【深ヨミ】日向坂46デビュー作を乃木坂46/欅坂46の作品との比較し検証する
【深ヨミ】日向坂46デビュー作を乃木坂46/欅坂46の作品との比較し検証する

 4月8日付のBillboard JAPAN週間“Top Singles Sales”で、日向坂46『キュン』が474,893枚を売り上げ、1位を獲得した(集計期間2019年3月25日~2019年3月31日)。
 『キュン』はけやき坂46名義でのアルバム『走り出す瞬間』から約9カ月ぶりとなる待望のファーストシングルで、センターポジションは小坂菜緒が務めた。

 ここでは、『キュン』の地域別の販売動向をSoundScanJapanの販売データを使用し、姉妹グループである乃木坂46・欅坂46の直近のシングルと比較してみる。

 まず、一般的なシングルの地域別の販売比率を、昨年1年間のシングルの地域別販売数から計算すると下記の通りとなる。

◎全シングル地域別販売比率(集計期間2018年1月1日~2018年12月30日)
北海道 3.48%
東北 5.14%
関東 47.54%
甲信越 2.7%
北陸 1.67%
中部 12.5%
近畿 15.27%
中国 3.92%
四国 1.71%
九州 6.07%

日向坂46『キュン』のリリース週の地域別の販売数の割合は下記の通りである。(かっこ内は全シングル地域別販売比率)

◎日向坂46『キュン』地域別販売比率(集計期間:2019年3月25日~2019年3月31日)
北海道 2.62% (3.48%)
東北 4.65% (5.14%)
関東 55.15% (47.54%)
甲信越 3.45% (2.7%)
北陸 1.84% (1.67%)
中部 10.72% (12.5%)
近畿 11.23% (15.27%)
中国 3.3% (3.92%)
四国 1.32% (1.71%)
九州 5.73% (6.07%)

 関東では一般的なシングルより7%を超える販売比率を誇り、東京を中心とした人気に支えられていると言えるだろう。また、甲信越・北陸も高いシェアであることがわかる。

 ここで、姉妹グループである乃木坂46・欅坂46の、最新シングルの初週の地域別の販売比率も調査した。(かっこ内は全シングル地域別販売比率)

◎乃木坂46『帰り道は遠回りしたくなる』地域別販売比率(集計期間:2018年11月12日~2018年11月18日)
北海道 3.15% (3.48%)
東北 5.04% (5.14%)
関東 44.7% (47.54%)
甲信越 3.86% (2.7%)
北陸 2.13% (1.67%)
中部 13.76% (12.5%)
近畿 13.55% (15.27%)
中国 4.85% (3.92%)
四国 2.08% (1.71%)
九州 6.89% (6.07%)

◎欅坂46『黒い羊』地域別販売比率(集計期間:2019年2月25日~2019年3月2日)
北海道 3.01% (3.48%)
東北 5.31% (5.14%)
関東 48.7% (47.54%)
甲信越 3.91% (2.7%)
北陸 2.22% (1.67%)
中部 11.39% (12.5%)
近畿 12.75% (15.27%)
中国 3.93% (3.92%)
四国 1.99% (1.71%)
九州 6.8% (6.07%)

 関東地方を見てみると、乃木坂46・欅坂46・日向坂46の順に、44.7%→48.7%→55.15%と、キャリア順に関東の比率が高くなっているのが目に付き、近畿地方を見ると13.55%→12.75%→11.23%と逆にキャリアの長い乃木坂46が高く、短い日向坂46が低いという結果がわかる。

 ここで、見方を変えてみて、各地方の乃木坂46『帰り道は遠回りしたくなる』・欅坂46『黒い羊』・日向坂46『キュン』の販売比率を平均的なシングルの販売比率で割った指標を作ってみた。これは一般的なシングルのその地方での販売比率を100とし、それに対して、乃木坂46『帰り道は遠回りしたくなる』・欅坂46『黒い羊』・日向坂46『キュン』がそれぞれどの位多く(少なく)販売しているかを示し、それを可視化したのが図1(billboard-japan.com/d_news/image/74360/2)である。

 この指標を見ると、関東は、日向坂46>欅坂46>乃木坂46と、日向坂46が最も高い値を示している。逆に、北海道と中部以西の地域は全て乃木坂46>欅坂46>日向坂46となっており、関東圏から離れた地方ではキャリアの順になっていることがわかる。

 この結果から、キャリアの長い乃木坂46は、時間をかけて関東から離れた地域までファンを獲得し、地方でも購買数を増やしていると言えるだろう。関東については、地方でファンを獲得し、関東以外の地方の比率が増えた結果、比率として低く出ているだけで、ファンが減っているという訳ではない。欅坂46も東北・甲信越といった関東に隣接する地域で高い値を示しており、地方へ人気が広がっているいるのが見て取れる。

 日向坂46は現在は東京近郊中心の人気だが、乃木坂46・欅坂46の推移からも見て取れるようにキャリアが長ければ長いほど、地方の販売比率を伸ばしている事から、まだまだ十分に地方の人気を獲得していく余地があり、今後も飛躍が期待できそうだ。