前にリリアンは、“彼女はクズなのに”と僕を遮った」と明かし、「まあそれはそれとして、僕は、“当然辞退するから”と言った。でも結局この意見も通らなかった。“何かを受けるに値するなら、丁重に受け取るべきよ”と諭す母の言葉に注意深く耳を傾けた。だから、お袋が最も誇りに思うことをするのを好むいい息子として、僕は古い疑念や確執を横に置き、自分が持つ微々たる品位を奮い起こさなければならないと悟った」と綴っている。

 「過去にこの栄誉を受けた者―受賞した者、強い信念や気難しさを理由に辞退した者ーのリストを見たところ、僕はおそらくハロルド・ピンター(ノーベル賞作家)よりはエリック・モーカム(Eric Morecambe、コメディアン)に精神が近いという結論に至った。僕のピアノを聴いたことがある人なら誰でもそう断言するだろう。だとしても、“大英帝国”とその言葉が体現するすべてに由来する名がつくものを、しばしの内省なくして受け取るのは難しい」と彼は続けている。

 自身の両家の祖父たちが“王と国家”のために第一次世界大戦に駆り出された戦争体験について語ったあと、コステロは、「王位、まして帝国という概念なんてものへの忠誠心を強く持つよう育てられたふりを僕がしたところで、それは偽りでしかない。変化が訪れるかもしれないと思っていたこともあったけれど、大統領として我々に押し付けられたりする二流の企業家のような存在を思うと、どれだけ頑なな“共和制主義者”でさえもアーミン毛皮のストールと杖とオーブが欲しくなってくる」と綴り、「正直なところ、自分の“音楽への貢献”がこのような形で認められたことに割とウケてるんだ。僕が長い間抱えていた、曲の歌詞なんて実は誰も聞いてやしないという疑念が裏付けられたからね。そうでなければ少し違う結果になっていただろう」と彼らしい皮肉で締めくくっている。