ボウイ、ディラン、レイ・チャールズ… 鬼才ラース・フォン・トリアーの完全復活映画を彩る数々のヒットナンバーに迫る 〈Billboard JAPAN〉|AERA dot. (アエラドット)

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ボウイ、ディラン、レイ・チャールズ… 鬼才ラース・フォン・トリアーの完全復活映画を彩る数々のヒットナンバーに迫る

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ボウイ、ディラン、レイ・チャールズ… 鬼才ラース・フォン・トリアーの完全復活映画を彩る数々のヒットナンバーに迫る

ボウイ、ディラン、レイ・チャールズ… 鬼才ラース・フォン・トリアーの完全復活映画を彩る数々のヒットナンバーに迫る


 『ダンサー・イン・ザ・ダーク』や『アンチクライスト』といった話題作を世に送り出し、あらゆるタブーに切り込みセンセーショナルな反響を巻き起こしてきた鬼才ラース・フォン・トリアーの最新作『ハウス・ジャック・ビルト』が2019年6月14日より日本公開される。
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 ラース・フォン・トリアーが問題発言により【カンヌ国際映画祭】から追放処分を受けてから7年。本作は、昨年開催された【第71回カンヌ国際映画祭】の<アウト・オブ・コンペティション部門>で完全復活を果たしたトリアー監督の最新作で、【カンヌ国際映画祭】では途中退出者が続出したにもかかわらず、上映終了後はスタンディング・オベーションが鳴りやまないという賛否真っ二つの異様な興奮に包まれた。アメリカでは、あまりの過激さにアメリカ映画協会(MPAA)が手を加えた修正版のみ正式上映が許されるという衝撃と戦慄の大長編。先立って昨年11月28日にノーカット版を1日限定140館で上映したところ、全米興収ランキングでデイリー11位を記録し、物議を醸した。そんな無修正完全ノーカット版がレイティングR18+にて日本上映される。

 トリアー監督のもとに集結したのは、『クラッシュ』で【アカデミー賞】<助演男優賞>にノミネートされたマット・ディロン、『ベルリン・天使の詩』で知られ惜しくも先日死去した名優ブルーノ・ガンツ、ユマ・サーマン、ライリー・キーオといった超豪華キャスト陣だ。見事なアンサンブルをみせ、観る者の常識を根底から揺さぶり、感性を刺激する鬼才の最新作に一役も二役も買っている。

 建築家を夢見る一見普通の技師ジャック(マット・ディロン)が、あることをきっかけにアートを創作するように殺人に没頭していく姿が描かれていく本作。シリアル・キラーもの、巨匠ラース・フォン・トリアーのカンヌ完全復帰作品、そしてマット・ディロンの怪演と様々な見どころの詰まっている本作だが、それらとともに欠かすことができないのが、刺激的な映像にセンス良く重ねられていく懐かしのヒットナンバーたちだ。

 まずマストチェックソングとして挙げておきたいのは、本作の予告編でも使用されているデヴィッド・ボウイによる「フェイム」。軽快なリズムが特徴的な曲だが、劇中ではあえて、ジャックが異常な行動を起こしたり、残酷無比な一面を見せたりするシーンで使用されており、その絶妙なタイミングで鳴り響くこの選曲に惚れ惚れする仕上がりとなっている。さらに「フェイム」の歌詞には、<名声……それは男に見栄を張らせるんだ。名声が男を堕落させ 疑い深くさせるんだ。>という内容の意味が込められているが、トリアー監督も「ジャックは、名声に弱いところがあるし、僕もそうなんだ。自分でもイヤだけどね」と明かしており、ジャックのみならず、監督の気持ちともシンクロしているとあれば、注目せずにはいられない。デヴィッド・ボウイといえば、トリアーが監督した『ドッグヴィル』(03)や『マンダレイ』(05)でも「ヤング・アメリカンズ」という楽曲が使用されており、2016年に死して尚トリアー作品には欠かせないアーティストで居続けている。

 次に、ジャックが「彼こそ芸術だ」と崇敬してやまないのがピアニストのグレン・グールド。劇中では、音程とリズムを口ずさみながら、何かが乗り移ったかのように夢中でピアノを弾く姿が何度もモンタージュで挟み込まれる。「完璧主義の天才」と呼ばれたグールドだが、ある時期を境にコンサートでの演奏をいっさい止めたという逸話も残されており、そのカリスマ性がジャックの心に火をつけたものと思われる。劇中ではバッハによる「パルティータ第2番 ハ短調」を演奏する映像が使用されるが、その唯一無二の演奏は作品の芸術性を更に高めている。

 そして、なんといっても外せないのは、超有名ナンバーであるレイ・チャールズの「旅立てジャック」。劇中の演奏はバスター・ポインデクスターによるものだが、劇中ではこの場面以外有り得ないと思えるほど、抜群のタイミングで流れるようになっており、本作の中で最も気分が高まるとシーン言っても過言ではない。聞いたら笑ってしまいそうな、ジャックにぴったりの歌詞にも注目だ。また、音源は使用されていないが、ボブ・ディランの「ホームシック・ブルース」のミュージックビデオをパロディーにしたシーンも度々登場。赤いバンの前でジャックがカメラに向かって言葉の書かれたフリップをヒラヒラと落としながら見せていく姿は、音楽ファンなら、誰もがハッとさせられるはずだ。

 シリアル・キラーものに、これらの名曲をあえて合わせてくるトリアー監督ならではのセンスに感服することだろう。是非、その選曲センスにも注目してほしい。

◎公開情報
『ハウス・ジャック・ビルト』(R18+)
2019年6月14日(金)より、全国公開
監督・脚本:ラース・フォン・トリアー
出演:マット・ディロン、ブルーノ・ガンツ、ユマ・サーマン、ライリー・キーオ、ジェレミー・デイビスほか
配給:クロックワークス、アルバトロス・フィルム
(C)2018 ZENTROPA ENTERTAINMENTS31,ZENTROPA SWEDEN,SLOT MACHINE,ZENTROPA FRANCE,ZENTROPA KOLN


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